![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/108405115/rectangle_large_type_2_c4203f4d9ec0dbcba2c7a17a92f45f39.jpeg?width=1200)
【寝言】妻の、夢に見るほどの”夢”ならば、僕も一緒に転げ落ちてみるか…
これは、まだ妻と同じベッドで寝ていた2年半前のこと。
僕は、タブレットで読書をしていた。
ゆかりちゃんは、スマホで何かをしている。音がしないのでゲームではなさそうだ。何か記事でも読んでいるのだろう。
少し睡魔を感じたので、僕は「おやすみ~」と言った。同時にタブレットをサイドテーブルに置く。
「私も寝よ。おやすみ~」とゆかりちゃんが返す。
約3分経過。
「私さ~、透明なボールに入って川を下ってみたい」
たぶん寝言だ。
ゆかりちゃんの寝言は、いつも通りだった。
滑舌明瞭でボリュームも大きい。
寝言には、言葉を返しちゃイケないという説がある。
僕は無言を貫いた。
「夢、見そうだった~」と、ゆかりちゃんが言った。
起きたゆかりちゃんの声に感じる。
自分の声で目が覚めたのかな、と僕は思った。
夢見そう、って何?
夢、見てたやん!
なぜ、眠ってなかったことにしたいん?
夢は、見たか、見ていないか、憶えていないかのどれかであって、
「夢、見そう」という状況はないと思うけど、
「見そう」って、どんななん?
と、ツッコミどころはあるけれど、僕はスルーした。
会話したなら、僕におとずれている睡魔が消えてしまうかもしれないし。
「私さ、小さくなって、ボールに入って川を下りたいの」
さっき聞いたよ。
眠りながら言ってたよ。
と、思うだけにした。
「じょーじは……」
「……」
「……スルーだぁ~」
「……」 ←ここで、2秒、眠っただろ!と思った。
僕は、やはり思うだけにしておいた。
* * *
朝、このことをゆかりちゃんに話した。
「そうなの! 私、小さくなって、ボールの中に入って川を下ってみたいの」
と、また寝言と同じ説明を聞かされた。
僕は、「なんだ、起きてたの~?」「うん、まだ眠ってなかったんだ」という会話になると思っていたので、心の中でズッコケた。
川ではないけど、透明のボールの中に入って坂を転げ落ちるアトラクションを、マーケターの森岡毅さんが作ったはずだ。
今度、そこに遊びに行ってみようか。
もしくは、森岡毅さん宛てに、
「この、川バージョンを是非、作っていただきたい!」
という、熱いファンレターでも書いてみようか。
僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
おしまい
※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1160話です
※この記事は、過去記事の書き直しです
いいなと思ったら応援しよう!
![奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76807197/profile_1b131e63b956beac74502f9366356404.jpg?width=600&crop=1:1,smart)