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家事シェアの環境はレストランの厨房をイメージ:人が無意識に動くデザインの力

家の間取りなど、デザインが人を無意識に動かせてしまう力を持っている、と聞くと少し怖いでしょうか。

実はデザインには、そんな「アフォーダンス」という効果があると言われています。この力は、複数の人が家事をしやすい環境づくりに役立ちます。

しかし…恐ろしいことに反対の力に作用することがあります!

例えば、家のキッチン。進化しているとは言え、いまだ「一人」での家事効率に特化したレイアウトが、ほとんどではないでしょうか。私はこれが、日本の家事シェアを”自然と”阻んでしまっている原因の一つだと考えています。

結婚したら自然とワンオペ家事•育児になっていた…

という事態を脱却するために、私は全ての家がこの力を良い方向に発揮できていたらと心から思っています。(と言う私たち夫婦も、家事シェアがレイアウトで失敗した経験あり・・・後ほどお話しします。)

ちなみに、この力を活かすには、飲食店の厨房やオフィス、工場といった、複数の人が働く環境をヒントに考えたら良いと思っています。そんなことを頭に置きながら、読んでいただければ幸いです。

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今回は、以前、家事シェア効率に必要と考えた3つのビジネス視点(①スキル②チーム③空間)について投稿した記事の、その「③空間」について書いていきます。


人が無意識に動いてしまうデザインの力「アフォーダンス」とは

家事の効率化に、家の間取り(=デザイン)が役立つことは、なんとなく認識されていますよね。ではその力とは・・・いったいどんなものなんでしょうか。

例えば、本棚の近くに、ちょうど腰掛けるの良い高さの箱があったとき・・・思わず座ってしまうことありますよね。こんなデザインの力のことを「アフォーダンス」と言います。

アフォーダンス
知覚研究で知られるアメリカのジェームス・ギブソンによって提唱された概念。(中略)アメリカの認知科学者ノーマンはデザインの分野で同じ用語を使い始めて、よいデザインとはその使い方をアフォードするものでなければならないという。たとえば、ドアについた縦の取っ手は引くことを、横の取っ手は押すことをアフォードしているという。(小学館 日本大百科全書(ニッポニカ))

ご参考までに、分かりやすい事例のnoteの記事を見つけました。2歳のお子さんとのお散歩の道を、アフォーダンス"行為誘発性"という言葉で考察されています。(かわいいお散歩♪)

そんなアフォーダンスの力を家にいかすと・・・

家族に、アレコレ声かけや指示せずとも、自然と動いてもらうことに役立つのです。すばらしい!!

個人的に、特にキッチンは家事シェアの視点で、最もアフォーダンスをいかしやすい場所ではないかと思っています。

例えば、料理が完成に近づき、配膳でバタバタするあたりのシーンは、複数人で調理・盛り付け・配膳できると捗る!休日はみんなで調理するとイベントになりますよね。

自分ひとりが使いこなしていくキッチン
↓発想転換↓
無駄な思考を使わず、効率的に調理がすすむキッチン
いろんな人が自然と料理に加われるようなキッチン

みんなで調理することを考えて、キッチンにもこんな発想転換があると良いのでは…と思っています。

ここから、私たちの失敗例とよくある事例とともに、私なりに考えた、家事シェアの味方になりそうなデザインの力を、簡単にご紹介していきたいと思います。

私たちの失敗例:無意識に家事シェアを遠ざけたキッチン

私たちは、結婚前からシーンに応じて、料理を同時に2人で行っていました。しかし昨年の引越し以来、その機会が遠のいてしまったのです。

半年たって気づいた原因がキッチンの家具レイアウト。「アフォーダンス」による負の力でした。

before(問題点、お分かりでしょうか?)

画像1

<問題点> 2人で料理をすると動線がバッティング。今まで2人で料理することで効率UPしていたのが、効率ダウンに繋がってしまいました。
一人が請け負った方が早い状態になっていたのです。

このプランありがちですよね。夫婦ともに料理ができるのに「1人じゃないと逆に手間」と思っている方、こういう問題点が根本に潜んでいる気がします。


After

画像2

通路幅を広げることはできなかった我が家。回遊性のある配置にして、バッティングしそうな場合の逃げ道を作って改善しました。

(加えて、この作業台をひと工夫して家事シェアしやすくしました↓)


よくある例1:モノの所在地をいつも聞かれてうんざり

「缶詰ってどこにあったっけ?」

情報共有を徹底することで解決する問題ではあります。でも、例えば買った物をしまった時に家族全員いれば簡単ですけど、そんなこと滅多にありません。
こうして、うんざりが重なって
「一人でやった方が早い」+「手伝いたいけど聞きづらい」状態に。

<解決案>
ー把握せずともわかるように見える化
(ラベリング、一目でわかるような収納に変える)

ー「ありそう」な場所に置く
 (探した時にすぐ出てくる場所に置く)

よくある例2:かばん置き場はそこじゃない問題

玄関脇、ソファの横・・・ポンと何気なく帰宅後の家族がカバンを置いてしまってそのまま放置。気づいた人がしょうがなく片付ける。これを何回もやっていくとストレスになっていきます。

〈解決案〉
ーつい置いてしまう場所=無理なくしまえる場所に収納を計画

ーカバンの大きさを分析。持ち物が自然と置きやすい適当なカゴ等を配置する。

よくある例3:掃除がおっくう、細かい場所の掃除は後回し

これも運用や習慣づくりの問題も大きいですが、そもそも掃除道具を取り出すまでにハードルがある場合があります。また、隙間時間にさっと掃除しやすくすることはデザインで解消できます。

<解決案>
ー家族の隙間時間が生じやすい場所をチェックして、そこに掃除道具を配置(リビング・キッチンなど)

ー散らかりがちな場所に適した掃除道具を置く。
(洗面所は髪の毛、キッチンは床の汚れ、飾り棚にはホコリ等・・・適した道具をそばに配置)

レストランの厨房、オフィス、工場だったら…と想像してみる

複数人の人が働く場所が役立つ。自分や家族がつい動くための仕掛けをしていくと、マンパワー(指示)に頼らなくて済みます。

例えば、レストランの厨房だったら・・・?

・調理人がバッティングしないような道具の配置になっている
・戸棚を開いて一目見たらわかるように調味料がしまってある

例えばオフィス、工場だったら・・・?

・共有物の場所が収納にラベリングしてある
・備品の発注方法がわかりやすい場所に書いてある
・注意が必要な作業などは、その作業が発生する場所に明記してある

など・・・参考になる視点がたくさんありますよね。
家は家族だから、「言わなくてもわかる」「一度言えば忘れないでもらえる」と言うレイアウトにしがちなのかもしれません。

最近は、いろんな住宅メーカーでも、家事効率や家事シェアしやすい間取りや家具レイアウトの提案に力を入れています。
新築や戸建て以外にも役立つ情報がたくさんありますので。こちらについてもまた別の記事でご紹介したいと思います。

おしまい☆

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