父親の悪口と反抗期
中2の娘は小さい時から喜怒哀楽の激しい子だった。
怒ると「きーー!」とイルカのような超音波の叫びをまき散らし、喜ぶと即興の歌を歌いながら踊りだす。この落差に周囲はほとほと疲れ果てた。小学校4年くらいまでは腹を立てると「きーーー!」をやっていて、私も応戦して怒鳴り散らしたりしてなかなかハードな子育てでしたよ(涙)。
この子が思春期になったら、いったいどんな悪魔になるのだろう…と頭を抱えたのだが、小学校で反抗期はピークだったらしく今のところ激しい反抗期はない。それどころか話し始めるとなかなか終わらず「それでね」と友達の話を延々と始めたりする。ときどき「あ、まだ話すんだ…」とこちらが疲れるくらいだ(笑)。
私が下ネタオープンな性格だからか、「友達がBL貸してくれた、こんなの」と見せる。「こ、これは中学生が読んだらいけません!」とさすがの私もキレる内容だった。ふつー、親に隠れて読むだろこら。
私がゴロゴロしてると「はー疲れたー」などと言って、腕枕してきたりする甘えも見せる。
「○○たんは甘えん坊ですねーよしよし」と頭を撫でてやったりすると、まんざらでもなさそうな笑顔で照れながら「違うもん、反抗期だもん!」と答えるのだが、いやいやママにだっこしてもらってるやん…私よりデカい体で…と苦笑せざるをえない。
娘の態度は旦那に対しても同じである。思春期特有の父親を嫌悪するそぶりもない。パパがいても風呂上りに平気でパンツ一丁でリビングに出てきたりする。「なんか着なさいって!」とこちらが焦る。パパがいると勉強を教えてもらったり「ねえねえ聞いて」と延々話したりしている。
いやー私の思春期と大違いだわ。私など母親と喧嘩すると憲法の基本的人権とか持ち出して反論したし、父親の後に風呂に入るのもいやだった。口もききたくないし、醜く太りくさった容姿にもげんなりしていた。
考えたんだけど、これって母親が娘に普段父親の悪口を言ってることと関係している気がする。つまり、旦那の悪口や愚痴を誰かに聞いてほしいあまり娘に言っていると、思春期になった娘は「ああ、こういうところね」と冷静に父親の姿を観察して理解し始める。そして「ママの言うとおりだわ」と無意識に母親に加勢するのではないかと。
私がもれなくその例だ。母親は私が小学校4年くらいから「お父さんとは結婚して3日目で離婚しようと思った」とか「自分に甘くて経済観念がなくてだらしない」とか、ことあるごとに愚痴をこぼしていた。実際、よく夫婦喧嘩をしていたし「別れる」という言葉も双方から何度も聞いた。結局、添い遂げたのだから夫婦ってわからないもんだけど。
なので私は娘に旦那の悪口だけは言わないようにしようと思ったのだ。出張ばかりで家にいない旦那のことも、子供たちが忘れないように何かと会話に出すようにした。
「そういえばパパもこういうの好きなんだよ」とか「パパも小さい時、○○してたんだって」とか。
家には不在でも、子供たちの心には不在にしたくなかったのだ。
幸い、旦那はいい奴なので私も不満は少なかったのだけど。
男の子の場合はよく分からないけど、周りを見ると旦那の悪口を娘に言ってると娘がもれなく思春期で父親を嫌悪し始めるって傾向は当たってる気がするんだよな。ちょっと今後もこれは、自分の周囲で統計をひそかにとってみようと思います。