ロマン・ポランスキー「ローズマリーの赤ちゃん」1968
この映画、名前だけは聞いたことがあった。昔の映画だからそんなにのめり込むことはないと気楽に見始めたのに、ノンストップで引き込まれていった。今どきの映画みたいなCGや特殊メイクなどの技術がないのに・・・怖い。残虐な場面はないし、怖いものたちもリアルでグロな姿を見せることはない。それなのにマジで怖い!雰囲気のつくり上げ方がうまいのだろうか。妄想か現実か曖昧な幻想的シーンが特に心に焼き付いている。美しくて怖い。
ヒロイン役のミア・ファローがまた雰囲気があって魅力的。特別に美人という訳でもなく、セクシーとも違う。一言でいえば「繊細さ」かな。特別な個性をもつ女優さんだと思った。そして当時流行したミニドレスがとても似合っている。スレンダーな容姿に、不安や恐怖で蝕まれていく精神が揺らめく瞳。彼女の存在がこの映画の成功に欠かせなかったと思う。
テーマ曲もヒロインと映画の雰囲気にピッタリで、数日間わたしの脳内で響き続けた。
note.に記録していないけれど、同じくポランスキー監督の「水の中のナイフ」も心の動きを見事に表現した映画だったから、心理描写がうまい監督なのかもしれない。