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第289話 劇団四季のミュージカル『コーラスライン』を観た感想


昨年末、ゆかりちゃんとミュージカルを観に行きました。

劇団四季の『コーラスライン』です。

ゆかりちゃんはもう何度も観ている演目ですが、僕は今回が初めてでした。


◆ストーリーが興味深い

ストーリーが好きです。おもしろかったです。

作者の発想と言えばいいのか、構成か、企画と言うべきか? はたまた脚本と言うべきか? 

とにかく、メッチャ面白かったのです。
深いのです。

なんなら、ものすごい加筆をしていただいて、連続ドラマにして欲しいくらいです。

簡単にストーリーを紹介しますと、

コーラスラインの後ろで踊る、名もなきダンサーのオーディション。
コーラスラインとは、
それ以上「端役ダンサーは出てきてはいけない」という、舞台上のライン。

それは転じて、
ミュージカルアクターとしても、
「主要キャストではない」という、実力の、『ライン』でもある。
それぞれの事情を抱え、それぞれの夢や目標を抱くダンサーが、コーラスという端役のオーディションに挑む。
選考の権限を持つ演出家に、「君が知りたい」と問われ、ひとりひとりが、戸惑いながらも、それぞれの「自分」を語る。そして…。 

引用:丞持(じょーじ)の12月27日の記憶

という感じになります。


◆アドラー心理学?

始まってすぐ、僕はミュージカルの世界に没入させられました。

ひとりひとりが語る「自分」が、深くて、かなり考えさせられます。

途中、
「あ、これ、アドラー心理学の『課題の分離』と似てる」

と、そう思った場面がありました。

なぜそう思ったのかも、どの場面だったのかも、もう、すっかり忘れて思い出せません。

また観るしかありませんね。(ニヤリ)


◆人それぞれ

AさんもBさんも、CさんもDさんもEさんも、全員のそれぞれの事情や考え方に、僕は感情移入しました。

ひとりひとりに歴史があり、考えがあり、そして希望があるのです。

そのうちの、誰かが「優れている」とか、そういうのではないと、なぜかそのように感じました。

(そうかぁ、この人はこうなんだぁ)と、

その人をあるがままに、その人が語るがままに、受け入れている僕がいました。

僕の悪癖の【評価グセ】が、かなり治りかけているのかもしれません。


はじめは、演出家の「君を知りたいから、君を語ってくれ」という問いへの【回答】は、ダンサーを選考する上での、判断材料となるのだろうと思っていました。

でも、きっと違います。

あの問いは選考には無関係だったのだと、最後にはそのように、僕の考えは変わっていました。

でも、分かりません。

もう一度観たなら、「やっぱ、選考の基準でしょ~」と、そう思うのかもしれません。


◆ユーモア

可能な限り、原作に忠実な日本語翻訳をしたのではないでしょうか?

ユーモアが、日本のユーモアと、ちょっと違っていて、ウィットに富んでいると感じたのです。

クスッ、っていう笑いです。
ニヤニヤしちゃう笑いです。

僕の大好物なのです。

「ガハハハ~~~!!」という爆笑も、「ワハハ~」という大笑いも、もちろん大好きです。

でもそれ以上に、シュールな笑いや知的なユーモアが僕は大好きなのです。


◆何度でも観れる

もう一度ストーリーを、超要約しますと、

ブロードウェイミュージカルの、
【コーラス(端役)】のオーディションが行なわれている。
演出家の問いに、ひとりひとりが自分を語り、
いつしか皆が、端役のコーラスにも価値を見出し、
自然と団結して行く。
それでも挑戦者の多くは不採用となり・・・。
最後は、【選ばれしコーラスたち】が、一糸乱れず見事に踊る!

となります。

よくある、スポ根ストーリーです。

最後、見事なダンスで締めるのは、周知の事実ですよね。
お約束です。


だから、

何度でも観れるのです!


これには「あきた」とかはありません。
おじいちゃんおばあちゃんが、最後の結末を知っている『水戸黄門』を好むのと同じです。

僕だって、大好きなさだまさしさんのコンサートなら、知らない曲ばかり歌われるよりも、定番の人気曲が聴きたいです!

ド定番!

ど真ん中!

ド直球!

その強さを感じました。

だから、ファンは何度でも観に行くのです。


コーラスラインには、リピーターを満足させる要素が、もう1つあると思います。

解釈に、『広さ』と『深さ』があることです。

観るたびに刺さり方が変わるかもしれません。
捉え方が変わったりもするでしょう。
新たに気づくことも、けっこうありそうです。

そして、おそらくは、『そういう設計』で、脚本されているのでしょう。

僕は、その設計に、大いに乗らせていただきます。
もう、何度でも観に行きます!


◆歌唱力

素晴らしかったです。
歌い終わると、自然に拍手をしている自分がいました。

ただ。

メグメグ(濱田めぐみさんの意)さんクラスのシンガーは、いなかったように感じました。


素晴らしいと感じるミュージカルシンガーと、
メグメグさんクラスの、驚愕の素晴らしいミュージカルシンガーとは、

いったい何が違うのでしょうか?

僕は、その違いを、キチンと言語化できません。

味、というものの違いなのでしょうか?


◆ダンス

今回の、ダンスは素晴らしかった。

とはいえ、僕は、ほかのコーラスラインを知りません。
だから、本当の意味での評価ではないのかもしれません。

でも、素敵だった。

心が躍り、感激しました。


ひとり、最後の見せ場で帽子を落としたキャストがいたが、(がんばれ~)って心の中で叫びました!

「ポロリ」なんて、ぜんぜん許せました。
でも、ご本人は(きっと、スゲー悔しいよなぁ)とも思いました。


ダンスは、凄くシンクロしていて、観ていて気持ち良かった。

今、YouTubeでブロードウェイのダンスと、劇団四季のダンスを見比べたのですが、ダンスのクオリティは、劇団四季が上じゃないですか?

シンクロが凄いんですけど!


◆ミュージカル業界へ提案

このミュージカルに限らず、ミュージカル全体の「仕組み」として、僕は、歌詞を表記して欲しいです。

強く願います!
強く訴えたい! 
説に訴えたい!


心情を吐露するとき、ミュージカルでは、セリフではなく『歌』になりますよね。

歌だと、所見だと、聞き取れないケースが多いのです。

感情移入したい!
歌詞が知りたい!
何って言ったのだろうと、考えたくない!

今ならば様々な技術があるのだから、舞台の下とか、幕の上の所とか、どこかに歌詞を表示できるのではないでしょうか?

ぜひ、検討していただきたいです。


◆僕の野望の1つ

もともと英語だった歌を、日本語に訳した歌詞。
その歌詞が、(微妙だなぁ)と、そう思うことがちょくちょくあるのです。


①メロディーに乗ってない
 
なんか、字余り的な、窮屈さを感じることがあります。

②説明的すぎる 
「わたしは~ここで~生まれて~♪」的な歌詞です。これは実在する歌詞ではありませんが、このように『説明セツメイ』している歌詞に、ひっかりを感じます。

③意味がわからない
②の逆で、言わんとする意味が分かりにくいときがあります。聞き取れていないからかもしれませんけど…。

④表現が陳腐
昭和の時代なら良かったのかもしれませんが、今はもう令和です。
お客様の世代も、どんどん若くなっているのでは? もしかすると、若い世代のファンが減少傾向にあるのかもしれません。
とにかく、歌詞のアップデートを行った方が良いと僕は思います。


僕が歌詞を書き直したいです!

ただ、作詞が難しいことは、友人2人に教わって知っています。

良い歌詞を書くには、音楽のリズムやメロディーなどの音楽的感性が必須なのでしょう。

それでも書き直したい!

いつか、勝手に書き直して、勝手に歌って、YouTubeに投稿してバズって見せます!


◆とりあえず、結論

劇団四季の『コーラスライン』は、メッチャ良かったです!

これは、星5つです。

ブラボーです。


僕がミュージカル映画がスキな、その理由が分かっちゃいました。

ミュージカル映画の『レ・ミゼラブル』を観て、めちゃくちゃ感動したのですが、

①映画は、役者の表情がバッチリ見える
②字幕の映画なので、歌詞も、バッチリわかる
③歌は、英語で歌われているので、歌詞に違和感がない

という、映画ならではのメリットが、僕の好みにドンピシャなのでしょう。

アン・ハサウェイさんの歌。
『夢やぶれて』は、最高でした。

泣きました。

舞台が映画に勝るのは、生、です。
臨場感です。

例えば、アン・ハサウェイさんが舞台で歌うのならば、僕はどんな困難でも解決して、いえ、未解決でも放っといて、絶対に観に行きます。


①歌詞を暗記する
②ストーリーを暗記する
③S席で鑑賞し、キャストの表情も堪能する

という、3条件を揃えれば、映画以上の感動を得られます。

そこにキャストがいる!、という臨場感とその事実。
スピーカーなどを通さない、生の音。
失敗があり得るという、緊張感。

次回の、ミュージカル『コーラスライン』は、S席で観たいと思います。


◆〆

ゆかりちゃんに提案です。

『S席鑑賞積立て貯金』を、始めませんか?

僕は、ミュージカルの素晴らしさを教えてくれたゆかりちゃんに感謝です。

そして、ゆかりちゃんが大好きです。





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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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