翼を授ける男 Dくん
大学時代にストリートダンスをしており、
夜のクラブでショーケースをすることもあり、
クラブへの出入りは割と慣れている方でした。
洋楽を聴くのも好きだったし、
社会人になってからも、
友達と遊びに行くことも数回ありました。
週末、地域では有名なクラブでイベントがあり、
友達と2人で遊びに行った時のことです。
いつもより人も多く賑やかでした。
私はドリンクをもらおうと、
バーの列に並んでいました。
そこに1人の若い男性が来て、
奥のVIP席に来て一緒に飲まない?
お酒も奢るし、一緒に飲んで欲しい人がいるんだ。
と言いました。
友達にも相談して、行ってみることにしました。
そのクラブには数回行ったことがありましたが、
VIP席に行くのは初めてでした。
鏡だと思っていたところが開き、
マジックミラーになっていて、
奥が広い空間になっており、
ソファとテーブルが並んでいました。
若い男の人は一つのテーブルに向かい、
そこのソファに座らされました。
そこには年配のおじさんと
30〜40代くらいのおじさん、
もう1人若い男性が座っていて、
私たちの他にももう1ペア女の子が座っていました。
あ〜、これは接待なんだな
と思いましたが、面白そうなので
ちょっと話してみることにしました。
出張で関西の方から来ていたようですが、
会社名ははっきりとは答えませんでした。
おそらく「翼をさずけるドリンク」の会社
だと思いました。
私は昔から、いろんな人の生い立ちや
仕事の話を聞くのが好きで、
自分から好んで質問したりしていました。
なので、この日も
おじさんたちの話を楽しく聞いていました。
友達は年配のおじさん(1番偉そう)の横に座り、
私の横にはさっき声をかけてきた
若い男性が座っていました。
時折、身体に触れてきたり、
手を握ってくることがありましたが、
適当に受け流していました。
かなり酔っていて、
もたれかかってくることもありました。
え〜、なんか気に入っちゃった
ずっとここにいてね〜
なんてヘラヘラしながら言っていました。
周りで見ていたおじさん(おそらく上司)も
おい、いちゃつくなよー!
なんてヤジを飛ばしていました。
友達も笑って見ていました。
そう、この若い男性がDくんです。
本名かは分かりませんがそう呼ばれていました。
そんなこんなで、
割と長い時間そこにいたと思います。
トイレと気分転換を兼ねて、友達と一緒に
一旦VIPルームから出ることにしました。
フロアで少し踊って、
友達がトイレに行っている間、
1人で壁際で休んでいました。
すると、いつの間にかDくんが近くにいて、
手で顔をおさえられキスされました。
しかもいきなりディープキス。
急なことにビックリしましたが、
酔っ払っていたのもあり
そのまま応えてしまいました。
結構長めにキスをしていたと思います。
席戻ってきて〜
Dくんは甘えてそう言ってきました。
私は、
友達と相談して後でね
と伝え、その場を離れました。
トイレから戻った友達と合流し、
また少しフロアで踊って、
そしてVIP席に戻りました。
Dくんはソファに寝転がり、
寝ているようでした。
私たちが来たことで目を覚まし、
ソファに座らせてくれました。
それからまたしばらく
座って話をしながらお酒を飲みました。
Dくんは私の隣に座り、
今日一緒に寝よ〜?
ホテル来て。
と言っていましたが、
私は返事を濁していました。
正直行ってもいいかなと思っていましたが、
友達と一緒の手前、置いていくのは悪いなと思い、
曖昧な返事をしていました。
そうこうしているうちに、
イベントも終了の時間になり、
お店も閉店の準備をし始めました。
私たちもお店を出ました。
友達の家は遠かったので、
店前からタクシーに乗って帰るようでした。
私の家は頑張れば歩いて帰れる距離で、
タクシーもすぐには来なそうだったので、
歩けるところまで歩いて、
途中でタクシーを見つけたら乗ろうと考えました。
友達と別れて、家の方向へ歩き始めました。
Dくんのことも少し気になりましたが、
閉店のバタバタで見失い、
特別約束もしなかったし、
連絡先も知らないので、
そのまま帰ろうと思っていました。
5分ほど歩いた頃でした。
遠くからおーいと呼ぶ声が聞こえて
思わず振り返りました。
Dくんが遠くから走ってくるではないですか。
酔っ払ってフラフラです。
帰っちゃったかと思ったよ。
一緒に寝よ〜。
泊まるホテル近いから行こ。
なぜか可愛いと思ってしまいました。
手を繋がれ、引かれるがままタクシーに乗り、
一緒にホテルへ向かいました。
ホテルは地元でも有名な老舗高級ホテル。
本当に有名会社の出張なんだな、と思いました。
ホテルの部屋に入り、
2人で一緒にベッドに横になりました。
どちらからともなくキスをし、
身体を触り合いながら裸になり、
そのままsexをしました。
そして2人ともそのまま眠ってしまいました。
もう朝方だったので、
そんなに大した時間は寝られませんでした。
Dくんの携帯のアラームが鳴り目が覚めました。
Dくんはまだ眠っていたので、
先に身支度を整えて部屋を出ようと思いました。
服を着ているとDくんがむくっと起きて、
抱きついてきました。
まだ帰らないで〜。
もう1回しよう。
そう言って、
せっかく着た服をまた脱がされました。
しかし、眠気が勝ってしまったのか、
Dくんは服を脱がせてる途中で
また寝てしまいました。
Dくんが寝たのを確認し、
私はまた服を着て身支度を整えました。
そして、寝ているDくんを置いて、
ホテルの部屋を出ました。
外はもう明るくなっており、
通勤中の人がパラパラと歩いていました。
髪はボサボサ、化粧も落ちかけで、
タバコの臭いをさせながら歩くのは、
恥ずかしかったですが、
どうしようもないのでそのまま電車に乗って
自宅まで帰りました。
その後、Dくんと会うことは
2度とありませんでした。
いわゆるワンナイトです。
しかもDくんからすれば、
出張先でちょっとハメ外しちゃった
っていうやつですね。
でも、私も楽しんだので後悔はしてません。
今でもその老舗高級ホテルの前を通ると、
あの日のことを思い出します。
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