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#読書

★騎士団長殺し
一か月も間を空けてしまったけど、それぞれ一日で読了。ノンストップで引き込まれるから村上さんはすごい!騎士団長ことイデアが面白い。久しぶりの村上さん、そして・・いかにも村上さんだったから嬉しかった。アスパラとベーコンのパスタ、ブリの粕漬が食べたくなった(笑)

坂口尚「石の花」①~⑤

坂口尚「石の花」①~⑤

 坂口尚という名前を知らなかった。「石の花」という作品も当然知らなかった。ああ、なんてこと!今更ながら教えていただいてよかった。

 エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」を観たときに、旧ユーゴスラビアについて調べて簡単にまとめた。その時にTさんに教えていただいたのが「石の花」だ。その晩のうちにAmazonに飛んで文庫版の古書をゲット。合間に少しずつ読み進めていた。漫画だからと読み飛

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村上春樹「アフターダーク」①文体と視点、そして音楽♪

村上春樹「アフターダーク」①文体と視点、そして音楽♪

 世の中「騎士団長殺し」で沸き立っていたが、わたしはと言えば、ずいぶん前から読み始めた「アフターダーク」をようやく読み終えたところだ。「騎士団長殺し」を手に入れた人をちょっぴり羨ましく感じながらも、古書待ち、文庫本待ちの予定。

 ハルキストかと問われたら「いや、それほどでも・・」と答えるけど、結構はまっていた時期があった。今でも「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を初めて読んだ時の高揚

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Thomas Mann"Der Tod in Venedig"「ヴェニスに死す」高橋義孝訳③

Thomas Mann"Der Tod in Venedig"「ヴェニスに死す」高橋義孝訳③

 何故だろう?「ヴェニスに死す」を何回読み直してもまだ足りない。文章をたどる度に、その楽しみに時間を忘れる。その都度新しい気付きがある。これは原作のせいか、高橋先生の訳が素晴らしいからなのか。中編小説を読み直すなど、わたしにとって滅多にないことだ。

 まあしかし、とにかく無理にでも記録を終えないと先に進めない。
 タジオがいかに美しく魅惑的か、アッシェンバッハがどのようにして深みにはまっていくか

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Thomas Mann"Der Tod in Venedig"高橋義孝訳「ヴェニスに死す」②

Thomas Mann"Der Tod in Venedig"高橋義孝訳「ヴェニスに死す」②

トーマス・マンと言ったらこの写真

 なんだか総督みたいで好きじゃなかったので、晩年に近い感じの画像を探してきて表紙にした。総督みたい・・なんて失礼なこと言ってごめんなさい!マン(1875~1955)はドイツの作家だが、ナチへの批判を続けて各国を転々とし最後はスイスで亡くなったのだ。
 高橋義孝が「ヴェニスに死す」を翻訳していた頃はまだ存命だったマン。不明な点はマンに直接書簡を送って問いただしたと

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マン「ヴェニスに死す」髙橋義孝訳①

マン「ヴェニスに死す」髙橋義孝訳①

 夏に行ったヴェネツィア展からヴィスコンティ監督の「ヴェニスに死す」を観て・・・そこから原作のトーマス・マン「ヴェニスに死す」を読んだ。かなり前に読んだけど、一読では消化不良な感じだったので、以来何回か部分的に読み直している。

 実は記録したいことが他にもある。読みたい本もたくさん・・・観たい映画も。そして調べたいこともあれこれ・・。やりたいこともやるべきことも。どうしてわたしはこう落ち着きがな

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小川洋子「ことり」取り繕えない人たち

小川洋子「ことり」取り繕えない人たち

 前から気になっていた「ことり」をやっと読むことができた。ずっと本棚で待っていてくれてありがとう♡

 11歳の頃から小鳥の言葉を理解し、小鳥の言葉を話せるようになった兄。言い換えると、小鳥の言語しか聞き話すことができない兄と、唯一兄の言語を理解できた弟の物語。
 社会の中に適応することが困難な、ある種の障害をもった人たち。著者の言葉をお借りすると、「取り繕えない人たち」の物語である。

 声高に

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「サガンー悲しみよこんにちはー」シルヴィー・テステュがサガンそのもの!

週始めからノンストップの忙しさ。昨夜ようやく一息つけるかと気が緩みAmazonプライム覗いてこれ見つけ、ノンストップで掴まって睡眠不足になったという愚か者だ。
フランソワーズ・サガン「悲しみよこんにちは」はサガン18歳のデビュー作。少女だったわたしは偶然手にとって読んで以来、しばらくサガンの世界に浸り続けていたという記憶がある。
この映画はサガンが劇的なデビューを果たした18歳の頃から孤独のうちに
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森 絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

森 絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

 Mさまが紹介されていたのを読んで、速攻購入。森絵都さんが好きだったし、エリック・サティもお気に入りだったのを思い出したから。
 そして待ち遠しかった週末になり、昨日病院の待合室で読み切った。表紙タイトルを含めクラシック音楽の小品に寄せられた三つの短編から成る本だ。

 うう(・・・号泣したかったけど)・・・漏れる声を抑えるのに苦労した。目を見開いて涙がこぼれないようにした。自宅でだったら涙と鼻水

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「コンビニ人間」村田紗耶香・・・文学を読んだという満足感!面白かった♡

「コンビニ人間」村田紗耶香・・・文学を読んだという満足感!面白かった♡

芥川賞を受賞したからといってすぐに手に取ることはほとんどない。たまたま病院の売店で文芸春秋が目に入ったから・・・。

しかし、この偶然に今心から感謝している。この満たされた気分は久しぶりだから。

書評などは一切読まないで、取り敢えず読む。すると、最初からどんどん引き込まれていく自分に気付く。時折吹き出しそうになる。続きが待ち遠しくてどんどん読める。時々付箋を貼りたくなる。あっという間に読めて「結

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「砂漠のわが家」美奈子アルケトビ

「砂漠のわが家」美奈子アルケトビ

アラブ首長国連邦(UAE)の砂漠で200匹あまりの動物たちと暮らす著者と旦那様。ツイッターで見つけて以来、毎日アップされる美しい写真や微笑ましい動画に夢中で♡を連打しているわたし。
フォトエッセイが出版されていることを知って、速攻で入手した(笑)

わたしは子どもの頃から動物が好きで好きでたまらなくて、たくさんある夢の一つが「地平線まで続く草原みたいなところで、動物たちと自分だけで暮らす」というも

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Lilian J. Braun「猫はバナナの皮をむく」

Lilian J. Braun「猫はバナナの皮をむく」

古書の安価コーナーで見つけたハヤカワ・ミステリ文庫。パッと手に取ったのは猫だからですよ~、どうせ(笑)。病院の待ち時間用。

「ニャオオン!」ココは返事をした。彼の語彙は限られていたが、抑揚で変化をつけた。ひとつの言葉で賛成、謝罪、要求、憤慨、警告になった。

猫好きならばにんまりしてしまうフレーズが所々に・・・。そしてどうやら「本屋猫」という猫の職業が認知されているらしいのね、その町では。本屋猫

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恩田 陸「私と踊って」

恩田 陸「私と踊って」

久しぶりの恩田陸さん。短編集だ。終わりそうな頭脳でも読めるかなと(笑)
専ら病院の待ち時間で読了。「いくらなんでも短すぎだけど。ここからさらに展開してほしいわ」と思うこともあったけれど(なにしろ約300ページに19作品)いろいろな趣向の作品が集まっていて楽しめた。

飼い犬が不思議な光を浴びてから人間の言葉を操れるようになり、主人に危険を知らせるという「忠告」犬の手紙が面白かった。同じ設定で猫版も

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村上春樹訳「結婚式のメンバー」カーソン・マッカラーズ

村上春樹訳「結婚式のメンバー」カーソン・マッカラーズ

病院の待ち時間は落ち着いて読書できる素敵なチャンスだ。ただし週末は疲れ切っているために睡眠確保に充てられることも少なくないのだが、この本はすいすい読めた。帰宅後に最終章を読破。久々に美味しい文学をいただけて「ご馳走様でした」という気分だ。

カーソン・マッカラーズは「心は孤独な狩人」(The Heart is a Lonely Hunter)という代表作があることだけは知っていた。(映画化されたら

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