Syncableの中の人! 高村大夢さんインタビュー(2023年2月)
個人企画としてはじまった、「非営利に関わる人たちインタビュー」。
トップバッターは、NGO/NPOのファンドレイジングのお手伝いをしている株式会社STYZのサービス「Syncable」の中の人、高村さんです。
私も非営利団体でSyncableさんのお世話になりました…! そんなわけで、早速インタビューのスタートです。
◆お名前、年齢、ご出身を教えてください!
高村大夢(たかむら・ひろむ)、山梨県出身です。年齢は23歳で、20歳の頃からファンドレイザーをしています。
◆20歳! ファンドレイザーになったきっかけは?
高校3年生のころ、NGO・NPOが資金調達などについて学ぶイベント「ファンドレイジング・ジャパン(FRJ)」に参加しました。
実は小学校からサッカーに打ち込んでいた関係で、サッカー選手を排出していることで有名な韮崎高校に通っていたんです。その後の進路に迷っていたのですが、ちょうど韮崎にできた中高生のサードプレイス(居場所)に顔を出すようになって。
その運営をしているNPOの代表さんに「進路、どうしたらいいですかね…」と相談したら、「ファンドレイザーっていう職業があるよ」って紹介されたんです。アメリカでは立派な職業になっていて…みたいなことを教わりながら、自分でも調べて、FRJのことを知りました。スカラーシップ(奨学金)もいただいて、参加させていただくことになりました。高校生の参加が珍しかったので、スピーチもさせていただいたのを覚えています。
◆FRJで、何を感じましたか?
「日本のことを本気で考えている大人が、こんなにいるんだ!」と、一人の高校生として衝撃を受けました。
大学では経営を学びながら、翌年以降もFRJに参加して、准認定ファンドレイザーの資格を取りました。今も、認定ファンドレイザーの資格に挑戦中です。
Syncableとの出会いもFRJでした。ブースを出していて、同年代だったインターンの長谷川さん(現Syncableスタッフ)が声をかけてくれて。大学生だった20歳の頃から色々な団体のファンドレイジングをお手伝いさせていただいて、大学4年生からはSyncableで働き続けています。
◆今、Syncableではリモートで山梨から働いていると聞きました。
大学3年生の時に、コロナが始まって。東京の大学で学んでいたのですが、授業がリモートになったので、地元の山梨に戻ってオンラインで授業を受けました。
実は大学生活と並行して、山梨の活性化を目指す大学生のコミュニティを、友人と立ち上げたんです。「地元のために何かがしたい」って大学生、けっこういるんです。50人くらいが集まって、それぞれの得意分野や関心、たとえばデザインやファンドレイジングとかで、できることや挑戦したいことをやってみる団体です。NPOのチラシ作りをしたり、思い入れのある母校が廃校になってしまった時には、100人以上があつまる鬼ごっこイベントをしたり。
このコミュニティの運営にも、「どんなメッセージを伝えたら共感してもらえるのか?」「どんな広報戦略で発信していくか?」といったファンドレイジングの知識や姿勢が活きていたと感じています。ファンドレイジングは、「ファン度レイジング(ファン度を上げていく)」なんて言われますが、「寄付者」を「このコミュニティに参加する大学生」に置き換えて取り組みました。非営利団体様の運営においても、「イベント参加者」や「ボランティア・プロボノ」の募集にも置き換えて取り組むこともできるのではないかと感じています。
◆山梨活性化の活動家だったんですね!
地元が大好きです(笑)。東京で暮らしていましたが、「無理だな…」と思うことが色々あって。東京の暮らしは、例えば通勤ラッシュは大変ですし、家はどうしても狭くなってしまいます。山梨に戻りたいな、と感じていました。
一方で、東京を離れると、交通の便も悪くて、選べる仕事の幅が狭くなるようなイメージがありますよね。でも、山梨で考えれば、山梨は車なしでアクセスできるのは全体の2割くらいなんです。その2割しか知らないまま、「山梨には何もない」と決めつけるのはもったいないと思うんですよ。
山梨で暮らすなら、自分の好きな仕事が選択肢になるように、創っていくことが課題になると思いました。地域活性化のために若者ができることが、まだまだたくさんあると感じています。
◆地域活性化に取り組む高村さんが、創りたい社会の姿はありますか?
これはSyncableを運営するSTYZの田中さんが言っていることでもあるのですが、NPOは社会保障を創っていると思うんです。よく、がんの研究機関だとたくさんお金が集まることってあるじゃないですか。NPOだって、同じくらい大切なことをしていると思っています。だから、NPOの活動が正当に評価されてほしい。お給料とかに悩まないで欲しいんです。評価されて、例えばその活動の実績が評価されて、行政側に取り入れられたりすることも、一つの最終形だと思います。
それから、自分自身は日頃から、「Can(できる)」ということを起点に考えるよりも、「Will(やりたい)」を大切にして生きているんです。だから、誰もが自己実現の選択肢がもてる社会であってほしい。NGO、NPOの活動はどれも、そこにたどり着くために欠かせない、大切な活動をしていると思っています。
◆Syncableの好きなところはどこですか?
2つ挙げます! 1つめは、常に新しいファンドレイジングの手法を開発しようとする姿勢。日本の寄付業界の最前線を拓こうとしていると思うんです。マンスリーサポーターを募るキャンペーンも、サポートファンディングも、バースデードネーションも、Syncableから始まった取り組みです。サポートファンディングは、寄付市場が変わるサービスだと思っています。「あの団体のために何かできないか」という小さな取り組みは昔からあったと思いますが、サポートファンディングは、それを可視化するツールです。ムーブメントにしていけたらと願っています。
2つめは、どんな小さな団体も取り残さない姿勢。任意団体でも登録できて、ファンドレイジングを始めることができるシステムは他にないですし、大切だと思っています。
◆高村さんの考える、Syncableの未来は?
ファンディングが上手くいっている団体さんの事例を、他の団体さんも学んでいけるプラットフォームになりたいなと思っています! Syncableにはたくさんの団体さんが登録しているので、事例のデータは貴重だと思っています。少しでも団体の皆さんの手間が減るように改良しながら、攻める手段を学べる場になったらと。
ちなみに、Syncableは新卒のファンドレイザーを採用する唯一の企業だと思うので、若いファンドレイザーを増やしていくことにも貢献できたらと思っています!
◆高村さん自身は、例えば5年後どうなっていたいですか?
個人寄付だけでなく、団体さんのファンドレイジング全体に貢献できるようになっていたいですね。企業寄付、事業収入、助成金、それから投資や融資…まだまだ学ぶ余地があると感じています。
個人として続けている山梨の地域活性化も、もっと色々なアイディアを出して取り組んでいきたいです!
◆最後に、団体の皆さんに向けてメッセージをお願いします!
これまで、色々な団体さんと一緒に挑戦を続けてきたので、短期戦は自信があります! クラウドファンディングや、マンスリーサポーター募集キャンペーンなど、ぜひ相談いただけたら嬉しいです。
それから、どんなに小さくても日本最前線の、そしてサポーターさんの心に残る取り組みを、皆さんと共に創り、一緒に成長していけたらと願っています。よろしくお願いします!