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響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 武田綾乃

のぞみぞ登場。

そんなこんなで
ユーフォ2巻は、アニメ2期ですね。
テンポの良さに、更に磨きが掛かって、アニメ補完があるにせよ、とても読み易かったです。
表紙イラストが、エモい感じになっていますけれど、本文中に挿絵の類は一切無くて、改めてライトノベルでは無いのだなと、気付かされたりしましたが、それがまた、文章のテンポの良さを活かしているのかも知れません。
一部の人物を除けば、当たり前に関西弁(京都弁?)を使っているのが、関東人の私にとっては新鮮でありましたし、自然な高校生の日常感を補強していた様に感じました。

北宇治高校吹奏楽部が、1巻では京都府大会をゴールド金賞で府代表を掴み、その後から関西大会が終る迄のお話です。
1年生の黄前久美子視点で、2年生の鎧塚みぞれと傘木希美を中心に、物語が大きく動いて行きます。
ただ、それ一辺倒だけでも無くて、私の大好物でもあるキャッキャウフフの日常系なお話も、随所に散りばめられていて、キャッキャウフフしてました。

何れにしても2年生を中心として、今回も久美子の巻き込まれ体質が際立っていますが、そこで終わらず信念に従って、更に踏み込む事が出来る訳ですから、久美子の芯の強さと客観的な観察眼が際立っていました。
恐らく、3年生の田中あすかと1年生の高坂麗奈だけは、久美子の本質を見抜いている様でありますが、他の人はそこに気付かないからこそ、不用意に巻き込まれる状況が生まれているのかも知りません。
あすかや麗奈は、自他共に認められる隙の無さや強さを持っている様でありますが、実は1番のラスボスは久美子で間違い無いでしょう。
まぁ何を持って、ラストのボスを意味するのかは謎ですが、少なくとも納得出来る迄、勇気を振り絞る事の出来る強さは間違い無くあります。

改めて、2年生である吉川優子と中川夏紀の存在感も際立っていて、群像劇要素も強くなって各々の個性が明確になりました。
優子と夏紀のイメージも、また違ったものでありましたし、"のぞみぞ"との関係性も単に同じ南中学校出身者だけに留まらないものがありました。

艶っぽいと言うか、フェチっぽいと言うか、そんな表現も多々ありまして、女子視点でも同じなんですかね。
それを所謂『百合』と見るのか否かは、其々としてもその独特な雰囲気が、吹奏楽部にはある様ですね。
私はどっちでもいいのですが、『百合』だとするならこれ位が丁度良い塩梅です。
但し、そもそもが似て非なる事は明らかでありますし、少なくとも"のぞみぞ"に関しては異質ではあります。

演奏の描写も多くて、実際に合奏が聴こえて来る様な、そんな迫力がありました。
アニメ補完は否定しませんが、やはり文章のテンポの良さが、音楽的なそれなのかも知れません。

1巻で久美子がトラウマを乗り越えた様に、今作の北宇治高校吹奏楽部もまた、前年の大きな負の遺産を、一先ず払拭する事が出来たのではないかと思います。
根本的な解決だったかどうかは別として、新生北宇治吹奏楽部の大躍進こそその証ではありましたが、それだけでは画竜点睛を欠いていたのでしょう。

皆仲良く年功序列は、一見耳障りの良い平等主義の様に見えない事も無いですが、コンクール等の審査員に依る採点で順位をつける以上に、残酷で不条理なものでしかありません。
学校の部活動でそれを通すなら、真剣勝負のコンクール出場だけは控えるべきでしょうね。
55人もの編成が可能な大所帯で、活動時間にまともに練習しないとか、何やってんだよ。
私見ですけどね。


死んだ魚のそれ (アニメ公式アイコン)