小さな惡の華・・・自由への渇望

1970年代のフランス映画。当時フランス国内での上映を禁止された。内容があまりにも背徳的だという理由で・・・。
確かに厳格なカトリック系の寄宿学校の生徒ブルネットのアンヌとブロンドのロールの言動は反宗教的というか反道徳的、反社会的・・・と「反」のオンパレードだ。司祭をコケにし、ドン臭い庭師を誘惑してからかい、動物を扼殺し、放火に殺人、挙句の果ては学校のステージで心中ときたもんだ!ボードレールの「惡の華」の1篇を暗唱しながら・・・。(この少女たちは同性愛の香りも漂わせている)
まあね、これでは当時上映禁止になるのも無理はない。特にカトリックの信者には許せない内容だね。

しかしその言動の是非が問題なのではないと、わたしは思う。
何も殺人や動物虐待などを推奨している訳ではないのだよね。

ボードレールやジョルジュ・バタイユなどに夢中になった少女時代を思い起こすと、古い価値観の檻に閉じ込めようとする社会や大人に対して精一杯の抵抗を試みていた・・・そんな自分を見つけることができる。大人になってからも時々叫びたくなるような「自由への渇望」、行動するかどうかは別にして、心くらいは自由でいたいものだ。
形骸化した様々な縛りや建前から解き放たれて真理を追及する自由を求めた2人。そういう意味では非常に象徴的な映画なのではないかと思う。