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ゴードン_前立腺肥大症_手術前


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【今回の情報】

S情報:
「前立腺が大きくなって尿が出にくいんだ。夜中にトイレに行くことが多くて、ゆっくり眠れないよ。」とA氏は話している。
「お父さん、手術を受けたほうがいいんじゃないの?今のままじゃ体力も落ちちゃうわ。」と長女は心配そうに話している。
「年だから仕方ないんだよ。でも、みんなに心配かけるのは申し訳ないな。」とA氏は申し訳なさそうに話している。

O情報:
A氏、男性、75歳。身長170cm、体重65kg。妻と2人暮らし。長男と長女は独立し、近くに住んでいる。元会社員で定年退職後は趣味の園芸を楽しんでいた。几帳面で真面目な性格。

喫煙歴なし。機会飲酒程度。園芸と散歩が趣味。

入院前は1日3食自力摂取していたが、現在は全粥・軟飯、一口大に刻んだ食事を摂取している。水分は1日1200ml程度摂取。とろみ剤使用し、嚥下障害に留意しながら経口摂取している。

HDS-R 25点。見当識障害なし。

入院前は良眠できていたが、入院後は前立腺肥大症による頻尿のため睡眠が分断されている。

内服薬は自己管理可能。

難聴はなく、会話でのコミュニケーションは可能。

入院前は自立排尿。尿意あり。尿勢低下と残尿感あり。現在は膀胱留置カテーテル留置中。排便は1日1回、普通便。

入院前はシルバーカー歩行自立。基本動作は自立。
現在は端座位可能だが、1人での離床は転倒リスクが高いため全介助。

薬剤・食品アレルギーなし。特別な宗教の信仰なし。

1週間前から頻尿が続き、尿閉となったため緊急入院。膀胱留置カテーテル留置し、前立腺肥大症の診断。経尿道的前立腺切除術(TUR-P)予定。

既往歴:高血圧(60歳~)、狭心症(70歳~)、胆石症(73歳手術)

現在の介入日:2024年5月7日(入院4日目)

バイタルサイン
入院時 BP 152/92mmHg, HR 88回/min, BT 36.8℃, RR 22回/min, SPO2 95%
入院中 BP 148/88mmHg, HR 82回/min, BT 36.5℃, RR 18回/min, SPO2 96%
現在 BP 136/78mmHg, HR 75回/min, BT 36.7℃, RR 16回/min, SPO2 97%

内服薬
アムロジピン 5mg 1T 1×M(朝食後)
アスピリン 100mg 1T 1×M(朝食後)
タムスロシン 0.2mg 1T 1×M(朝食後)

採血データ
TP 6.8 g/dL
Alb 3.6 g/dL
BUN 22.0 mg/dL
eGFR 58 mL/min
K 4.1 mEq/L
Na 140 mEq/L
Hb 11.8 g/dL
WBC 6,800 /μL
T-Cho 218 mg/dL
TG 145 mg/dL
HbA1c 5.8 %
Fe 78 μg/dL
TIBC 308 μg/dL
AST 32 U/L
ALT 28 U/L
γ-GT 48 U/L
Cr 1.1 mg/dL
CRP 0.6 mg/dL


入院経緯と治療経過:

2024年4月30日
1週間前から頻尿が続いていたが、尿閉となり救急外来を受診。膀胱留置カテーテル留置し、1200ml排尿あり。腹部エコーにて前立腺肥大、膀胱内多量の残尿を認めた。急性尿閉の診断で泌尿器科に入院となった。

5月1日(入院1日目)
前立腺肥大症の診断。経尿道的前立腺切除術(TUR-P)の方針となり、手術に向けて全身状態の評価と管理を行うことになった。膀胱留置カテーテル留置中。バイタルサイン安定。

5月2日(入院2日目)
術前検査として、血液検査、心電図、胸部レントゲン撮影を実施。心エコーにて EF 60%、心機能は保たれていた。呼吸機能検査では特記すべき異常所見なし。

5月3日(入院3日目)
麻酔科医による術前評価が行われ、全身麻酔での手術が可能と判断された。手術日程を調整中。膀胱留置カテーテル留置継続。バイタルサイン安定しているが、夜間の睡眠が分断されている。日中は離床を進めているが、ふらつきがあり転倒リスクが高いため、看護師による見守りが必要な状態。

5月4日(入院4日目)
手術日程が5月9日に決定。手術に向けて、呼吸訓練やADLの拡大を進めている。膀胱留置カテーテル留置継続。頻尿による睡眠障害に対して、睡眠導入剤の使用を検討中。

5月5日(入院5日目)
手術オリエンテーションを実施。手術の内容や術後の経過、リハビリテーションなどについて説明を行った。A氏、妻、長女同席のもと実施。A氏は手術に対して不安を感じているようだが、医療者からの説明を理解し、手術を受ける意思を示した。

5月6日(入院6日目)
手術に向けての準備を進めている。呼吸訓練や下肢の筋力トレーニングを継続。離床時間を徐々に延長し、シルバーカー歩行の練習を開始した。バイタルサイン安定。睡眠導入剤の使用により、夜間の睡眠が改善してきている。

5月7日(入院7日目)※現在の介入日
TUR-P術前。全身状態安定しており、手術に向けての準備は整っている。A氏の手術に対する不安は軽減してきているが、引き続き精神面でのサポートが必要。手術後の経過とリハビリテーションについて、A氏と家族への説明を予定している。


【アセスメント】

1.健康知覚-健康管理

〇健康状態、受診行動、疾患や治療への理解、運動習慣、服薬状況、身長、体重、BMI、飲酒、喫煙の有無、既往歴

前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、排尿障害を引き起こす疾患である。A氏は前立腺肥大症により急性尿閉を発症し、現在は膀胱留置カテーテルを留置している状態である。

A氏は自身の健康状態について理解しており、医療者の説明に対して理解を示している。定期的な受診行動はとれていたが、今回は症状が急激に悪化したため緊急入院となった。内服薬は自己管理可能であり、服薬アドヒアランスは良好である。

身長170cm、体重65kg、BMI 22.5と標準体重である。園芸と散歩を趣味としており、適度な運動習慣がある。

呼吸器系のアレルギーはなく、喫煙歴もない。飲酒は機会飲酒程度である。

既往歴として、高血圧、狭心症、胆石症がある。高血圧と狭心症は内服薬でコントロールされており、胆石症は手術により治療されている。

課題:
前立腺肥大症や手術に対する理解を深め、セルフケア能力を高めていく必要がある。また、術後の生活様式の変更や継続的な健康管理についての指導が必要である。

総合的なアセスメント:
A氏は前立腺肥大症を発症し、急性尿閉のため緊急入院となった。自身の健康状態について理解を示しており、内服薬の自己管理も可能である。既往歴として高血圧、狭心症、胆石症があるが、いずれも治療されている。適度な運動習慣があり、喫煙歴もないことから、全身状態は比較的安定していると考えられる。今後は、前立腺肥大症や手術に対する理解を深め、セルフケア能力を高めていくことが重要である。また、高齢であることを考慮し、術後の生活様式の変更や継続的な健康管理について、患者教育を行っていく必要がある。

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