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第526話 距離が離れているからなんだけど、でも、まだちょっとちゃうねん!

※ この記事は2020年5月の記事の書き直しです。
※ この記事は、そんなに長くありません。
※ ゆかりちゃんの天然っぷりがかいま見れます。
※ 「クスッ」と笑っていただけると思います。


◆お洗濯

ゆかりちゃんは洗濯が大好きです。

「家事の中で1番好き~!」

と、ゆかりちゃんは言います。

このセリフを言うときのゆかりちゃんは、ほんの少しドヤっています。
たぶん、ゆかりちゃんにそんなつもりは、まったくないと思います。

でも、ほんの少しだけドヤ顔になるのです。


ゆかりちゃんは家族全員のパジャマを、毎朝洗います。
僕は、東北で生まれ育ち、そのあとも関東でしたので、この習慣には驚きました。

愛知県に住んで、この地域の暑さと、そして湿度の高さが、尋常ではないと知りました。

「なるほど、この気候であれば、パジャマを毎日洗う人がいても不思議ではない」と、最近理解しました。


ゆかりちゃんは、お日様の光を浴びてよく乾いた洗濯物が、

「とても気持ちいいの~!」

と言います。

反面、それゆえに、
花粉の季節や雨などで部屋干しすることを、まだほとんど食べていないソフトクリームを落っことした子供のように、めちゃくちゃガッカリします。

この世の終わりかのような、哀しい顔をします。


◆天気予報

そんなゆかりちゃんです。
朝の天気予報は、必ず、絶対、何があってもチェックします。

別に、気合は入っていません。
なんせ、もう「習慣」になっていますから。

前日の夜、天気予報をチェックして、それでも油断などすることなく、朝の天気予報を、ちゃんと、真剣に観ます。
朝、晴れていて、だからといって普通に外干しして会社へ行き、お昼頃雨に降られて洗濯物が濡れる…。

これを避けるためには、朝の天気予報を、しっかり観なければなりません。


◆そんなワケないやろ!という顔

ゆかりちゃんがTVに近づきました。

「え~、雨なの~、降らんって言ってたのに~~~!」


夜の予報と、言っていることが違うじゃないか!という怒りです。

でも、ゆかりちゃんが観ているのは、三重県の雨予報です。

「こっちは晴れだよ~」

と、僕は教えてあげました。

「えっ⁈」
「えぇ~~~⁈」

と、ゆかりちゃんは凄く驚いて、かつ、

そんなワケないやろ!

という顔を、僕に向けました。

顔が、
「騙すな!」「洗濯は真剣勝負なんだ!」「変な気休め言わんといて!」
と訴えています。
言葉ではなく「顔」がです。

天気予報のつづきを観て、愛知県の【晴れ】を確認して、
念のため別チャンネルの天気予報も観て、それでやっと納得したようです。

「こんなこともあるんやね~」

「三重県と愛知県は、そりゃあ違うでしょ~」

「だって三重、近いやん」


◆じょーじの話はどうでもイイの

僕は、つい、求められていない解説を始めました。

同じ愛知県でも天気が異なることは良くあることだし、
それどころか、同じ春日井市内でも、こっちは晴れているのに高蔵寺方面は土砂降りとか、

そんなのアルアルだよ。

車で走っていると真っ黒な雨雲が見えて、
【土砂降りの雨】と【晴れ】との境界線をハッキリと目視したし。

雨雲が来たのではなく、車が雨雲に突入しての土砂降りの雨。
なぜ、そう言い切れるのか?
雲を抜けると快晴だったの! そして、Uターンしたらまた同じ場所から土砂降りの雨。ワイパーが効かないほどの雨。そしてまた、同じ場所で雨雲を抜けて快晴になったの!


地名や場所も具体的に話して、臨場感タップリのメッチャ面白い、有料級のお話を披露したのです。

この面白い体験談を混ぜて、僕が伝えた結論は次の2つでした。
①三重県は、近くはない
②もっと近い地域でも、同じ天気とは限らない

セミナー会場ならスタンディングオベーションが発生しています。
分かりやすく、かつ、面白いお話でした。

おそらく、ゆかりちゃんは右から左に華麗に聞き流したのでしょう。


ゆかりちゃんは、こんな結論を出したのです。
僕の出した結論に、ゆかりちゃんの結論をかぶせてきたのです。

「あ、尾鷲の方だからか~」
「尾鷲は遠いなぁ~」
「尾鷲は遠いもんね~」


確かに三重県は縦に長いよ。
でもね、
津市も遠いのよ。
桑名市も四日市市だって遠いのよ。

尾鷲だけが遠いのではないのよ。

ちなみに、ちょっと聞いていい?
僕の解説、聞いてた?


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのです。




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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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