「HELLO WORLD」2019.09.20 - Japan
しばらくずっと「インターネット(当時はアーパネット)が世界に初めて接続された際に、最初に出力された文字列は『HELLO WORLD』だったよな」と記憶していたのだが、実はそれは私の記憶違いだったようで、本当は『LOGIN』と入力しようとして、システムが上手くいかなかったことから『LO』になってしまった——というのが歴史的に正しかったようだ。
その入力をした担当者は、後に「あの時はLOGINって入力しようとしたんだけどさ……」と周りの人に伝えたのだろうけど、事実として完成されていない文字列なのだから、知られざる答えは本人の中にしかなくて、本当は『LOVE』と打とうとしていたのかも知れない。もしそうだったら、それはそれで趣があって楽しい。
先述した通り、私の記憶違いから生まれている<HELLO WORLD>という言葉への誤認識ではあったが、noteをはじめて色々な映画について、もにょっと何か書こうとした時に、スタートに立つという意味合いでは丁度良いのかなと思って、本作を鑑賞して感じたことを綴ってみる(ブログとかで最初に何を書こうか、というのは案外迷うもの)。
なお、一般的な感想やレビューといった類いのものにはならないので、悪しからずご了承願いたい。感じたことを徒然と書くだけなので、ただの雑記に近い。脱線もする。
さて、『HELLO WORLD』を鑑賞したのだけれど、ボーイ・ミーツ・ガールとして興味深い作品だった。なんだか懐かしさもある。
少年が少女を救う話(逆もまた然りだが)って、燃えるよね。少年少女じゃなくて中年でも燃えるけど。老年でも……。
本作とは直接的な関係のない話だが、私はジャンルとしてタイムリープが好きで、主人公が誰かを救うために何度も何度も繰り返し失敗するストーリーが好物だ。簡単に成功するのではなくて、兎にも角にも失敗が大事。失敗した分だけ成功した時に得られるカタルシスが大きいから。
ただ、本当に好きなのは、どんなに頑張っても<成功しない>なのだけれど、そういう悲惨なストーリーにすると、商業面でのヒットが難しくなるから、あまりお目に掛かれない。たまにはあるけどね。失敗して終わる映画で傑作もある。だから、もっとそういうのが増えれば良いのに、ダメなのだろうか。
現実って、大体のことは失敗するわけだから、リアルな路線として報われないことこそ知るべきでは。作られた物語に成功を見せられるから己の人生に期待してしまう、というのも、それなりに残酷なことではないだろうか。
閑話休題。
『HELLO WORLD』でも少年が少女を救うため、かなり難度の高いことをするのだけれど、それがまあ凄いのなんの。自分を犠牲にしても彼女を救いたいという気持ちをヒシヒシと感じた。
やっぱり愛があると人間の能力って超越するのね。そうだ、マッドサイエンティストは大体、最初は良い人だけれど、愛に引き摺られて狂人化するからね。手塚治虫の漫画でもそう。人を狂わせるのは愛なのに、世の中では愛は至高のものとして扱われているのは大変に危険なことなのかも知れない。考え方を改めて、愛は劇薬と知るべきかも。そういう名言もあったな。愛し過ぎて殺しちゃうってのもあるし、理解は出来ないが。
本作は、あまり明確な悪役がいないなぁとも感じたのだけど、それって、ボーイ・ミーツ・ガールでは珍しいパターンではないだろうか。なんだか自然災害と戦っているような感じがした。実際、仮想現実の中でシステムエラーとして藻掻く話であるから、その周囲の世界自体が相容れない敵であるということには納得感はあるけど、なかなかハードな舞台だなと思った。
世界とそのまま対峙しなければならないのであれば、摂理を敵に回さなければならないので、単純な悪と戦う時とは大きく勝手が違う。雲を掴む……という言葉があるが、この場合だと<雲を倒す>ということになる。難しい。だって水蒸気だ。だから倒せたら凄い。それが要因となってカタルシスまでに直結していることが理解出来るし、とてもスケールが大きく描かれた映画だったなと感じた。
また少し逸れるが「その世界自体が敵である」という部分を考えてみると『インセプション』にも似た要素がある。恐らくインスパイアされた箇所も多いだろう。まだ未見の方がいたら、そちらも観て欲しい。懐かしいな、そういえば『インセプション』っていつの映画だったっけ。調べてみたら2010年でマジ驚いた。また観よう。
さて、本作の結末には驚きの展開、いや、どんでん返しがあるのだが、色々と解釈の余地を残す飽きさせない工夫がされていた。ちゃんと観ていないと「どういうこと?」となりそうなので、よく集中して観ることをオススメする。ただし、よく観ても分からないとなる可能性は高いので、その場合は繰り返し視聴が必要かな。
ボーイ・ミーツ・ガールがボーイ・ミーツ・ガールらしく終わるという点では、王道さを感じさせるが、映画の物語的な作りはSF的で新しいアプローチがされていたので、今後もこういう入り組んだ話を楽しみたいなと感じた。
ということで、今度は『GOODBYE WORLD』でお願いします。