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「色が、すべて真逆に見えているかも」しかし、当人含め医師にも認識不可能

子どものころ僕は、こう考えたのです。

「僕は、青が赤に見えているのかもしれない……」
「そして、赤が青に見えているのかもしれない」


◆気づきようがない

さらに僕は考えました。

「でも、これは、気づきようがない」
「先生だって、お父ちゃんやお母ちゃんだってムリだ」
「お医者さんだってムリだ」
「これって、誰にも確かめようがない……」

そう思ったのです。


◆言語化が難しい

誰かに話してみましたが、まったく伝わりません。

高校生になり、もう1度試してみましたが、やはり説明が難しく途中であきらめました。

僕は現在、55歳です。
頑張って、言語化してみます。


◆すべて真逆に見えている場合

まず、こちらのカラー図をご覧ください。


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12時の位置を『赤』とします。
6時の位置を『青』とします。


僕は、晴れた空を見て「青空だ~」と言います。
青は、晴れた空の色です。6時の色です。

でも、世界中の人は、12時の色(赤)を、「青」と言っている可能性があります。


◆例えば…

例えば、子どものころ僕は、以下のような妄想をしました。

僕  「ああ、青空だ~」(上のカラー図の6時の色(青)が見えている)
B君「キレイな青空だ~」(上のカラー図の12時の色(赤)が見えている)

僕  「B君の青って、どんな色?」
B君「え? 青は、空の色だよ」(上のカラー図の12時の色(赤)の意味)

僕  「空以外では?」
B君「海の色とかだよ」(上のカラー図の12時の色(赤)の意味)

僕  「このカラー図でいうと、どれ?」


ここで、B君が12時の色を指さしてくれれば、お互いが違う色を『青』と呼んでいることが分かります。

しかし、そんな単純な話ではありません。

B君は全ての色が、僕とは真逆に見えているのです。だから、カラー図の色も、あべこべに見えています。

B君は、カラー図の6時の色(青)を指します。
そして、「これが『青』だよ」と言います。

僕と同じになっちゃいます。

お互いに、『空の色』を『青』と言って、『6時の色』を指す

しかし、見えている色は、真逆なのです。


◆色覚真逆人間

真逆の色が見えているのに、それを色見本でチェックするのですから、これはチェックになっていません。

色覚真逆人間は、当人も、周囲の人間も、誰も認識できないのです。


僕にとって12時の色(赤)を、B君はキレイな空に見ているのです。
それがB君にとっての『青』です。

B君は、空や海だけではなく、全ての色があべこべです。

B君が指を切って血が流れたなら、その血は青色です。でもB君は、その色を「赤」と呼びます。
B君の目に映る、イチゴもリンゴも止まれの信号も、すべて青色です。
でも、それが彼にとっては『赤』なのです。

「カラー図で『赤』を指して」と言ったなら、どうなるのか。
言うまでもありません。

B君には、カラー図の位置が真逆に見えていますから、僕たちで言う青色を脳内で確認していても、12時の色(赤)を指します。
青色を目に映しながら「これが赤だよ」と言います。

「正解」となります。
「正常です」と、判断されます。

周りの人は、B君の色覚異常に、気づきようがありません。
当人も気づきません。


子どものころの僕は、

「僕だけが、『B君』なのかもしれない」
「これって、あり得るんじゃないか?」

と考えたのです。


◆〆

「ややこしいなぁ」
「あとね、問題がないならええや~ん」
「誰も困ってないんやら~?」

妻のゆかりちゃんが、そんなふうに言いそうです。
言わなかったとしても、思いそうです。

あ、思わないか。
このような面倒くさい理屈、ゆかりちゃんはキライなのです。
文字は眺めたとしても、理解までは試みないでしょう。

そこが、ゆかりちゃんのイイところです。
でも最近、誰に似たのか、少し理屈っぽくなりました。


いずれにせよ、
僕は、ゆかりちゃんが大好きです。




おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第697話です
※この記事は、過去に投稿した記事の書き直しです

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