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軍艦や競走馬だって擬人化できたのだから電車だって…
擬人化作品の流行
はじめに
2013年に旧日本海軍の軍艦を擬人化した「艦隊これくしょん」が流行し、2017年に動物を擬人化した「けものフレンズ」が流行(アニメの2期は最悪だった…)、2021年に競走馬を擬人化した「ウマ娘」が流行し、現在に至る。
ポスト「艦これ」「ウマ娘」を考える
では、その「ウマ娘」の次にヒットしそうな擬人化作品を考えてみる。私が思うには、次は「鉄道車両を擬人化した作品」が流行すると思っている。
こう言うと、「既にきかんしゃトーマス、まいてつ、駅メモがあるではないか」と思うかもしれない。
だがちょっと待ってほしい(朝日新聞並感)。
きかんしゃトーマスはそもそも子供向け作品で、まいてつは元々18禁ゲーム発祥の作品である。駅メモに至ってはそもそも擬人化とは言いにくい。
さらに、世界的にヒットしているトーマスはともかく、まいてつと駅メモはヒットはしているものの、知名度ではいまひとつに感じてしまう。
よくよく考えると、「擬人化+鉄道」というコンテンツは商業ベースではなかなか見かけない。あっても子供向けか女性向けくらいで、あとは個人の作品くらいだ。
元来鉄道文化は昔のSLブーム、ブルートレインブームにあるようにそのような発想は2013年の「艦これ」ブームの頃には出ていたはずである。
だが、2022年の今になっても「実在する鉄道車両」の「人型に擬人化した作品」で社会現象レベルでヒットした作品は現れていない。
何故「鉄道車両擬人化作品」は商業化しにくいのか
では何故「鉄道車両の擬人化作品」でヒットした作品がなかなか出てこないのか考えてみる。
理由1:個性をどう表現するかが難しい
軍艦や競走馬と違って、鉄道車両はいわば「量産品」であり、基本的に鉄道事業者が保有しているので、個体(編成)ごとのエピソードが乏しいということだ。蒸気機関車や1形式1両or1編成のみの少数派車両なら個性やエピソードを作りやすい。
ただ、そうでない鉄道車両は基本的に個体ごとのエピソードは少ないはずだ。
例えばJR東日本のE235系(山手線や横須賀線の電車)の1本1本に編成ごとのエピソードがあるとは考えづらい。
この問題の回避方法としては「編成ごとのエピソードを1つのキャラクターに統合する」ことが考えられる。
理由2:自由度がない。
鉄道車両は線路がないとただの機械に過ぎない。つまり線路がないと動けないのだ。
軍艦は海の上を自由に走れるし、競走馬は競馬場や牧場を走り回れる。しかし鉄道車両は線路から外れることができない。脱線して動けなくなってしまうからだ。
物語の根底に鉄道を置いて、何らかの形で物語に華を添えようにも、「鉄道」である必要性を薄めてしまうわけにもいかない。
何を目指すのかという動機づけも重要になってくるだろう。
ただ、所謂「日常系作品」のように”雰囲気”を楽しむという作り方でもいいかもしれない。
理由3:目的の動機づけが難しい
理由2の最後に述べた通り、”何を目指すのか”という目的がなかったら物語は成立させづらい。
例えば艦これの場合、海から襲ってくる深海棲艦から人類を守るために、古の艦艇の魂を受け継ぎ戦う。ウマ娘は、「トレセン学園」で担当するウマ娘と過ごしながら、レースで日本一を目指すためにトレーニングを重ねる。
一方鉄道はどうだろう。鉄道は「乗客や貨物を安全に目的地まで運ぶ」か「観光地を周遊し乗客を楽しませる」目的で主に作られている。争う理由も、競う理由も存在しないだろう。
競う動機も、あえて言うなら都市圏で「競合他社より早く安全に目的地まで運ぶ」くらいで、競う動機としてはいささか微妙だ。
全国コンテストのような要素なども必要かもしれない。
理由4:鉄道事業者の許諾
こればかりは許諾の可否の問題であり、商業コンテンツとして出す場合、実在する鉄道事業者(以下鉄道会社)の車両をもとにしているのだから当然、鉄道会社の許可が必要になる。
例えば鉄道模型である「Nゲージ」の車両の箱を見てみるとどこかに小さく「東日本旅客鉄道商品化許諾済」なり「(C)KEIKYU(※京急電鉄の場合)」の文字がある。国鉄時代製造の車両であっても民営化後に改造された姿を製品化する場合もJRの許可が必要だ。
キャラクターコンテンツとして売り出す場合、キャラクターのファンアートや二次創作が沢山書かれるのはいつものことである。かくいう私も(用法用量などを守って)その手の作品を嗜んでいたりする。
元々「国民の共有財産」である軍艦は権利関係も何もないが、競走馬は個人や企業が権利を持つ「私有財産」であり「自分の子供」とも言え、競走馬や権利者のイメージを損ねてはいけない。現にウマ娘でエログロ創作が禁じられているのもイメージダウンの危険があることが理由だ。
鉄道車両の場合、一般の人からすれば「ただの線路を走る乗り物」でしかないが、鉄道会社からしたら「自分の子供」であり「商売道具」である。
自分の子供をひどい目に合わされて怒らない親などいるはずがない。そもそもそんな親など親失格そのものだ。ただ、架空鉄道の場合は権利関係の問題は回避できる。
総評
「なぜ鉄道擬人化コンテンツが成功しにくいのか」という理由を自分なりに考えてみたが、皆様はどう思うだろうか。
鉄道車両の擬人化作品がなかなか出ないのは
個性の表現の難しさ
ストーリーの自由度の低さ
目的の動機づけの難しさ
鉄道会社の許諾
だと思う。一言でまとめると、
結論:ハードルが高いので手を出しにくい題材だから
であるが、他にも「鉄道ファンのマナー問題」などの理由も考えられる。だがここでは触れないでおこう。
やっぱり「きかんしゃトーマス」の原作者、ウィルバート・オードリー氏は偉大だと思った。
でも、「電車を女の子に擬人化したソーシャルゲーム」が出たら是非ともやりたい所存である。
最後に:ファンアートや二次創作は、節度を守って作りましょう。