内藤なつめ

小説のために、うその練習をします。

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最近の記事

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和歌山の思い出

    • ラブタモリ 2

      タモさんは優しい、という他愛ないけど心に残るエピソード。 「笑っていいとも」のコーナーで、食べ物が出てきて、みんなで試食することになった。 男性芸人が多かったからか、ひとつの食べ物をみんなで回し食べする感じ。その中にアイドルの女の子がいた。 さすがにうら若き乙女、言葉にこそしなかったが、彼女の顔は強ばっていた。見ている私も(うわ~、これはやだな)と思った。 なんでみんなでぐちゃぐちゃした食べ物喰わなあかんねん。キモ。おっさん多いし。 勿論、男性芸人たちも、人が口をつけた

      • ラブタモリ 1

        自分がタモさんのファンだと自覚したのは、友人に指摘されたのが最初だと思う。 「なんか、しょっちゅうタモリの話してるなぁ。好きなん?」 え? 自分ではそんな意識がなかったから、とても驚いたのを覚えている。 それまでの私にとってタモさんといえば、なんといっても「笑っていいとも!」の司会者で、夏休みなどの昼間、家にいるときに見る人だった。他のバラエティ番組にも出ていたのだろうが、大方の司会者と同じく、特別感など感じたことがない。 が、ある日の「いいとも」のコーナーで、私の

          仕事の愚痴

          おう。わしや。元気か。 そや。頑張っとんねん。そやで。おう。 ちゃうねん。そらそやろお前。誰が最初からそんなもん…… あかんやろー。んなもん。猫かぶるて。お前。 おう。完全に舐められとるわ、わし。 ええねん。もうな、ほんまめんどいねん。 あったまおかしいのばっかやで。 ん?わしもて? 言うなお前。まだましじゃ、あほ。 みんなな、騙されてけつかんねん。 こっちがニコニコ~、てしてたらな、まぁほんま、人畜無害て 思いよるんやろなぁ~。好き勝手言いよるわ。 なんかキレてきたりな

          短編小説「コール」

           アントニオ猪木が亡くなった、というニュースが流れてきた。ずいぶん痩せてしまった猪木の映像を目にした時の衝撃を覚えている。時間の流れを感じると同時に、思い出したのは三田さんのことだった。私があの会社にいたのは、もう二十年以上前で、三田さんもとっくに定年してあそこにはいない。  なにもかもが遠くなる――寂しい気持ちに心が塞がれる。  あの頃の会社、そして我々の毎日は、楽しかった。多分、みんなもおなじだったのではないだろうか。それは多分、三田さんのおかげだ。 「三田課長――

          短編小説「コール」

          わるいおとこ

          「女がカラダを求めてもいいでしょ」 割り切ってないとやってられない 私を好きじゃないと知ってて それでも会わずにいられないんだから 「ずるい男だね 最低だね あんた可哀想」 そう友達に言われて それでも好きだった 白く形の良い歯 無駄な肉のない背中 張りのある低い声 大きな瞳 あの人を形作るパーツはどれもたいそう美しくて 中身にそぐわない 無邪気な笑顔が とりわけ残酷なくらいに綺麗 終わったらいつもすぐ寝ちゃう 横顔を ずっとずっと見ていた 瞬きもしないで 夜だけ呼ば

          わるいおとこ

          果報は、寝て待ってもこないかもしれないけれど

          新しい会社に入ってしばらく経ったが、ほぼ毎日注意されている。 私のやったことではないのだが……という、理不尽な内容もあるけれど、ほとんどは私の注意力散漫な性格によるもので、言い訳できない分、落ち込む。 さらにいつも「遅い」と言われる。 慣れるまで私は実際に遅い。 自分に自信がないせいで、必要以上に萎縮してしまうせいだ。 三回注意され、さすがにマズいと思って「何かコツはあるか」先輩に訊いてみたところ、最初に教わったのと違う方法を教えてくれた。 オイオイ。 それなら最初から

          果報は、寝て待ってもこないかもしれないけれど

          わたしはここにいますか

          誰かに話を聞いて欲しい、と思うなんて 若い頃は思いもしなかった。 友達も 仕事仲間も 大事な人も みんなちゃんと 頷いたり アドバイスをくれたり 泣いたり 笑ったりして 若い頃は そんなこと 思いもしなかったんだ。 今はね。 黒い穴に向かって ひとりごと言ってるみたいな毎日。 上の空の相づちってね 聞いてると 心が死んでくるんだよ。 それでも私 黒い穴に向かって 言葉を放り投げるの。 もしかして もしかすると 生きた言葉がかえってくるかもしれないし。 ……まぁ、そ

          わたしはここにいますか

          限界が決まる

          今の体重は、大学時代とほぼ同じである。 しかし、社会人になってから考えると7㎏太った。働き出して自然と7㎏痩せていたのが、いつの間にか戻ったからだ。 努力せず得た結果は、維持できないものなのだ。 私はこの体を持て余している。 若い頃と同じ体重であっても、太り方の質が違う。 重力に屈している。 筋肉が落ちているから、脂肪自体も増えているはずだ。 故に、見た目は確実に大きく成長している。 食べる量は減ったのだが、代謝も落ちているので、脂肪が燃焼されない。 しかも酒を飲む。飲ん

          限界が決まる

          ナツメに捧げる歌

          私の黒い猫は シャーと一度も言わなかった 穏やかで人見知りで 私を誰よりも愛していた 初めて家にやってきた日 にゃあにゃあきょうだいを探して そこら中歩き回った 上目遣いで 不審な顔して トイレを我慢してたのか くさいおならを放った なのに おもちゃを出すと その誘惑に勝てず 一心不乱に遊んで…… おかしいやら可愛いやらで 私の心は大忙しだった 私は彼女と 追いかけっこするのが好きだった いい大人が ソファに飛び乗ったり 物陰から猫の動向を伺って 四つ足で追い詰めたり

          ナツメに捧げる歌

          夢の中で見た詩

          ちょっと前に見た夢の中の詩なのだけど、 これは完全にオリジナルなのか それともどこかで読んだ物なのか 分からないのがある 吉野弘とか長田弘みのある内容なのだ 『親としてお前が立派な人生を歩むことを望む 難しい問題に挑戦して 困難を克服することを望む それと同じくらい 凡庸な人生を望む 優しい人に囲まれて運に恵まれて 人を信じ愛されることを望む』 というもの 誰かこれが オリジナルか模倣か教えてくれませんか

          夢の中で見た詩

          今日は、マシマロを食べ損ねたのだ

          夢の中ぐらいは願望を完遂したい 美味しそうなケーキは最後まで味わいたいし 花のいいにおいを胸に納めたいし 素敵なドレスはちゃんと着てみたいし もふもふの猫の腹に顔を埋めたいし 光の柱が立つ海底も、しんとした暗い宇宙も散歩したいし 自分の力だけで空を飛んでみたいし 大好きな人との時間はずっと続いて欲しい 面白い映画や本 胸が締め付けられるような音楽も 最後まで鑑賞させて欲しい 自分の夢の中なんだから いつもいつもいいところで終わる 自分の夢の中なのに 夢の中だから

          今日は、マシマロを食べ損ねたのだ

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          馬ってかわいいな

          馬ってかわいいな

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          吉野は晴天

          吉野は晴天

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