いいかわるいかと、好きかそれ以外か。そして自己肯定感を上げることへの過剰さについて。
遠い昔、FM802の番組で、担当DJの最終回、番組の終盤で彼が言った。
「いい音楽、悪い音楽というのはありません。自分の好きな音楽かそれ以外なのです。好きな音楽をどんどん増やしてください。」
私は中学生か高校生で、自分が溺愛している音楽をつくる人たちこそが世界の中心だと思っていた。それ以外の世界、つまり溺愛対象以外の音楽は、聴こえているものの音楽としては消化せず、ただし差別をするわけでもなく、単に自分の中心に存在する溺愛対象を見つめているだけで、それはとても幸せなことだった。