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820円遠慮したやん⁈ 数秒前の「イイよ,イイよ」って……、なんやった?
◆本棚の断捨離
わが家のリビングには、壁一面を覆う大きな本棚があります。
むかし僕が、たった1人で完成させた自慢の本棚です。
この本棚が、コミックやビジネス書や小説、CDなどでいっぱいになってしまい、泣く泣く、その一部をBOOK-OFFに売ることにしました。
本棚の断捨離です。
1巻から30巻までそろっている、まだ連載中の漫画コミックも処分します。そのほか、いらないと判断した本が結構あって、大きい紙袋が2つパンパンになりました。
全部で、ざっと、60冊くらい。
さらに、手放すことにしたCDも、まあまあの量です。
◆BOOK-OFFへ
ゆかりちゃんと2人で、BOOK-OFFに行きました。
車を【買取者専用】の場所に止めます。出入口に1番近い場所なのです。
大きい紙袋2つを買い取カウンターへ持って行き、待ち札を受け取ります。
店内を見て回ったり、コミックを立ち読みしながら待ちました。
店内放送で、僕たちの番号が呼ばれました。
カウンターに行きますと、店員さんが、
「買取価格は、820円となります」と、
僕たちの顔や目を見ることなく、モニターから視線を動かさずに、小さな声で言いました。
ゆかりちゃん「・・・」
じょーじ 「・・・」
僕たちは絶句。
30冊のコミックが、1冊30円でも900円になる計算です。
僕は、1,000円以下なんて、まったくもって想像していなかったのです。
ゆかりちゃんも、同じ感想なのでしょう。
でも、持ってきた本を、もう持ち帰りたくはありません。
本棚には、充分な空きスペースも無いのです。
不満ですが致し方なく、その820円という提示を受け入れました。
僕たちの顔から、笑みが消えました。
◆820円
帰り道、スーパーへ寄って買い物をしました。
ゆかりちゃんが、アレコレとたくさんカゴに入れているので、
「さっきの820円、あげるよ~」と、僕は言いました。
本気の提案です。本音です。
ゆかりちゃんは、
「イイよ、イイよ」と、遠慮するのです。
会計を終えて、車まで歩く間に、僕はもう1度言いました。
「やっぱり、ツマミも買ってもらっているし~」と。
そして、BOOK-OFFでもらった820円を、ゆかりちゃんの手のひらに渡しました。
ゆかりちゃんは、小銭が置かれた手のひらを、握らずに開いたまま、
「イイ、イイ、いらないよ~」と、まだ、頑なに言うのです。
どうしようか?と考えた僕は、実に、ナイスなアイディアを思いついたのです。
◆500円玉貯金
500円玉貯金があるじゃないか!
わが家に帰れば、満杯になったら10万円という、缶の、500円玉貯金箱があります。
「なら、コレは、500円玉貯金に入れよう」と、
ゆかりちゃんの手のひらから、500円玉だけツマミ、返してもらいました。
「・・・」
ゆかりちゃんは何も言いません。
「・・・」
なんか、ちょっと無言が長いし、手のひらが開いたままです。
その手のひらを、ジ~~っと見つめています。
ゆかりちゃんの心境を察した僕は、500円玉を返却しました。
やっと、ゆかりちゃんの手のひらが握られて、
ゆかりちゃんは、
「そんなん、……当然やん!」
と、少し怒っていました。
◆ちなみに
・この500円玉貯金箱に、500円玉を投入しているのは、僕だけです。
・この貯金箱の目的は、車のリモートスターター代です。
「朝、手が冷たくて困ってるの~」
と、ゆかりちゃんが言うので、マンション内からエンジンをかけて
車を暖めておける、そういうアイテムです。
・僕からの、ゆかりちゃんへのプレゼントです。
・誕生日プレゼントとかではなく、イベントのプレゼントではありません。
・日常でのプレゼントです。
・このプレゼントの購入で、僕の貯金が、4万円減っちゃいました。
・それを補うための500円玉貯金です。
・この事情を、ゆかりちゃんは全て知っています。
・毎朝、「あったかくて最高~!」って、言ってます。
・貯金を崩して先に購入しましたが……
・本来は、500円玉貯金で貯めてから買いたかったワケで……
・いわば、今日投入する500円は、ゆかりちゃんのために、
・リモートスターターを購入するための資金です。
・・・にもかかわらず、ご不満だったようです。
◆謎
「820円、あげるよ~」に対して、
「イイよ、イイよ」
「イイ、イイ、いらないよ~」
と、頑なに遠慮したアレは、一体なんだったのでしょうか?
820円は要らないけど、
500円は要るの?
僕の500円玉貯金になるのはイヤなの?
謎です。
◆10分後
それから10分後です。まだ、車の中での会話でした。
まもなく、わが家のマンションに着くというタイミングです。
ゆかりちゃんが言いました。
「ふふっ。500円玉持っていくのには、メッチャ受けたわ~」
ゆかりちゃんは、メッチャ素敵な笑顔でした。
◆〆
この記事は、2020年4月に投稿した記事の、書き直し記事です。
いまだに謎ですが、
僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
チャオ!
※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1044話です
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