第512話 消費税が10%に上がったおかげで、僕は、妻がさらにスキになった
※ この記事は2020年5月の記事の書き直しです。
◆買い物
ゆかりちゃんとアルペンに行きました。
ここ春日井市のアルペンは、アルペンアウトドアーズといいまして、超大型アウトドアショップです。
僕が購入したいのは、キャンプ用のマットです。
テントで寝るときに敷くやつですね。
会社で仮眠するですが、その布製のベンチに、どうもダニがたくさんいるようなのです。
なので、ダニが住み着けない、そういう素材のマットを探しています。
予算は、「3,000円くらいで買えないかなぁ」と、漠然と考えていました。
これがイイかな? と思った商品が、なんと3,100円。
予算的にはベストです。
素材もウレタン製で、これならダニは住み着けません(たぶん)。
見本はあるけど、在庫が見当たらないので、店員さんに声をかけました。
店員さんは、
「バックヤードの在庫を見てきます!」と言って、いなくなりました。
その間に、他のマットも物色します。
すると、大体の相場が分かってきまして、5,000円~7,000円くらいする商品のようです。
途端に、この3,100円のマットが、メッチャお買い得に思えてきました。
◆10%OFF!
店員さんが戻り、
「在庫がありません」
「現品でよろしければ…」と、言いました。
「ああ、イイですよ」と、僕は即答しました。
現品を購入します。
すると、店員さんが、
「10%引きにします!」と、嬉しい一言を付け加えてくれました。
◆ちゃんと計算
レジで、「税込みで3,060円になります~」と、言われました。
(あれ?)
と、思いつつも、素直に支払いを済ませてレジを離れました。
3,100円が、3060円?
10%OFFなのに?
ああ、消費税か。
消費税が10%になったんだった。
え?
10%引きと、10%の消費税なら、相殺されて3,100円じゃないの?
ええっと~、と、頭の中で計算を始めました。
駐車場の車に向かいながらです。
そっか、税抜き価格から計算しなきゃダメなのか。
まず、3,100円が10%引きだろ~、
ということは、310円引いて、2,790円かぁ、
で、
コイツに、消費税が10%で、279円プラスして、3,069円…。
合っている…。
ってか、9円安い。切り捨てかな?
とにかく、損してなかったわ~。
◆車中での会話
僕は心の中で、
(消費税忘れてた~)
(消費税~って、高け~なぁ~)と、思いました。
車の中で、
「オレ消費税、忘れてたわ~」と、ゆかりちゃんに言いました。
「3,100円なら、安い!って思ってて~」
「さらに1割引きしてくれるって聞いたからさぁ」
「メッチャ安くイメージしちゃってさぁ」
「『税込みで、3,060円です~』って言われて」
「あれ? 安くなってない、って、そう思っちゃったよ~」
すると、ゆかりちゃんも、
「わたしも、そう思った~!」
と、同感のコメントを返してくれました。
◆謝罪
さらに、ゆかりちゃんが言いました。
「いや~、あの時は、そうは思ってなかったけど~」
「やっぱ高いわ~!」
「あんときは、なんか、ごめんなさい!」
「世のみなさん!」
「スミマセン!」
一瞬、意味がわかりませんでした。
3秒ぐらいして、思い出しました。
「たった2%上がるだけで、買いだめするとか!」
「世のオバさんや、オバアさんたちはおかしい!」
「私もね、5%から8%に上がったときはね」
「『うわっ!』、って思ったよ」
「『高いなぁ!』って、そう思ったよ」
「でも、今度はたったの2%やん!」
「買い溜めするとか、ったく!」
「見ていてホント、浅ましい!」
と、ゆかりちゃんはこんな風に、けっこう鼻息を荒くし、怒ったのです。
ただし、公言などはしていません。
わが家での会話のときだけです。
テレビなどマスコミは、消費税アップを、「けしからん!」「庶民の敵!」という論調でしか報じていませんでした。
マスコミとは異なる持論を展開したゆかりちゃんを、僕はとても好ましく感じました。
ゆかりちゃんの唐突な謝罪は、そのとき非難したオバちゃんやオバアちゃんたちへの謝罪だったのです。
非難したのは自宅のリビングでしたので、謝罪も車中で充分です。
僕は、(ちょうどイイ謝罪だなぁ)と、思いました。
◆〆
「買い溜めとかアカン!」と、意識の高いコメントをしたり、
「やっぱ消費税高いわ~」と、本音を飾らず言葉にしたり、
あのとき「悪く言っちゃったぁ」と、反省したり…。
素直にさらけ出して…、
いつも自然体で…。
そのあとスーパーで買い物をして、
レジ待ちのときに、僕に「ピタッ」っと寄り添ったり…、
それを指摘すると、照れて離れたり…。
僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのです。