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第126話 リニア・鉄道館
今日は、珍しくも貴重な、ゆかりちゃんの平日休み。
めったにないので、【平日ならでは】の楽しみ方を模索する。例えば「平日限定のランチを楽しむ」とかも、その候補だ。
今日も、最初はその予定だった。
僕の好きな『冷やしラーメン』のあるお店を探した。冷やし中華ではない。普通のラーメンのスープが、キンキンに冷たいのだ。たいていは氷が浮いている。
なかなか、これという店がなく、ゆかりちゃんと、「あれは?」「あそこは?」と意見を出しているうちに、『リニア・鉄道館』に行こうとなった。学校はまだ夏休みになっていないところが多いし、なんせ平日だ。
絶対にすいている。ガラガラかもしれない。
◆鉄道オタク
リニア・鉄道館へ向かう車中で、ゆかりちゃんが「わたし、かるく鉄道オタクなんやて~」と言った。
「オタク、ってほど詳しくはないだろう~」とツッコミを入れると、
「ま、確かに。ミーハーなの。鉄道ミーハー」
「略して、鉄ミ!」
ゆかりちゃんは、苦笑いをしてくれたが、鉄ミ!は、完全にスベった。
◆貸切か⁉
到着したら、びっくり!
ガラガラという、そんなもんじゃなかった。一瞬、貸切かと思った。
ゆかりちゃんは、子どもが少なかったなら、新幹線の運転シミュレーターをやるんだと、めっちゃウズウズしていた。まちがいなく念願が叶う!
ガキンチョも、ぜんぜん居やしない!
入場して、即、総合案内所へ予約に行ったのに、16時の予約になってしまった。まだ2時間ある。
しかし、そこは博物館好きの、僕たち2人だ。まったく問題ない。
しっかり見学すれば2時間なんて、アッという間なのを知っている。
◆見学
ジオラマがあった。
見事だった。
もちろん、新幹線やリニアが走っているジオラマなのだが。リアルすぎて、鉄道に関係ないところも、バシャバシャ撮った。(↑見事でしょ)
リニアの説明ブースでは、リニアモーターカーは磁石を利用するという超基本的なことを、ゆかりちゃんが知らなった。
それでよく、「わたし、鉄道オタクなんだ~」と言ったなぁ、と思ったけど、僕はそのような指摘などしなかった。ふふん。
新幹線シミュレーターの肩慣らしに、在来線のシミュレーターをやってみた。
僕は、参加者中2位の【優秀】だった。ゆかりちゃんは、ホームの停車位置のかなり手前で止まったり、そうかと思えば、次の駅ではベタに通過しちゃうし。24人中14位。・・・。(鉄道オタク?、などとは言わないのだ、僕は。ふふん)
本物の電車や新幹線を間近で見まくった。
アイキャッチ画像にも使ったが、新幹線たちだ!
左から、700系、300系、100系、0系だ。
僕は、0系が好きだ。愛嬌がある。ゆかりちゃんは300系が好きで、理由は「カッコイイから~」だそうだ。
僕がたくさんのの男性の中から、ゆかりちゃんに選ばれた理由は「カッコイイから」、ではないそうだ。
「選んでない」「好きになったとも言ってない」ということだった。
◆テールライト
新幹線の歴史をたどる映像を、ふたりで観ていた。
「わたし、テールライトを見るとセンチメンタルな気分になるの~」
「なんでだろ~・・・」と、ゆかりちゃんが言った。
僕は、0.1秒で、その原因を予想した。
1.中島みゆきの名曲『ヘッドライト・テールライト』の印象の影響。
2.JR東海のCMのイメージを連想。
3.僕たちの、約7年間の『遠距離恋愛』中の、移動が新幹線。その切ない思いでの象徴。
とりあえず、3をチョイス。きっと面白いほうに話がいくだろうと考えたのだ。
「ああ。・・・僕との。昔の、遠距離恋愛中を、思い出すんだろうね~」
「は? 私の思考の中に、今、じょーじは居なかったけど?」
「・・・」
放心状態の、僕を置いて、「最後にもう1枚」と写真を撮りにいく、ゆかりちゃん。
こころの広くなった僕は、ひとことも指摘などをしなかったのだ!
カーネギーが、僕に天国から微笑んでいる気がする。
「今度は飛行機を見に行こう!」というゆかりちゃん。
僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。
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