クウォーター・チアリーダー
駅から家に帰る道に中高一貫の私立高校があるんです。私立高校なので敷地も広くて、フェンスには「硬式野球部 甲子園制覇」や「バスケットボール部 全国ベスト4」などの垂れ幕が所狭しと並んでいるんです。
昨日、仕事がお昼に終わり、その私立高校がある道を通っで帰った際に、スマホを落としてしまったんです。画面が割れてないか心配ですぐに拾い上げた瞬間に、ふと「チアリーディング部 1/4部門 全国64連覇」という垂れ幕が見えました。
チアリーディングの全国大会ってそんなに歴史が長いんだなと思っていると、フェンス越しのグランドが騒がしくなりました。明るいアメリカンな音楽と共に奥の方からキラキラした女の子達が出てきました。全国64連覇のチアが見れるんだと思いほんの少しワクワクして眺めていたのですが、一向にグランドの方に来る気配がありません。そして、奥の方で演技が始まりました。
たしかに、キラキラした女の子は見えるし、音楽も流れている。でも、全然見えてこないんです。すると、「うわー！すげー！」という声がして、その方を見るとスカウトマンらしき人がいました。「これはなんですか？」と聞くと、
「チアリーディングの1／4部門だよ」とその男性。
「1／4部門？」と聞くと、
「そう。全てが1/4のチアリーディングなんだよ。チアリーディングの演じる時間も人数も普通の1/4、演じてるチアリーダーのサイズも1/4なんだよ。」
「なるほど」と思いました。「チアリーダー達が一向にこっちに来ないと思ったのは、人のサイズが1/4と普通の人よりも小さいからそう感じたんですね。」と言うと、
「うん。だから、64連覇って書いてるけど、実際は16連覇だよ。」
「そこも1/4なんですね。」
「でも、すごいよね。全てが1/4でもクオリティは普通の4倍だよ！」
「そうですね。」
たしかに、素晴らしいチアリーディングでした。
「一生懸命に演じてる4.25歳の女の子に感動するとはね」と言い、彼は帰って行きました。
「割り切れる時だけで良くない？」と思いました。