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新古今(14) ゆきて見ぬ 人も偲べと 春の野の

延喜御時の屏風に
                              紀貫之

ゆきて見ぬ 人も偲ぶべと 春の野の かたみに摘める 若菜なりけり
                        (巻第一春歌上十四)

(子の日の遊びに)出かけて見ることをしなかった人に、(それが、どれほどやさしい喜びに満ちていたかと)思いを馳せて欲しいと思い、春の野の形見として小籠に摘んで持って来た、(その)若菜なのです。

※延喜御時の屏風
 醍醐天皇御時の屏風絵。延喜六年(906)。「ねのひあそぶ家」の絵解き歌。
●「子の日の遊び」
 正月の子の日に、人々が野原に出て、小松を引いて千代を祝い、若菜を摘んで遊宴したこと。
※かたみ
 小さな籠。「形見」を掛ける。
※ 「古今和歌六帖」「和漢朗詠集」にも採られた、古来から親しまれた名歌。

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