枕草子 中宮定子の出産と行啓(4)
清少納言先生:はい、続きをお願いします。
舞夢 :了解です。
私(清少納言)は、側に寝ている人を揺り動かしました。
「ねえ、あれを見てごらん、見かけないお方がいらっしゃいますよ」
と言うと、その人も顔を上げて、大笑いになりました。
私は、一言、言ってあげました。
「あの人は誰なのでしょうねえ・・・もう、丸見えで恥ずかしいのに」と言うと
成昌が「この家の主人としてですね、どうしてもご相談したいことがあるのです」などと言うものだから、
私が「門のことは中宮様に申し上げましたが、この襖のことなど開けて欲しいなどとはねえ・・・」と言うと
成昌が「やはりねえ、そのこともお話したいのです、お伺いしてもよろしいでしょうか、お伺いしてもよいでしょうか」と言ってくるので
側の女房が「こんな格好になってしまっているのに、駄目に決まっているでしょう」と笑って応えました。
成昌も「ああ・・・そうでしたか、お若い方もいらっしゃるのですね」とあきらめて、襖をしめて、すごすごと立ち去りました。
もうね、私たちは、大笑いでした。
襖を開けようと言うのなら、そのまま入ってくればいいのにとね、
入っていいですかなんて言われて、はいどうぞなんて、誰がそんなことを言えるのかとね、まあ成昌は、本当に堅物で面白い。
翌朝ね、中宮様の御前に参上して、この出来事を申し上げました。
中宮様は、「そんな色好みなんてことを聞かない真面目一方の成昌なのに、まあ、夕べの貴方との問答に興味を覚えて、ついつい立ち寄ったのでしょうね」
「かわいそうですよ、あんな真面目な男を、こっぴどく苛めるなんて」とお笑いになりました。
清少納言先生:少しだけ、訳が柔らかくなってきました。
舞夢 :はい、痛み入ります。
清少納言先生:舞夢君だったら、どうするの?
舞夢 :いやー・・・行きませんよ・・・
清少納言先生:やりこめられるから?
舞夢 :危うきに近寄らず・・・
清少納言先生:すごく可愛い人がいたら?
舞夢 :仮定の質問にはお答えできません。
清少納言先生:からかって、大笑いしたくなりました。
はい、本日はこれにて終了。
また、明日。
清少納言先生は、あろうことか、手を握って来た。
これも、からかいの技術だと思った。