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バイオレット

私の家族は3回海外留学性のホームステイ先に選ばれていた。

そんな中でも2番目にやってきたバイオレットはかなりインパクトが強かった。

彼女は中学2年生のとき同じ年齢で、すごく仲良くなることができた。
短髪ショートの白人で、かなり大柄な女の子だったと思う。

そんなバイオレットはいつも明るい性格をしており、何でも果敢にチャレンジする性格をしていた。
日本にやってきたら外国人が恒例にやる納豆チャレンジはもちろんのこと、味噌汁や塩辛などクセが強すぎるものもパクパク食べて
「美味しい!」
と喜んでいたのだ。

そんなバイオレットとの一番の思い出は、台風の日のこと。

交換留学中、私が住んでいた東京は台風が直撃していた。

アメリカではハリケーンはあるものの、彼女が住んでいるマサチューセッツにはあまりないのだろう。
バンバンと風が打ち付け少し怖いこともあり、もともとは別の部屋を準備していたものの、一緒に眠ることにしたのだ。

するとバイオレットは翻訳機でこんな事を言ってきた。

「なんだかお泊り会みたいだね!」

きっとバイオレットは数日間一人で寝ていたことが寂しかったのかもしれない。
だからこそ、一緒に眠ることができることを喜んでいたのだろう。

この日を境に、私達はすごく仲良くなっていった。
どこへ行くにしても手を繋いで歩き、ずっと他愛もない会話をしていた。

帰国する日のこと。
バイオレットは大泣きして帰国を嫌がっていた。

「m、いつかまた会おう」

そう手を交わしハグをすると、涙ぐんだ彼女がバスへ乗って行ってしまった。

私も大泣きしていたのを覚えている。
いつかまた会いたいと思う一人だ。

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