人間の深みって

私の生活空間にはエアコンがない。

正確に言うと、設置はされているのだが、机が置かれている空間まで構造的に暖気が届かないので、こたつのみで冬を越さなければならない。物件探しの時に空気の通り道まで気が回らなかった私が悪いのだけど…

そのせいか、最近は暖かい空間を求めて他のおうちにお邪魔させてもらうことが多くなった。前の記事で話した趣味の合う人、無事に恋人になってくれたのだけど、彼の部屋は広くてあったかくてもこもこのクッションがあって快適（けど思うところもある！）
なので、よく彼の部屋にお邪魔している。

この人とはまじめな会話ができる。

もちろんとりとめのない会話や冗談を言い合って馬鹿笑いもするけど、突然「手に職は必要か？資格は取っておいた方が有利だと思う？」「人生のＩＦルートって考えたりする？」とか聞いても変な顔せず彼なりの解答をくれる。
この間はたこ焼き概念についてとかいう謎議題に付き合ってくれた。

とにかく彼は、自分なりの人生哲学や価値観をかなり言語化できる人だ。どんな質問をしてもその場で思考を組み合わせ、解答を作り上げられる。仮に今まで考えたことのないテーマだったとしても。


人間の深みとか中身ってなにで、どこから来るんだろう、と思った。
私はその人なりの確固たる考えや価値観を持って言語化できる人を素敵だと思うし、そうなりたいと思う。つまり私は、深みや中身というものを「独自の考え・価値観を持ち、それを言葉や行動で他者に展開できること」だと考えているということか。
けれど、これができる人ってインターネットには当たり前のように存在すれど現実世界ではそれほど出会ったことがない。
先日彼から「今から話す内容について感想を教えてほしい」と言われ、彼の叶えたい世界について、その理由と実現に向けた方向性について話してくれた。（めちゃINFJぽい発言だよね。その通りです）
その場でうまく言語化ができない私は、そう考える理由について聞いたり「〇〇という考え方は素敵だと思う……」とか誰でもこたえられそうな、彼が求めている感想とは絶対違う薄っぺらな発言しかできなかった。

どうしたらうまくモヤモヤを言語化できるのだろう。どうしたら自分なりの考えをその場でまとめて言葉にできるんだろう。
モヤモヤのはじっこをつかむことはできるけれど、それの根本にまで深堀りができたことはあまりない。
いつも途中で脱線して、自己卑下に繋がってあ～なんて人間なんだ私は、とメンタル低下に貢献して終了する。

人間の深み、中身って何で決まるんだろう。
経験？考えが固まるにはある程度の独自の経験値と、それをふまえた思考のゆがみのようなものの蓄積が必要なのかなと感じた、今。


中身のある人間になるなら、ポジティブな中身のある人間になりたい。
けれど私の人生経験的に、まだ大変浅いけれど、社会を悲観というかどこか冷めた目で見てしまう。
もちろんミクロな視点で世界を見て、綺麗な花や美しい空、焼き立てパンの香りに心躍らせることはできる。
じゃあ社会を、自分の人生を、今後の展望も踏まえてマクロな視点で見てみたらどう感じるか？言語化云々の前に圧倒的ネガティブな印象しか抱かない。不安、不明瞭さ、明るくなさそうな社会。

彼は言った。
「未来をある程度予測できてしまったら頑張る気が失せるんだ。」
私は信じられなかった。先行きの見えない未来は不安じゃないの？ある程度安定した軌道に人生を乗せるために頑張るんじゃないの？って。ああ私の人生の軸は安定性なんだ、不安定は先が見えなくて怖くてダメなんだ。今までずっと不安定でぐらぐらと生きてきたし、生きているから。

自分に対して大変ネガティブなことを自覚している私は、対人コミュニケーションの際、相手の発言をなるべくポジティブに捉え、かつ否定しないことを心掛けているのだけど、これの弊害として相手の発言に疑問を呈することが本当に苦手になった。
そりゃすべてを受け入れるように何年間も思考を矯正し続けてきたのだからそう簡単に変えられるわけがない。
大学の講義なんかではなるべく意識して批判的に考えるようにしているけど、一度集中が切れてゾーンを抜けたらもうポンコツ全肯定botである。
だから、思考のぶつけ合いを楽しみたい人にとって、私との会話は楽しくなさそうだな、とか考えてしまう。

ああメンタル低下貢献タイムが始まりそうなので、このあたりで今日は寝ようと思う。おやすみなさい。