ネズミと格闘してたら愛着がわいてしまった木曜日の夜

11月28日(木)ちょっと雨

うちのアパートには2週間前ほどからネズミがいる

最初に姿を現したのは3階の住人の部屋だった

その住人はこのアパートに住んで2年目ということもあり、すぐに罠を仕掛け、ネズミを仕留めた

その次に姿を現したのは、キッチンと1階の住人の部屋だった

この時点でネズミは二匹以上いたことになるが、1階の住人もネズミを仕留めた

そして、今週の月曜日

ついに私の部屋にも姿を現した

元々、虫とか動物を触るのは苦手だが、それを見たからと言ってぎゃーぎゃー騒いだり泣いてしまうような質の人間ではなかった

だけど、初めて自分の部屋でネズミを見たとき、あまりの気持ち悪さに固まってしまった

壁に沿ってその小ささからは想像がつかないほどの速さで走り、すぐに棚の影や壁の中に姿を隠してしまうその姿

そして、たまに外に出てきては食べ物を探し求めては、再び壁の中に姿を消す

何が気持ち悪いかって、視界の端っこを黒い塊が素早く動く不穏さと、小さくて動きが予測できないことだった

ほんとに小さくて、部屋のドアと床の隙間から入ってきやがるし、小さいのに壁の少しの段差よじ登ってきやがるし、ベットの小さな隙間も入ってきやがる

すぐにアパートのオーナーに、泣き目で「早く部屋に来て!」と連絡し、ばね式のネズミ捕りを持ってきてもらった

チーズをのせたネズミ捕りを部屋に三つ仕掛けて、月曜日の夜は眠りについた

そして火曜日の朝

起きてネズミ捕りを見ると一匹、ネズミ捕りのすぐ近くで横たわったまま固まっていた

そう、死んでいたのだ

その時、私は初めてあれだけ気持ち悪いと思っていたネズミに同情し、その死を憂いた

とはいっても、あの不快な生き物がいなくなってくれたことはやはりうれしかった

それから一日経った水曜日

またヤツは姿を現した

そいつはやはりドアの隙間から私の部屋に侵入し、壁伝いに部屋の隅っこに来ると、そこが自らの家であるかのように暖房器具の管と壁の小さな隙間に姿を消していった

そこからまたヤツとの闘いは始まった

今回の敵はなかなか警戒心が強いらしく、日中もあまり私の前に姿を現すことはなかったが、時折腹が減っているのか、窓から少し顔を出しては3秒間ほど固まり、周りに天敵がいないのを確認するとまた壁伝いに別の場所に移動した

ヤツが姿を隠すのは、主に壁のなかだったが、たまに冷蔵庫の下に隠れたり、棚と壁の間の小さな隙間に隠れたりした

ヤツは本当に警戒心が強いらしく、移動するときは足音を立てながらものすごい勢いで駆けていった

そして私も、ヤツが姿を現し、壁伝いに走るとき、自分の部屋に小さくも姿の見える生物がすんでいる現実を再認識させられ、怖くなって固まってしまった

アパートのオーナーにもらった罠は置いていたが、何度もチーズのみを食べられてしまい、全く効果はなかった

そして今日、木曜日の夜7時半

私はヤツが壁の隙間に入っていったのを確認し、今度こそは捕まえる、あるいは私の部屋から追い出すことを決意した

そのために作戦を2つ立てた

一つは定石通りチーズを置いた罠を壁の近くに置き、捕まえる作戦

しかし、何度もエサだけ取られてしまっているように、この作戦はほとんど無効といってもよかった

罠にかけて殺せないのなら、何とかして自分の部屋から追い出すしかない

そう思った私は、罠にエサを置くのはやめ、ヤツが壁から出てきたのを確認できる位置にポジショニングし、ヤツが姿を現すのを待った

ヤツはやはり食べ物を探しているようでたまに姿を現しては、ネズミ捕りのにおいを嗅ぎまわり、食べ物がないかを確認した

そしてないのを確認するとまた壁の方に戻って隠れてしまった

このままではらちが明かないと思ったが、警戒心が強いヤツは少しでも動くとすぐに壁に隠れてしまうので、ドアに近づくまで辛抱強く待つ必要があった

ひたすら待ち続け、ヤツの動きを監視し続けた

監視を始めて二時間ぐらいたった時、ヤツが3度目ぐらいに顔を出し、あたりを確認し始めた

その壁の小さな隙間からちょこんと顔を出すヤツの姿を見た時、私は不覚にも

かわいい

そう思ってしまった

いや、ダメだ、相手はネズミ、家にばっちいフンを散らしまくり、食べ物を食い荒らす人間の敵だ

それをかわいいだなんてあり得ない

心を入れ替え、監視を続けると、またヤツは姿を現した

よほどお腹を空かせているのだろう、以前よりも姿を現す頻度も動き始める早さも早くなっている

これは、部屋から出すチャンスかもしれない

そう思いながら、じっと眺めているとヤツは壁の少し高いところに上ってしまったらしく、ちょっともじもじしながら下を見下ろしている

その様子は、まるで生まれたての子犬が階段を降りるときに怖がって躊躇している姿のようだった

その時私は不意にこう思ってしまった

がんばれっ!!!!

いや、待て、何を応援しているのか

相手は天敵、応援するのではなく戦わなくてはならない相手だ

それを味方につけるなんてもってのほか、あり得ない

しかもネズミ相手に頑張れなんて、お人よしにもほどがありますよ、奥さん

そう自分にツッコミながら監視を続けた

3時間ぐらいたつと疲れてきて、だんだん、ちょっとヤツを顔を出すと、あ、おはよう、みたいなテンションで見てしまうようになった

ダメだ、少しネズミをかわいいと思いつつある自分がいる

いや、てか可愛くね?特に、あのちょこって壁から顔を出す時とか、もう普通にハムスターみたいな可愛さあるんだが

とか思ってたらヤツが壁伝いにドアの近くまで行っているのに気付いた

はっと我に返り、チャンスだと思った私はどうにかじっとこらえながら少しづつ近づき、

ようやくヤツを自分の部屋から追い出すことに成功した

すぐにドアの隙間を要らない紙で敷き詰め、二度とヤツが入ってこれないようにした

こうして、小さくて、すばしっこい、ヤツとの闘いは幕を閉じた


いや~長かった

約4時間ほどネズミと格闘してた

でも自分の部屋に一日以上住み続けられると愛着がわいてしまうものなんですねえ不思議なことに

てか、戦いはまだ幕を閉じてませんし、何ならまだアパートのどこかに潜伏してますヤツは

きっと今ごろ食べ物を探し求めて別の住人の部屋に潜入しているか、台所の誰かが落とした食べ物の残りかすをカリカリ食べながら必死に生きているのでしょう

早くオーナーネズミ駆除の業者よんでくれないかな~

結構本気で勉強集中できないし、ストレスなのよねえ

というどうでもいい日記でした

てか書いてる間に日付変わってた

誰かがあのネズミ退治してくれますように

アーメン