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第245話 「物にも、感情って、大事なんやで~」っていう話


少しまえに、ニトリの【野菜水切り器】を買った。

マコなり社長が、動画で「良い」と言ってたからだ。


もう1つ、理由がある。消費税込みで523円と、激安だったからだ。


◆使用するメリット

野菜の水気を、バッチリ切ってくれるのだ。

その何が良いのか?

ドレッシングが薄まらないのだ。


少し、シナ~っとなった、レタスなどの葉物野菜。これを「シャキ~ン」と復活させる、簡単な方法がある。

水にさらすとか、50℃のお湯にくぐらす、などの方法だ。詳しくは各々、ググっていただきたい。

そのようにして、「シャキ~ン」と復活した野菜は、大量の水分をまとっている。その水分を、いとも簡単に失くしてくれるのが、このアイテムなのだ。

新鮮な野菜だったとしても、かるく水洗いするし、これ、ほぼ毎日活躍しているんじゃないかなぁ。


◆日曜日の、ゆかりちゃん

サラダを準備しているゆかりちゃんが、この【野菜水切り器】を使っている。

僕は、横で見ていた。

回らない。

ちょっと回って、フタが外れる。

それを繰り返す。

(内側にセットしたザルが、ちゃんとハマってないのでは?)

この思考は、真っ先に思いつく、『ちゃんと回らない原因の第1候補』だ。僕はそう思うし、そして、たいていの人が、同じように考えるとも思う。

横から見ているので、一目瞭然でもあった。中のザルがズレている。

でも、ゆかりちゃんは、ザルをセットし直そうとはせずに、まるで、根性でなんとかなると、そう考えているみたいだった。

『クルクル、ガガッ』

(いや~、それ、軽い力で回るモノだから~。何度も使って、それ、知ってるよね~)

言わないけど、そう思った。


◆あ、言った

そのまま見ていたら、ついに、ゆかりちゃんが言った。

「がんばれ~」

って、野菜水切り器に。

(あ、言った。言いやがった。やっぱり根性論だ~。相手、モノなのに)と、僕は思った。


そして、ついに僕も、カーネギーの教えの『指摘しない』を破ってしまった。


「相手は、モノ、だからさぁ~。理屈が大事だよ~」(あ、言っちゃった)

「ん~ん。どゆこと?」  (おっ? 怒らない? なんか素直だ)

「ちゃんとハマってないと思うよ~」(指摘しちゃった~)

「そう~?」  (でも、大丈夫そうだぞう~)


ゆかりちゃんは、やっと、中のザルを(雑に)直して、そしてフタをして、回した。

野菜水切り器は、無事に高速で回り、レタスの水を切ってくれた。


◆いつもと、ちょっと違った

いつもの、ゆかりちゃんなら、僕が指摘したなら、

「ん~ん。どゆこと?」

ではなく、

「あ゛ぁ~ん、なんだと~⁉」

とかになるハズだ。

あるいは、「黙ってて!」とか、「わたし、今、アドバイス、求めてないから」とか。ご機嫌が悪ければ、無言とかもあり得た。

ところが日曜日は、すなおに可愛らしく「ん~ん。どゆこと?」、だったのだ。


◆ゆかりちゃんが、2個、のたまわった

無事に、野菜水切り器が勢い良く回っているときに、ゆかりちゃんが言った。

「モノにもね~、感情って、大事なんやで~」と。

・・・。

(・・・あのね。そのセリフ。根性論で、野菜水切り器の立場にもならんと、ムリヤリ回そうとした人がいうセリフですか?)

(どっちかっていったら、僕のセリフやで~。)

思っただけで、言ってない。

指摘していないから、ゆかりちゃんは、この天然ボケに気づいていない。


「捨てるって言うと、壊れたりするんやでぇ~^^」

これが、2個目の天然ボケ。

「コイツ(たとえばラジオ)、なんか調子悪いし、捨てるか」と言ったときに、ラジオが腹を立てて壊れたりしたら、確実に捨てられてしまうやん!

なんっていうか、逆やねん!

これも、指摘してない。

正しい例え話は、長年乗ってきた愛車に、「コイツ、加速が悪いんだよなぁ。あ~あ、スポーツタイプの新車が欲しいなぁ」とか言ったときに、エンストしちゃうとかだ。

「ガス欠でもないのに、なんでだ?」

「アンタが、さっき、この車の悪口言ったから、すねたんちゃう~?」

とかだ。

そして、エンジンがかかるのは、以下のどっちかだ。

「ゴメン! 僕は、君を絶対手放さない! ワックスも、必ず週に1回かけるから、機嫌なおして~」

か、

「コイツ、アッタマきた~!! 中古車屋なんかには売らん! 即、スクラップにしたる~!!」

かだ。

この、どちらかで、エンジンが「ブルるん」と、かかるのが、マンガでよくあるパターンだ。

ゆかりちゃんも、そんなイメージで言ったのだろうが、例え方が、逆なんだよなぁ。・・・残念。

何度も言うが、このとき僕は、これらを一切指摘していない。


僕は確かに、「相手は、モノ、だからさぁ~。理屈が大事だよ~」と言った。

「理屈」、と言った。

だが、それは、【モノ側の立場に立っての発言】だった。

「モノは、動かないときには動かない理由があるから、むりやり動かそうとせずに、まずは原因を突き止めようよ~。考えようよ~」という意見なのだ。

その方が、モノに対して優しい。そういう意見だったのだ。どこからどう聞いても、僕はモノに対して、優しい意見を言ったのだ。


対して、「いや~、大丈夫やて~~。ホレ、頑張り~! 回れ~!」って、どっちが、モノを大切にしている?

ちゃんとハマってないのに、それでも回そうとするから、僕には、野菜水切り器の、悲鳴さえ聞こえたよ~。『ガガッ』って。

なのに、「モノにもね~、感情って、大事なんやで~」って、【感情】の使い方が、たぶん、逆やで。ある意味、ゆかりちゃんのは、パワハラやで。モノたちに、訴えられるで~。

言ってない。僕は、言葉にしていない。思っただけだ。


・・・。

カーネギーの教えって、このメッチャおもろい天然ボケに対する、メッチャおもろいツッコミをも、禁止してしまうんやなぁ~。

カーネギーさん。これって、もったいなくないですか?

ま、その瞬間にツッコミを入れると、ウケるか、ご機嫌を損ねるか、五分五分になってしまうなぁ。


と、まあ、天然ボケを2連発しながら、その事実に、ゆかりちゃんはまだ気づいていないのだ。


◆〆

僕は、傲慢(ごうまん)を改めている。そして、尊重を知り、実践するように努めている。

つまり、傲慢村を出て、尊重村に転入したのだ。お引越しが済んだのだ。僕は、尊重村の住民になった。

そのおかげで、

「相手は、モノ、だからさぁ~。理屈が大事だよ~」(あ、言っちゃった)
「ん~ん。どゆこと?」  (おっ? 怒らない? なんか素直だ)
「ちゃんとハマってないと思うよ~」(指摘しちゃった~)
「そう~?」  (でも、大丈夫そうだぞう~)

という、平和な会話になった。

そう思う。

指摘したのに、ゆかりちゃんは怒らなかった。僕の指摘に、ゆかりちゃんは傷つかなかったのだ。

いや~~~。尊重って、大事やなぁ。

逆に言うと、以前の僕は、ゆかりちゃんを尊重していなかったから、ゆかりちゃんを傷つけまくって、ナーバスにしてしまっていたのだ。

2度と、まえの傲慢な僕に戻っちゃダメだ。


ゆかりちゃんは、

「こらこら、じょーじ。あなた、まだ転入の【許可】が下りてないんやて~^^(ニヤリ)」

って言うだあろうなぁ。(これ、最近の【ゆかりブーム】だから)


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。




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