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ドキドキドン!小1の壁。

 多摩川の向こうに見える富士山は確かな頂きを見せてくれ、桜満開のうららかな今日、わが子たちが通う小学校では入学式が執り行われました。
 新6年生になった息子は、昨日から登校し椅子を並べたり、1年生の教室の各机に教科書を並べたり、年度の初日にしっかり労働をしてきたようです。
 新3年生の娘とは、ともに駅までの道すがら
「さーくらさいたらさんねんせい♪」「うた間違ってるよっ!」
「ひーとーりーでーいけるかなー」「行けるわ!」
「とーもーだーちーできるかなー」「もう沢山いるわ!」
「どっきどきどんさんねんせい♪」
と、ふざけて歌いながら歩いてきました。
 そんな私もこんなに平和な日々が訪れるとは、5年前は思ってもいませんでした。リアルどっきどきどん小1の壁。

 息子が小学校に上がるとき、まず初めに心配したのは春休み。小学校が始まる前に、子どもたちの居場所が「学童保育」というところに変わる。そこで仕事の手を止めないように、出社時刻が遅れないように細心の注意を払ったものでした。 
 入学準備。お道具箱の中身、色鉛筆やクレヨンの1本1本に、足し算カード1枚1枚に記名をしなければならないことも、手作りレッスンバッグ・上履き入れ・体操服袋・防災頭巾カバーのデザインについこだわってしまうことも、入学セレモニーの一つ。大変だけど乗り切れる。
 朝、一人で行けるかな。3日ほど付き添いましたが、道でお友達と会えば親はいてもいなくても。ずいぶんしっかりしたんだなあと安心したものでした。
 でも、ここで油断してはならなかった。
 毎日毎週配られてくる大量のプリントトラップ。ずいぶん経ってからランドセルの奥底からアコーディオンのような形状で現れる。伝達事項が子どもの連絡帳経由だと、いつまでに何を準備したらいいかがわからない。周囲では突然家で暴言をはいたり、お腹が痛くて学校に行けなくなったりする子が出てきてママを戸惑わせる。
 うちの子は大丈夫だなと安心していた矢先、4月の終わりの家庭訪問で担任の先生から言われた言葉「〇〇君、授業中に寝てるんです。」と。
 
 そういえば、私は自分の居場所が3月と4月で変わっていないから気が付かなかった。あまりにも同時に初めての出来事が彼の身に起きていることを。見ず知らずクラスメイトが出来たことも、35人もの子どもたちに向かって先生がする一度きりのお話しをちゃんと聞かなければならないことも、午後になったら上級生も入り混じった学童というところに自分の足で行かなければならないことも。
 いかに息子が心身ともに疲れ果てているか、まったく気にも留めていなかった。母親であるにも関わらず私が小1の壁と思って気にしていたのは息子の環境の変化がいかに毎日のわたしの生活に影響を与えないようにするか、というところばかり。
 今まで保育園が、あまりに手厚く親の代わりに子どもたちを守ってくれていたから気が付かなかった。自分は親としての心構えも、子どもの環境変化に合わせてどのように自分を変えたら良いのかというスキルも全くっていませんでした。居眠り事件がきっかけで、子どもの生活に合わせて自分の仕事や生活を回したいと思い立ち、独立をすることにしたのですが、自分が保育事業者だからこそ気づくこと。保育園の先生にもっと子どもとの向き合い方を相談すればよかったと。

 ちょっと乱暴なまとめ方ですが、傾向的に幼稚園ママには小1の壁はなく、保育園ママには小1の壁がある。それは、子どもたちの下校後に、ママが家にいるかいないかという問題ではなくて、幼稚園ママは子どもの生活に自分の生活を合わせる一方で、保育園ママ(ワーキングマザー)は会社のルールに則って毎日の生活を回す必要があるからです。
 
 女性活躍が叫ばれるようになって久しく、そのメインともいわれる待機児童対策。子どもを長く預ければ預けるほど事業者は国から沢山の助成金がもらえる仕組みになっています。
 私は常日頃からこのルールを危惧しています。これは、男性のビジネス社会のルールに女性と子どもがアジャストしているに過ぎません。もっと、長く無理なく仕事と子育てを共に走らせ続けるために必要なのは、親子の絆を強く、太くするために親力を育てることなんじゃないかなと。もっと抜本的な、働き方の改革が必要だと。

 大きな社会のルールが変わるのを待っていたら、きっと子どもたちは大人になってしまうので、まず今日からできること。小学校に上がった子どもとの生活に難しさを感じたら、今日何があったかを話してみよう。機嫌が悪く拉致があかないときも、ぎゅっと抱きしめたり頭をなでてあげたりして不安を取り除いてあげよう。
 


   

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