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第410話 54歳になると、ドラマを観て泣く『理由』が変わっていた


ゆかりちゃんと一緒に行きたいところがある。

ここに「行きたい」と言い出したのは、ゆかりちゃんだ。

それは、鹿児島県の「知覧」(ちらん)だ。


◆YouTubeを観た

昨夜、ゆかりちゃんがYouTubeを観ていた。
時刻は、21時を少し過ぎていた。

YouTubeの動画は、ドラマだった。

2008年にフジテレビで放送されたらしい、
『千の風になってドラマSP なでしこ隊~少女達だけが見た特攻隊』
という、事実をベースとした2時間ドラマだった。

引き込まれるように、僕も観た。


◆知覧

知覧には、特攻隊の秘密基地があった。
基地のすぐ近くに、「富屋食堂」があり、そこでは多くの涙が流れた。

今、そこには『知覧特攻平和会館』が建てられ、運営されている。

鳥濱 トメは、鹿児島県の食堂経営者。
知覧町で「富屋食堂」を営み、多くの特攻隊員の面倒を見たことから“特攻の母”と呼ばれた。
引用: ウィキペディア


◆特攻隊

ドラマを観ていて、僕は何度も泣いた。
54歳になったからなのか、これまでの涙とは違った。

腹がたったのだ。

僕は自分のことを、【人を許す】天才だと思っている。
その僕が、許せない気持ちになった。

許しがたかった。

この作戦を考えた人に、
この作戦を許可した人に、
その作戦に反対できる立場にいて、反対し切れなかった人に、

つまり、当時の軍の幹部に、憤りを覚えた。

おそらく軍の上層部は、50代のオジサンだったはず。
今の僕と同じくらいだろう。

作戦を決めたなら、まず、あなたが特攻しろ。
作戦を許可したなら、まず、あなたが特攻しろ。
作戦を反対し切れず折れたなら、まず、あなたが特攻しろ。

なぜ、若者を・・・。

自分なら拒否する命令を、
1ミリだって「やろう」などと思わない命令を、

そんな命令を、よくも、若者に出せたものだ。


◆作戦とは

百田尚樹さんの小説『永遠のゼロ』で、

「10人中9人が死ぬ」
これは『作戦』と言える
非常に厳しく困難な『作戦』だと
しかし、「10人中10人が死ぬ」というのは、これは『作戦』ではない

という意味を教わった。

この概念が脳の大半を占める状態で、僕は、最後までドラマを観た。


◆こんなの・・・

こんなの、国か?
こんなの、軍か?
こんなの、幹部か?
こんなの、作戦か?

この、数か月後には無条件降伏した。
つまり、敗戦濃厚は明白だった。

軍の上層部こそが、【敗戦濃厚】という事実を、1番良く知っていた。

なのに・・・。

こんなの、人間か?


◆疑問

特攻隊で亡くなった方、
その家族、恋人、友人、関係者・・・。
その、哀しさにばかり、フォーカスされていないか?

作戦を考えた人、
許可した人、
反対しなかった人、などにも、もっとフォーカスすべきではないのか?

情報の隠蔽もあったのか?
タブーだったのか?

哀しすぎて、冷静にフォーカスするのは、困難なのか?


◆動画

ドラマの最後に老人が言った。
「戦争で死んだ人たちの供養とは、戦争をしないことだ」と。

観たときは、「そうだ」と思った。
しかし、今は、わからない。

若くして戦死した彼らは、いったい、何を言いたいのだろうか?

「戦争なんてするな」、だろうか?
「俺の分まで、幸せに生きろ」、だろうか?
「命令を出したヤツを許すな」、だろうか?

「じょーじ、平和ボケしとるなぁ」、だろうか?
で、「うらやましいよ」、だろうか?
もしくは、「おまえらズルいぞ! もっと滅私奉公しろ!」、だろうか?


著作権の関係もあって、この動画は、もしかすると削除されるのかもしれない。(削除されないのかもしれない)(詳しいことはわからない)

お時間とご興味のある方は、YouTubeでご覧あれ。


◆〆

知覧への訪問。
急がなければ・・・。
いや、もう、実体験された語り部は、いらっしゃらないだろう。

僕は、無力だ。

平和を願う、
平和を祈る、
ぐらいしかできない。

ならば、できることをちゃんと行なおう。

世界の平和を願い、世界の平和を祈ろう。

そして僕は、世界平和よりも、ゆかりちゃんの笑顔を優先しよう。

そうだ。
僕は、ゆかりちゃんが大好きなのだから。




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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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