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1番明るいから1番星

2020年の11月30日。
僕は、5:10に起きて、まずは珈琲を淹れた。

深煎りの豆をコーヒーミルに入れて、粗挽きにする。
挽きたての珈琲に、約90度のお湯を注ぎ、30秒ほど蒸らす。
珈琲の良い香りが漂い、無意識に鼻の穴を広げてしまう。

お湯を、ゆっくり注ぐ。
細く注ぐ。
少し高い位置から注ぐ。

ガスで、珈琲がドーム状にふくらむ。

お湯は、一気に注いではイケない。
3度か4度に分けて注ぐ。
このように丁寧に淹れると、時に、もの凄く美味しい珈琲が出来上がる。

いつもが75点前後だとすると、時々、95点以上の素晴らしい珈琲が出来上がることがある。
僕の場合、マグレなので、大抵は80点前後の珈琲となる。しかし、充分に美味しい珈琲だ。


6時を少し回った。
妻のゆかりちゃんが、寝室から出てきた。

「おはよう~」と僕は、明るく挨拶をする。

「ほわ~よう~」と、ゆかりちゃんはアクビまじりの挨拶を返してくれた。


ゆかりちゃんは、掃き出し窓のカーテンを開けた。
空は、まだ暗い。

東の空の1番下だけが、ほんの少しだけ明るくなっていた。


「あっ! じょーじ~! 1番星だ~!」

「・・・」(なんって言おうかなぁ・・・)


「1番星が見えるよ~」

「明けの明星、かなぁ」


「えっ! 1番明るいから『1番星』ちゃうの~?」

「夕方、最初に見つけた星が『1番星』だね~」


「ふ~ん、そうなんだ~」


1番明るいから1番星。ま、これも悪くないな、と思った。
金星は、驚くほどに大きかった。

朝から得した気分だ。

年に1~2度、ゆかりちゃんは、朝の挨拶を「ただいま」と言う。
その時は、朝からメチャクチャ得した気分になる。

この日は、良い1日になったに違いない。





おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1509話です

PS. 僕のKindle本 ↓『いいかい、タケルくん』【考え方編】です。


読むと、恋人ができてしまう自分に変わります。
恋愛とは、若者だけのものではありません。

人生100年時代。
40代、50代、60代、70代でも、恋愛って必要です。(僕の主観です)
そばにいるパートナーは、誰にだって必要ですよ。(僕の感想です)

「考え方」ですから、若者だけでなく中年にも参考になります。
もちろん若い男性には、モロ、参考になります。

女性にも参考になります。
【男の思考】が詳しく書かれていますから。
「男性って、そんな考え方をするんだぁ」と、きっと参考になります。

ご一読いただけたら幸いです。




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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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