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第203話 尊重って難しい、という話


今日は、「『そうなんだ~』という人って、素敵な人なんだなぁ」、っていう話になる。

「そうなんだ~」とか「そうなんだね~」という相づちを打つ人のことだ。

「そうだよね~」ではない。また、「そうだよね~」が悪いと、言いたいのでもない。

ちょっとまえの記事、第193話があるのだが、( ↓ これ)

この記事の、一部分を、尊重の達人が見つけて、そして褒めてくれたのだ。

モリゾンのLINEを(一部抜粋して)転記する。

「ファーブルくんの話で、カウンセリングでの【共感】と【共振】の相づちを思い出しました。共感する「そうだよね」ではなく、「そうなんだね」を共振と言うようです。尊重って、これだなとも思いました。「そうだよね(オレもそう思う)」は尊重とは違って、「(君は)そうなんだね (僕もそう or 僕は違うけど)」が尊重。「そうだよね」ではなく「そうなんだね」。これだ、と思いました。


おそらくは、193話の

「そうっかぁ~、すごいかぁ~。少年はそう思うのかぁ~」

という部分を褒めてくれたのだ。

事実、僕は一度「そうだね~。すごいね~」と書いた。それから、(気持ち悪い虫に、『そうだね~』はウソだなぁ)と思って、書き直したのだ。



◆尊重の達人、モリゾン

モリゾンは、尊重の達人だ。本人は「まだまだ」だと言うが、僕から見れば達人だ。とあるきっかけがあり、尊重というものを深く考えたそうだ。

もう、モリゾンの顔が、表情が、僕を『尊重している』のだ。ほかの誰の意見でも『尊重している』のだ。ニコニコして、途中で口をはさむこともなく、ちゃんと人の話を聴き切る。

変なことを言っても、ニヤニヤしながら、やはり聴き切る。となりで児玉も、傾聴しているが、なにかが違う。ムリヤリ言葉にすると、児玉は「聴きながら自分の意見と比較したり、考えたり、興味がないときは『別思考の旅』に出たりしている、という感じなのだ。

僕の勝手な思い込みかもしれないが、モリゾンは聴くことに、相手の言わんとすることを正しく理解することのみに、注力しているように感じるのだ。

ふつう、相手の言わんとするところが分かったなら、「ああ、自分と同じだ(or 違う)」とか、「この意見は正しい(間違っている)」とか「素晴らしい意見だ(下らない意見だ)」とか、つい【判断】をすると思う。

モリゾンは、この判断をしていない、気がする。

「じょーじは、○○と考えている」「春山は△△と思っている」「児玉は、無言」と、どんな場合でもモリゾンは、モリゾンの解釈を加えていない気がする。

人の意見には、イイも悪いもない。判断しない。その人は、そう思っているのだから、と。

そして、「僕は、◇◇と考えています」と、持論をちゃんと説明する。

実はこれ、今僕が、Amazonオーディブルで繰り返し聴いている『反応しない練習』の、核となる教えと、全く同じなのだ。

おそらく、モリゾンは『反応しない練習』を読んでいないと思う。それなのに、この境地にたどり着いている。

尊敬と同時に、少し、嫉妬さえ覚えてしまう。


◆水戸のBAR『リド』

僕は、昔、水戸に住んでいた。25年以上前だ。

水戸には、大工町(だいくまち)という歓楽街がある。駅からは少し離れている。僕がいた当時は、約800件の飲み屋があると言われていた。

その大工町に『リド』というBARがあった。

今もあるのだろうか?

お酒の飲めない、オジサンが2人の店。L字のカウンター席に10人くらい座れて、テーブル席が4つだったかなぁ。

マスターが、カウンター席の1人客の話し相手で、もう一人が簡単な料理を作っていた。ドリップ式の珈琲もあって、僕はシメで、その珈琲を飲んだのだが、これが抜群に旨かった。

そして、お会計の安さに驚く。

ボトルを入れていると、連れとウイスキーを飲んで、なにか軽くつまんで、そして珈琲でシメて。2人の合計のお会計が「1500円」とかなのだ。1人だと「500円」とか言われたりする。

雰囲気も良くて、安くて、感じの良いマスターがいる『リド』は、いつも満員だった。バブルが崩壊して、世の中は不景気一色なのに、リドは、逆に盛況だった。

(景気が悪いと、ハズレの店には行きたくない。だからリドが、メチャ混みになるんだなぁ)なんて、そんな分析をしたのを思い出した。

リドの、1番の魅力は、マスターだ。

マスターは、とても聞き上手で、話していると、すごく楽しくなる。マスターが、誰かのことを悪く言っているのを、僕は、一度も聞いたことが無い。かげぐちがゼロだから、安心して身の上話ができた。

***

カウンターで1人で飲んでいると、心地よいジャズのメロディだけではなく、どうしても、ほかの客の会話も聞こえてくる。当時はスマホなんてなかったのだ。

どこでも見られる光景だろうが、その客は、マスターに愚痴を聞いてもらっていた。今日は同席していない、同僚への不満を、マスターにこぼしている。

僕は、耳がダンボになった。マスターが「そうだよね~」と言ったなら、それは、今はいない別の客を、一緒になって悪く言ったことになる。僕は、マスターのかげぐちは聞いたことがない。かといって、客に説教じみたことを言うマスターも見たことがない。ただの一度もだ。

さて、どう、対処するのか。

もう、おわかりかと思うが、マスターの相づちは、「そうなんだぁ~」だった。

僕は感動して、翌日、部下に語った。

しかし、残念なことに本質の解説ではなく、【テクニック】としての解説したのだ。こんな話術がある、という解説だったのだ。

当時のじょーじ、残念。


◆ここちゃん、はーちゃん

このまえの日曜日。ゆかりちゃんの友だちが、わが家に来た。いつものように、娘さんと二人のお孫さんの、合計4人。家族ぐるみでお付き合いさせていただいているのだ。

お孫さんは、4歳のここちゃんと、2歳のはーちゃん。ふたりとも女の子だ。

かわいい盛りなのだ!


一緒にランチをして、そして会話を楽しんだ。あっという間に時間が過ぎ、お開きとなった。

「帰るときは、ハグするの~」とママが言った。子どもたちが、ハグしてくれるというのだ。

僕は、はぐされたいオジサンなのだ。


2歳のはーちゃんは、あまり深く考えずに、オジサンにもハグをしてくれた。

4歳のここちゃんは、僕のまえにハグするゆかりちゃんにさえ、少しためらいを見せた。でも無事に、ゆかりちゃんは、ハグしてもらった。

僕は、イヤな予感がした。

ここちゃんは、もう、男性、女性が、明確に区別できている。

案の定、ここちゃんは、僕へのハグを、ゆかりちゃんの時以上にためらった。


僕は、なんと、

・・・くっ

書きたくない、

恥ずかしい、

が、書く。

僕は、なんと、つい、

僕から、ハグしてしまったのだ。

ここちゃんに「いや~ん」と、小さい声で言われてしまったのだ。



◆〆

これが、尊重を、体得しようと心がけている大人の行動だろうか?

めちゃくちゃ後悔している。

ああ、尊重が遠い・・・。


***


とにもかくにも、僕は、何度失敗しようとも、尊重を身につける。呼吸のように、無意識で尊重するオジサンになる。

そのために、まずは、「そうなんだ~」を口ぐせにしよう!

「なるほど~」「そうか、そうか」「確かに~」とかも、大いに使おう。

ゆかりちゃんの地元の方言なら、「ほうかぁ~」も、これに当たるかもしれない。

「ほうげなぁ~」も、同じかな?

なら、「ホウゲットナウ」も、尊重か?


最後は、ゆかりちゃんにしかわからないかな?

こんな、ハグをしてしまったオジサンだが、ゆかりちゃんが「ドンマイ」といってくれると信じよう。

僕は、ゆかりちゃんが大好きなのだ。




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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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