卵を採って育てる/てまねきの記録5
体外受精をしようと決めた人、決めかねている人が、一番恐れ慄いているのは「採卵」じゃないだろうか。
採卵というのは、子宮の内側から卵巣に向けて針を刺して、卵巣内の卵子を採る手術。
聞くだけで痛そう。そして、痛い思いをするのは女性だ。
この記事は、これから採卵をする人をもしかしたら怖がらせるかもしれないけど、その為に書くわけじゃない。
私が本当に知って欲しいのは、痛い思いをする女性の、パートナーの方かもしれない。
男性の仕事
採卵日。前日夜から絶食。
初めてのことでやっぱり怖いので、夫に仕事を休んでもらい、8:30に一緒に病院に行った。
この日、夫にも採精するという役目がある。
一緒に病院に行かない場合は、家で容器に採って持っていくのだけど、病院に行くなら採精室が使える。
いきなりだけど、脱線する。
不妊治療を考えたことがあるという男性と、治療について話す機会があった。
🙍♂️病院で精子を採るのはやっぱり無理だなぁ
🙍♀️まぁやりにくいだろうけど、でも、痛くもないんだから
🙍♂️うーん、でもやっぱり、男のプライドってあるでしょ
🙍♀️(ほーーん!プライドってやつで、治療のために、病院で、自力で採るのは無理なのねー!)
🙍♀️(でも大丈夫!採卵と同じように、針を刺して採るって方法もありますよーん!)
※病院で無理ならおうちでどうぞ。
先生!麻酔が!
倉敷成人病センターIVFセンターでは採卵は全身麻酔で行う。(局所麻酔や麻酔なしでする病院もあるそうなので、要確認!)
8:48、夫と待合で別れて、手術着に着替えて手術台へ。
もろもろ準備が終わったら、点滴で麻酔が入れられる。
採卵はほんの10分ほどの手術なので、たぶん次に意識が戻った時には全部終わってる。
そう思いながら意識が途切れた。
でもちょっと経った時、先生の声が聞こえる。
子宮あたり、明らかに何か刺さっている痛みもある。
声も出ないし、手も足も動かない。でも、痛いよーって伝えなきゃと思い、体のどこかしらが動いたんだと思う。
先生が「あ、動いてる。麻酔足してー」って言ったのも聞こえた。
うう、はよ麻酔を足して眠らせてくれ。
(多分10分くらいの手術であまり麻酔が効き過ぎても困るので、浅くかけてるのかな?と予想)
10:30、夢か現実かわからない上の記憶を持って、私は目覚めた。
下腹部が痛い。内臓が腫れてる気がする。
歩くのも自然に前屈みになる。
この下腹部の痛みはだんだん痛くなり、2日間は鎮痛剤を飲んで過ごすことになった。
麻酔でちょっとふらつきながら、朝ごはんを食べてない私は食堂でランチを食べた。
IVFセンターの採卵には院内食堂でのランチがついている。
品数が多くて、おいしいお昼ごはん。
私はこれ以降、このランチを楽しみに採卵を乗り越えるようになる。
(この日は夫に回るお寿司もリクエスト、たらふく食べた)
採れた卵たちの行方
さて、この採卵で30個見えていた卵胞から16個の卵子が採れた。
ここに採精した精子を振りかけて受精させる。
受精卵が分割していく様子を観察して、数日後、最終的にいいものだけを残して、あとは廃棄される。
私は採卵の5日後の診察で、3つの卵子が残ったことを聞いた。
16分の3か…成績がいいのか悪いのかよくわからない。
でも、私たちは受精卵を手に入れた。大きな前進だ!
ちなみにこれがその時の受精卵の成長記録。
体外受精ができる病院には胚培養士という方がいて、これを書いてくれている。
✖️がつけられているのが悲しいけれど、太枠の3つが残った。
絵の上には胚のランクが数字とアルファベットで記入してある。
この周期は卵巣ががんばりすぎて水が溜まるOHSSという症状が起きているので、卵たちは子宮には戻されず、全て凍結された。
一度生理を見送って、翌月から受精卵を一つずつ子宮に戻す移植が始まる。
パートナーの理解が不可欠
私の初めての採卵の記事はここまで。
冒頭にも書いたが、これから採卵!という人を怖がらせる内容かもしれない。
もちろん経過や痛みには個人差があるし、この時私は卵巣が頑張り過ぎていたから、余計つらく感じたのかもしれない。
でも術後の生活に支障が出ることは誰にでもありえるし、OHSSが悪化して入院ということもある。
これを読んで怖いなと思ったら、是非パートナーにも見せて、怖さを共有してもらってほしい。
採卵には女性が立ち向かうしかないのだけど、パートナーには理解とサポートをお願いして欲しい。
次回は移植!
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