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第100話 美醜


YouTubeで、学識サロンさんの『常識を捨てることこそ成功への秘訣』を聴いた。

「聴いた」は間違いではない。前にも書いたかもしれないが、学識サロンさんの動画は、聴くだけでも大丈夫な構成なのだ。だから、簡単な作業をしながら学べるので、時間を有効に使えて、大変ありがたい。

そしてYouTubeは、勝手に関連する動画を流す。おかげで、少々古い5か月前のこの動画を聴けたのだ。

この動画は、神田昌典著『非常識な成功法則』の解説だった。

僕は、あれ?と思った。この本は、かなり昔に読んでいるからだ。

動画で、2002年に出版され、2011年に改訂版が出たと説明があり納得した。時代が経っても必要とされる、やはり名著なんだと思った。

この本の解説の一部を、どうしても、ゆかりちゃんにも紹介したい。


動画の一部を解説

人は、夢や目標を持つが、その前に【やりたくないことを見つける】必要がある。

やりたいことの中には、やりたくないことが含まれているから。

例えば、会社を大きくしたいと目標を掲げる。しかし、それを達成しようと動き出すと、

・嫌いな客にも付き合わなければならない

・苦手な経理に取り組まなければならない

・家族との時間が取れなくなった   などといった、やりたくない要素が出てくる。

だから、まず【やりたくないこと】を決める。

例として、

・客にヘコヘコしない

・在庫は持たない

・身をすり減らすような仕事はしない   など。

やりたくないことを決めてから、やりたいことを紙に書き出す。


学識サロンのマーさんの実例。

アポなしの飛び込み営業。売上を1億円アップした。

飛び込み営業はメンタルへの負担が大きく、やりたくない。

売上アップは、やりたい。

そこで考えた。「売らなくても売れる仕組みはないか?」と。マーケティングを勉強して、毎朝5時に出社し1万件の営業リストを作り、DMを送り、問い合わせがあった見込み客のだけ営業を行なった。

関心のあるお客様相手の営業は楽しく、売上もさらに上がった。


結論:やりたくないことはやらないorやらなくていい方法を考える

これが、非常識な成功法則の1つだ。



15年前の決意

僕はこの本を15年前か16年前に読んだ。初版の方だ。

そして決意したのだ。

「ウソの必要な仕事はしない」と。

あれから、ずーっと守ってきた決意だ。

この決意のために、右へぶつかり、左へぶつかりしてきた。


ひとつ注釈を入れる。

相手を思いやるウソを、僕は否定しない。

例えば、数人で散歩をしていて、一番太っている友人が、少し辛そうに見えた。そのとき「オレ、ちょっと疲れたから休憩しない?」と言う。僕がこの時、ぜんぜん疲れていなかったなら、ウソと言えばウソだ。

でも、こんなウソはありだと思う。思いやりに分類して良いと思うからだ。



ブラック企業時代

僕が辞めたブラック企業は、僕の組織だけが元気になった。僕の組織以外が、ボロボロになったとも言える。

理由は、インターネットが普及し、2チャンネルでさんざん叩かれた。それとほぼ同時に法律の改正があり、契約の中途解約が可能になったからだ。

売りっぱなしが許されない。売り逃げもできない。詐欺まがいのオーバートークも、2チャンネルに暴露され通用しない。売上は激減。そして中途解約の嵐。

僕の組織だけは、ウソのいらない営業スタイルだった。僕の組織には、ウソを許さないルールと文化がしっかりと確立されていた。それを可能にするため、私費を投じて、顧客フォローを徹底した。仕事の半分近い時間を使って、また私費をこれでもかと使って、社員教育に力を注いだ。それを、そんなことをする必要のなかった時代から、12年も行ないアップデートを繰り返してきたのである。

部下たちは、ウソのない方が売れる。ウソがない方が気持ちイイ。ウソのない方が儲かる。儲かるとは字のごとく、信者、つまりファンをつくることと心得ていた。

社員は、商品やサービスに自信と誇りを持っていた。お客様はファンゆえに、「〇〇支店は大丈夫」「私のところは、そんなんじゃない」と、僕たちを庇ってまでくれた。

だから、2チャンネルの悪評の影響も小さく、中途解約も最小で抑えられた。

紹介を生む、様々な試みも行なってた。

ゆえに、会社が崩壊する寸前まで、僕の組織だけが元気だったのだ。



決意の影響

神田昌典氏の著書を読んで、僕は決意した。大事だからもう一度書く。

「ウソの必要な仕事はしない」

コンサルタントも、社員教育会社も、不動産&工務店も、ウソを要求してきた。

僕も、正義を振りかざす青年ではない。その組織のルールで圧倒的な結果を出し、そして会社を変えていくのが正しいと知っている。そして、自惚れではなく、僕はそれをやればできた。

でも、やりたくない。

ウソをつかない方が、ビジネスは上手く行く。それを信じてもらえない時代だった。「きれいごと」と一蹴された。

だが、僕はそのきれいごとで、圧倒的な結果を出したことがあるのだ。

やりたくないし、お客様のためにもならないし、実は「やれ」と言っている会社のためにもならない。



そして今に至る

収入は激減し、プライドを捨てるしかない状態に陥り。それでも僕が腐らなかったのは、自分でちゃんと選択して生きてきたからだ。

例え収入が減っても、社長の意に反してハッキリと「僕のやり方は変えない」と言って首になろうと、その都度その都度、明確に選択してきた。

自分で考え、自分で選んできた。

だから、後悔がないのだ。


そしてなによりも、その選択の途中で、ゆかりちゃんに出逢てたのだ。

別の選択をしていたなら、ゆかりちゃんに出逢えていないのだ。

だから、後悔などあろうはずがないのだ。


僕は、今後もウソの必要な仕事はしない。仕事にウソを1ミリも入れない。

僕の判断基準は、美醜だ。

美しい生き方を選択する。


こんなめんどくさい男を、受け止めてくれるのは、ゆかりちゃんくらいしかいないと思う。


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。








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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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