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女丈夫、三角きん子の半生記。

バイクの名義変更をするために、鮫洲の東京陸運局に行かねばならないのだが、いろいろあってなかなか行けず。

というのも、ひとつに陸運局の受け付け時間がよくわからなくて予定をたてにくいのだ。
HPに「受け付け時間は、電話でお問い合わせください」とあったので電話をしてみた。

ここの電話問い合わせは、滑舌のあまりよろしくない、割烹着と三角巾が似合うであろうと私が確信するおばちゃんがしゃべるテープの声に合わせて、ナンバーを押すスタイルなのだ。
用件にあわせてナンバーを押すのだけど、その階層が深くて何度も押さねばならんのが面倒。それに押すタイミングが遅れたら、やり直させてくれればいいのに「おかけなおしください」と、三角巾ババアが冷たく言い放つ。めんどくさいチケットぴあでも、もすこしましだぞ!

むきになって何度も電話してやっと「二輪車の名義変更」というカテゴリーに行き着けた。あんまり何度も三角巾ババアの声を聞いたので、途中から暇つぶしに、三角きん子(みすみ・きんこ)と名付けて、彼女の半生を想像してみた。


総会屋の手伝いをたまにするも、基本的には飲む打つ&労働意欲ゼロの旦那のしり拭いをしながら、定食屋で働いて一男一女を育て上げた女丈夫である。おそらく紫グラデーションの、ちっともファッショナブルじゃない、“おしゃれサングラス”がトレードマークの「きんこ」。ニックネームの「きんちゃん」で呼ばれると、萩本欽一のモノマネで「なんでそーなるのっ!」と言いながら、欽ちゃん走りで応えるというおちゃめな一面もある。

そんな彼女の健気な人生に思いを馳せていると、ちょっとやさぐれた気持ちが落ち着いた。
が、しかし、結局最後までテープ音声を聞いてはみたが、営業時間はわからずじまい。陸運局、ええかげんにせえよ。

ブログ「パーラー永浜商店」から加筆転載。

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