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【短編小説】まだ守れるものがある


「ジンタへ。大好きだよ。この世の何よりもジンタを愛している。この手紙が無用である様に努める…………嘘つき…………ジンタに一番必要なものは、私だと………………カトゥより」

 22年間、何度も何度も読み返してボロボロになった手紙を慎重に閉じ、封筒へ戻した。

 俺は毎日仕事や家事に打ち込み、笑って生きている。
 カトゥが死んだのに、心から。
 だから、せめて誰も家族と呼ばない事にした。
 結婚して家族になる筈だったカトゥ以外は、身内と呼ぶ。俺の独りよがりだ。誰にも説明していない。今後もしない。

 カトゥの最後の手紙を大切にしまってから、急いで寝室を出た。
 居間が賑やかだ。
 勝手に家へ来たソロイとアッシュが、テーブルの上のスナック菓子の山を挟んで、菓子を引っ張り合っている。2人とも就職して一人前の男になったのに、やる事が小学生と同じだ。

「これ僕の!!」
「俺のだ。俺の全身はコンソメで出来てるからな!」
「僕の全身はチーズで出来てるのに、真っ先にチーズを蹂躙した鬼が!! 悪鬼退散!!」
「職場の先輩に何だよ。日頃から口答えはするなって、さっきも言ったよな?」
「断る!! 僕は身内だ!!」
「おい、俺らの真似して身内とか言ってるけど、意味分かってるか?」
「身内は最強の味方を表す、大変尊い言葉です!」

 いい年して何だと𠮟るのを、ソロイの言う身内の意味が気になって、止めた。俺は2人を身内と呼んでいるが、そんな尊い意味じゃない。家族と呼べないだけだ。
 テーブルを挟んで袋菓子を引っ張り合うソロイとアッシュに歩み寄り、2人の間へ立った。

「ソロイ。身内が、最強の味方か?」
「ちょっと~。僕を身内と呼んで、常に最強の味方でいてくれるのは誰ですっけ?」
 俺が身内と呼んで味方するから、尊い意味になったのか!
 照れて黙った俺に、ソロイは大人っぽく微笑む。が、引き合っていた菓子をアッシュに取られて、顔を真っ赤にした。
「返せよ!!」
 ソロイが大人びたのは一瞬だけだった。
「チーズだけでなくコンソメまでも蹂躙する血も涙もない鬼には今から裏山へ行ってセミを採集し1匹ずつ丁寧に豪速球で投げつける所存だ、僕は本気だ!!」
 喚くソロイに、アッシュが嫌味っぽく肩を竦める。2人して、まるで小学生だ。職場では立派なのにな。
 つい俺はまた、心から笑っていた。

 22年前。
 生きるのに一番必要なものを、俺は失った。
 けど、まだ守れるもの、守りたいものはある。
 いや。
 実は、守られているのは……


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長編BL小説『イニ・ミニマニ・モージン』シリーズ

~予告編~

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*本編*

「ソロイが主役でずっとうるさい」僕のラブはギャラクシー編

「カトゥが主役でずっとヒヤヒヤ」私達は2人で1つだ編

「女の子版ジンタがずっとモテモテ」俺はいいから嫁に行け編


カトゥが主役でずっとヒヤヒヤ(笑)


↓カトゥの顔

画像1



虎獣人だけど、虎っぽさゼロ。


↓予告編2↓



ご覧頂き、ありがとうございました!!

本編も読んで頂けたら嬉しいです(*^▽^*)/



↓私が「まだ守れるものがある」を朗読した音声


↓PJが作曲してくれた「まだ守れるものがある」


この曲、大好き!!\(//∇//)\

「まだ守れるものがある」を読む時は、ぜひ流して欲しいな〜

あっ!!この曲をBGMにして朗読しなおそうかな!?(*≧∀≦*)


朗読どころか、

PJに手伝って貰って作詞して、弾き語って貰っちゃったよ!!(*≧∀≦*)/ マジで神曲!!!

ホントに好き!!!!!

ありがとう、PJ!!!(´;ω;`)


↓私が歌った版




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