「今夜」マガジンへのアンサーノベル
年末の忙しさもひと段落し、実家へ帰る荷物の中に「今夜」マガジンを忍ばせる。
数日前、下北沢で行われいていたイベントで購入した雑誌だ。
「今夜」というタイトルと、編集者の人柄だけで
夏の蒸し暑い日の、夜の思い出のような内容なのではないかと想像する。
結論から言うと、蒸し暑い夜の日を思い出すような作品もあれば
私の全く想像していなかった作品もあった。
これだから本は面白い。
いくつかの作品の中に出てきていた
夜の寂しさや懐かしさ。
思い出を思い返す時、人は明るい太陽の下での出来事より
微かな月の光の下の出来事の方をよく思い出すのだろうか。
昔の事はうっかり忘れて、思い出そうとしても中々思い出せない性分の私は
あの夏の夜のコンクリートの香りや、植物の独特の香り、梅雨の日の雨の匂いを嗅ぐと懐かしさを感じても
その当時の自分は、上京したてで寂しさを感じていたのか
地元を懐かしんでいたのか
今では思い出せない。
ただ、当時は同居人とアサヒドライをカートンで買い込んでは毎晩飲み明かしたり
意味もなく夜道を徘徊したり
大学には真面目に行っていなかったのに何故かサークルにだけ顔をだしたり
はじめて出会う人たちと、はじめて出会う東京という街に
心が浮ついていたことは確かな事実だ。
「今夜」マガジンを読んでいたら
そんな日の夜のことをふと思い出して
あの時の友人たちに意味もなく連絡したい気持ちになった。
まぁ、しないのだけれど。
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東京ビエンナーレ2020-2021参加アーティスト。
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