子どもと美術館を作ってみた
「ねこのタクシーアフリカへ行く」という本が大好きでその中に出てくる言葉をいつも心の中で大事にしている。
「じぶんの子どもをりっぱにしようなんて思って、いろいろしちゃいけない。
子どもだってじゅうぶんにりっぱなのだから。
たいせつなことは、足をひっぱらないことなのよ。」
あぁ、本当にそのとおりだなと思う。
いつも子どもの発想には敵わない。
邪魔しないようにしようと思う。できるだけ。
「動物園に行きたい!」という妹と「家にいたい!」という兄の折衷案をとって、家に動物園を作ることになり、朝から材料を集めた。まず絶対にしたくないのは「象作ろっか」と先に象を作ることを決めてしまうこと。案の定、何も言わずに作り出すと子どもたちはそれぞれ他のものを作りたくなったよう、それでいい。それがいい。次にしたくないのが「でも動物園作るんじゃなかった?」とあくまで最初の案にこだわってしまうこと。そんなことよりこの子たちがこの材料で何を作るのか見てみたい!という好奇心の方が大きくなり、そのまま放っておいた。
すると夕方になる頃には大量の素敵な作品が出来上がっていた。どれもわたしには思いつかなかったものばかり!あまりにも素敵でそれを全部飾って美術館にすることにした。
チケットもちゃんと本物のお金で買ってあげた。本当にお金を出しても良いと思えるくらい素敵だったからそうしたのだけど、今回これがすごく大事だった気がする。芸術にはお金を払う価値があること、少しでも伝わっていたらいいな。本物のお金をもらった子どもたちはびっくり大喜び。作った作品たちは急に本格的な芸術作品として丁寧に扱われることになった。
「注意書きも書いてね。美術館では静かにしましょうって!」と言うのは兄。先日、美術館に行った時のことをちゃんと覚えている。少し作品を紹介すると・・
「子どもが暴れるときに見せるとしずかになるおもちゃ」(兄作)
「赤ちゃんが泣き止むおもちゃ(貝を食べる仕組み有り)」(兄作)
「プリーズ」(妹作)
「にんとも」(妹作)
「葉っぱ鳥」(母作)
という感じ。子どもたちの作品に比べたらわたしのは頭が固いなぁと思う。
嬉しいのはInstagramを見てくれた友人たちが「まだ美術館やってる?」「見たいな!」「入場料払うよ」と子どもたちに言ってくれること。「今度はもっとすごい美術館を作っていろんな人を招待しようか」と話している。この日、作った作品たちはリビングの棚にギャラリーのように飾って、お客さんが来るたびに買えるようにしてみた。息子のは1000円!と高いし、娘は売らないと言っているので実際にまだ買った人はいないのだけど。
そして実は美術館にするというアイデアは「キュッパのはくぶつかん」という絵本がモチーフになっている。
絵本の中でキュッパは最後、図録まで作ってしまう。それも本当はやりたかったけど、今回はそこまで母の体力がもたなかった。今度、また本格的な美術館を作るときには図録も子どもたちに任せようかな。
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