見出し画像

意図せぬ京都泊

超結社の句会に初めて参加した。最近まで「超」の意味をはき違えていて、「めちゃくちゃ結社である」ということだと思っていたのは内緒です。友人も同じく勘違いしていたのを知って、密かに安堵したりもした。

梅田ダンジョンで見事に迷い、就活のころを思い出した。あのときも大阪駅前なんちゃらビルに、インターンの面接に行ったのだった。帰りの京阪電車で、かぼちゃの鈴カステラを食べたのを鮮明に覚えている。
改札を出て、Googleマップのとおりに進もうとすると、地上の交差点に信号がない。そうだった……梅田は地上に出たら負けなんだ……。
なんとか地下に潜ってみると、先程見た大きな道路の向こう側まで渡れそうだった。まだ時間には間に合いそう。鈍足ながら懸命に進む。

意外とすんなり駅ビルの地下に入ることができたので、あとはお店に着くだけだ。ところが、Googleマップの現在地とお店は重なっているはずなのに、肝心のお店がない。えー!? つぶれた!?(そんなはずはない)
ドラッグストアが並んでいて、どこかに隠し扉でもあるのかと歩き回ったが、それらしきものはない。これはほんとうにあぶないぞ。いよいよ句会デビューも断念か……と焦りはじめたとき、「地下」という言葉が脳内に浮かんできた。お店は地下一階。いやわたしがいるのも地下一階だろと思ったら、ナチュラルに地下二階だった。どおりで。
結局遅れてしまって申し訳なかったです。

短冊に句を書いていく感覚、高校生ぶりだったので感慨深かった。目の前に生ビールがある点だけ違っていたが。
とても楽しく過ごさせていただき、いざ終電へと向かう。余裕をもって10分前くらいに着いたので、先に列車のなかに入ってLINEを返したりなんだり。
いざ動きはじめて、この電車が三宮方面ではなく、正反対の京都方面に向かっていることに気づいたのは南茨木駅に着くころだった。
なんと両方面とも同時刻に発車だったのもあって、終電を間違えてしまったのだ(時刻のせいにするな)。

♪みなみいばらき~みなみいばらき~
杉下右京が「はいぃ?」と脳内に顔を出す。
これ、わたしがいつも京都河原町を目指すときの通過駅では?

終わったと思った。が、生き延びねばならぬ。
急いで夫に連絡をすると同じく杉下右京が出てきたが、ひとまず京都のどこかのホテルをとるしかない。普段からお世話になっている友人の家などもないし、まず時間が時間だし。家に帰るのは翌日、ということで決まった。
幸い、翌日は用事がまったくない日だったのと、スマホの充電がある程度残っていたのと、猛暑日で汗だらだらではなかった。
猛スピードでホテルを探すと、軒並み1万円台……まあそらそうだわな……と妥協しかけたとき、当日特別割引みたいなので1万円を切っているところを発見。えいやと予約する。このお金があれば飲み会に二回行けるのに、と思考はそっちである。

気持ちは半泣きだったが、車内でひとりでいるとなぜか冷静な気持ちも湧いてくる。こんなに気乗りしない京都泊ははじめてだ。
ホテルにチェックインして部屋に入るも、なんてったって宿泊予定ではなかったので、必要なものがない。充電はあきらめるとして、クレンジングだとか水分だとかを求めて近くのコンビニへ。
深夜1時に信号を渡ろうとすると、海外観光客のグループがなにやら盛り上がっていてうらやましくなる。ええな。もとから泊まる予定やったんやもんな。自転車の人に抜かされる。ええな。ここ住んでるんやもんな。わしも昔は……(終了)

今日も今日とて終電に乗る全世界のみなさんへ伝えたい、方面を間違えるのだけは気をつけてください。
わたしは一度やらかしたので、もう間違えない。次こそはかならず終電で帰ってみせる。


前回の記事


いいなと思ったら応援しよう!