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女とは、まことに不思議な生き物だと思うのだが、これって多数派かなぁ

「ない! ない!……やっぱりない!」

ゆかりちゃんが騒いでいた。
土曜日か、日曜日だったと思う。

僕は自分の部屋で、ノートパソコンのキーボードを叩いていた。
noteの記事を書いていたのだ。


「ない! ない!……るー
(娘)の方に行っちゃったかな?」

「なんのこと?」と娘。

「私のパンツがないのよ~」

「見てみるね」
(※2分くらいして)
「ないよ~」

「パンツって、ショーツの方よ」

「うん、そう思って探した」

「え~、なんでないの~」

それから15分か20分くらい、しばらく静かになった。


「どんなに探してもない!」


と、
ず~っとパンツを探していたらしいゆかりちゃんが、最終決定事項かのように言い放った。
大きな声で、まるで『宣言』じゃないか。


「どこ行ったんだろうね~」と娘。

「もしかして、……盗まれた?」と、ゆかりちゃん。

「え? 盗むなら私の方を盗むでしょ」と娘。

「だよね~。そうだよね~」と、ゆかりちゃん。


ゆかりちゃんの声が、なんか嬉しげ。
2~3%くらいか、ごく微量だが勝ち誇った感が混じっている。

娘が敏感に反応する。

「そうだよ、もし下着ドロボーなら、私の方をるでしょ!」

「だよね~」

この「だよね~」が、微妙にニヤついた声に聞こえた。
なくなったのは私のパンツだ、という事実が、ゆかりちゃんの自己肯定感をアップさせているらしい。


僕は、我慢できなくなった。

「ゆかりちゃん」

「なに~?」

「声が、嬉しそうだぜ~」

「ぃにゃははは~、だって、ほら、なくなったの私のパンツだからさぁ~」


(否定しないのか!)と、僕は心の中でツッコミを入れた。

娘の、苦笑いに1~2%の悔しさが混じっている。

女とは、不思議な生き物だなぁと、僕はつくづく思った。


※「嬉しそうな声」の、証拠となる音声


僕は、ゆかりちゃんが大好きだ。






チャオ!


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1110話です


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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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