Pan's Labyrinth・・・ダークファンタジーだった!

この予告の静止画面を見ていれば違っていたと思うけれど、タルコフスキー漬けの日々の中でちょいと手を出した「パンズラビリンス」はダークなファンタジーだった。ジャケットの写真は愛くるしい少女と宮殿だったので、軽くつまむにはいいかと思ったのにね。まあね、当初の思惑どおりにはいかなかったけれど、結果的に後悔はなかった。

観始めてまずガツンとやられたのは、内戦が終末にさしかかったスペインが舞台だということ。勝利したフランコ政権は反政府分子への容赦ない弾圧を続けていた。暗黒の時代だ。なぜファンタジーなんだぁ!ヴィクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」では静かに語られる内戦の悲しみだが、ここでは直接的に描かれる。もちろん制作年代が異なるから当然のことだけど。(エリセ監督はフランコ政権下で映画を制作した。)

主人公の少女は次々と悲惨な目に合うが、最後まで「弱者を慈しみ愛する心」を忘れなかったことに心揺さぶられる。地下の王国の王女だという幻想は彼女を救ったのだろうか。
「ああよかった」と言えないもの悲しく美しい最後だった。

戦争は破壊と悲しみしかもたらさない・・・。