ゴードン_深部静脈血栓症_圧迫療法開始時

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【今回の情報】

【介入日】令和6年12月25日（入院14日目）

A氏は、大手IT企業の営業部門で管理職として勤務する45歳の男性である。担当エリアが広く、営業車での長時間の移動や、デスクワークが多い生活を送っていた。コロナ禍以降、在宅勤務が増加し、1日の歩数が約3000歩まで減少。加えて、1日20本の喫煙習慣があり、BMIは26.8と軽度肥満を認めていた。

12月9日夜、在宅勤務中に「右足がむくんでいる」と違和感を自覚。その後も改善せず、12月11日夜には「右足全体が張って痛い」と症状が増悪。妻に「顔色が悪いし、足がパンパンに腫れているから、明日は必ず病院に行って」と強く促され、12月12日に当院を受診した。

来院時、右下肢全体の発赤・腫脹、疼痛が著明で、歩行時に強い痛みを訴えていた。超音波検査にて、右膝窩静脈から下腿の深部静脈に広範な血栓を認め、肺塞栓症のリスクが高いと判断され、即日入院となった。受診までの経緯について、A氏は「最近の仕事が忙しく、足の症状も我慢すれば治ると思っていた。受診が遅れてしまい、申し訳ない」と悔やむ様子を見せた。

入院後、ヘパリンの持続静注による抗凝固療法を開始。厳重な床上安静が指示され、トイレ以外の移動は禁止となった。活動的な生活を送っていたA氏にとって、突然の行動制限は精神的なストレスとなり、「このまま仕事に支障が出るのではないか」「後遺症は残らないのか」と不安を頻繁に口にしていた。夜間は「頭の中が仕事のことでいっぱいで」と不眠を訴え、眠剤の使用を開始している。

妻は毎日面会に訪れ、「あなたの体が一番大事だから、仕事のことは私たちに任せて」と励ましている。次男は「お父さんの好きなゲーム、一緒にオンラインでできるよ」と提案し、家族で協力してA氏の精神的支援を行っている。

入院7日目には血栓の軽度縮小を確認し、経口抗凝固薬（エドキサバン）の内服を開始。日中の活動度を少しずつ上げることが許可されたが、A氏は「また血栓ができないか心配で、あまり動けない」と消極的な態度を示している。

本日（入院14日目）、超音波検査にて血栓の更なる縮小を確認。圧迫療法の開始が決定したが、A氏は「正しく着用できるか不安」と話している。また、今後の生活について「仕事のやり方を見直さないといけない」と、生活習慣の改善への意欲を示している。

バイタルサインは入院時から徐々に安定し、現在は血圧118/72mmHg、脈拍72回/分と落ち着いている。D-ダイマー値も入院時の15.2μg/mLから3.2μg/mLまで改善を認めている。ただし、安静による筋力低下が進んでおり、5m程度の歩行でも疲労感を訴える状態である。

今後は圧迫療法の指導と平行して、段階的な離床プログラムを実施する予定である。職場復帰に向けては、産業医との連携も検討している。家族からは「無理のない働き方を考えましょう」という提案があり、A氏も「テレワークと通勤のバランスを考え直したい」と前向きな発言が聞かれている。

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【アセスメント】

1.健康知覚－健康管理

〇健康状態、受診行動、疾患や治療への理解、運動習慣、服薬状況、身長、体重、BMI、飲酒、喫煙の有無、既往歴

深部静脈血栓症は、静脈内に血栓が形成され、血流が阻害される疾患である。特に下肢深部静脈に好発し、血栓による循環障害で腫脹、疼痛、発赤などの症状が出現する。また、形成された血栓が剥離すると、肺動脈を閉塞する肺塞栓症を引き起こす可能性があり、致死的な合併症として警戒が必要である。危険因子として、長期臥床、肥満、喫煙、脱水、手術後、悪性腫瘍、外傷、妊娠、経口避妊薬の使用などが挙げられる。

A氏は45歳の男性で、身長175cm、体重82kg、肥満指数26.8と軽度肥満である。職業はIT企業の営業職で、デスクワークと営業車での移動が多い生活を送っていた。1日の歩数は平均3000歩程度と活動量が少なく、運動習慣は月1回程度のゴルフのみである。また、喫煙歴は1日20本を25年間継続しており、深部静脈血栓症の複数の危険因子を有している状態であった。