ソトヅラが良くって、長いものには喜んで巻かれるのに、実は…
妻は、口が悪い。
妻の名前は、ゆかり。
僕は「ゆかりちゃん」と呼んでいる。
2008年から2015年の約7年間、僕たちは遠距離交際だった。
僕が神奈川県横浜市在住で、ゆかりちゃんが岐阜県多治見市在住。
月に1度会った。
ゆかりちゃんが横浜に来てくれることが多かった。
「菅田は横浜じゃねぇ」
と、ゆかりちゃんは言った。
暴言である。
菅田とは、僕のアパートがある、横浜市神奈川区菅田町のことだ。
みなとみらい = 横浜 と思っている人が多すぎる。
みなとみらい ↓
神奈川区菅田町だって、横浜市だ!
菅田 ↓
「こんな畑ばっかで、多治見の田舎と変わらない」と、ゆかりちゃんは言った。
菅田町は、Wikipediaでさえ畑の画像をトップに据えている。
横浜で1番、空気が美味いところかもしれない。
菅田に畑が多いのは事実だ。
みなとみらいとは、まったく景色が違う。まるで別世界だ。
しかし、
だからといって、
「菅田は横浜じゃねぇ」
は、口が悪すぎる。
菅田の人は、神奈川県民だが横浜市民ではないと言うのか。
他の横浜市民と同じように、横浜市の高~い市民税を支払っているのだ。
* * *
2015年。僕は、愛知県に移住した。
ゆかりちゃんと一緒に暮らし始めた。
最初は、岐阜県多治見市に住む予定だったが、色々と考えて、隣町の愛知県春日井市を選択した。
ゆかりちゃんは、愛知県でも口が悪い。
「志段味は名古屋じゃねぇ」
と言い放った。
名古屋市守山区志段味に住む方々の何割かは、もしかしたら、この発言を苦笑いして、聞き流してくれるかもしれない。
しかしそれは、名古屋市名東区に住む方とか、東区白壁に住む方などに、愛あるイジリとして言われた場合だ。
多治見市や春日井市の人には、言われたくないハズだ。
ましてや、ゆかりちゃんの実家は、同じ多治見市民から、
「○○は多治見じゃねぇ」
と言われる地域なのだ。
平成の大合併で多治見市に加わったばかりの町の1つが、ゆかりちゃんの実家がある地域だ。
どの口が言う? なのだ。
ゆかりちゃんは、口が悪い。
それを僕は、たしなめはするが、オモシロイとも思ってしまう。
つい、笑ってしまうのだ。
勘違いしないでいただきたい。
この記事は、ゆかりちゃんの悪口を書いているのではなく、ゆかりちゃんのオモシロイところを紹介しているのだ。
誰もが思っていて、
それを言うとチョットなぁ~、マズイよなぁ~、という事を、
堂々と、ためらいなく、ハッキリと言う。
その、言い方とタイミング。
これが、ゆかりちゃんは抜群にオモシロイ。
全世界の全家庭に、ゆかりちゃんがいたなら。
きっと、戦争は無くなるんじゃないかな。
その代わりに、夫婦げんかは増えるかもな……。
僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
おしまい
PS
私、奈星 丞持(なせ じょーじ)は、note創作大賞2024に応募しました。
恋愛小説です。
タイトルは『恋の賭け、成立条件緩和中』です。
こちら ↓ です。
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