訪日客増によるカード会社の手数料赤字増 年200億円に
インバウンドの急速な回復に日本のクレジットカード会社が警戒を強めている。訪日客が小売店や飲食店など加盟店でカードを使うほど海外に支払う手数料がかさみ、赤字が膨らむためだ。訪日客が新型コロナウイルス禍前の水準に戻れば、カード業界全体で年間200億円規模の赤字になる。
今までは日本人のカード利用や団体旅行客が使う中国銀聯(ユニオンペイ)の黒字で補ってきた。銀聯は普及を優先して手数料率を低く抑えている。中国からの団体旅行が途絶えている間に、米欧からの訪日客が先行して回復したため「豊作貧乏」の構図が強まった。
キャッシュレスを推進する日本政府はカード利用に伴う店舗側の手数料負担が普及を阻む要因の一つとみている。このため公正取引委員会と経済産業省は手数料率の開示を国際ブランドに要請。ビザやマスターカード、中国銀聯は22年、初めて一部の手数料率を公表した。
ただ日本のカード会社が国際ブランドに支払う詳細な手数料は現在も公開しておらず、ブラックボックスになっている。
感想
政府はキャッシュレス化推進のため、来年24年度より紙幣刷新をする。今回の紙幣刷新には、主要各国から遅れるキャッシュレス化を促進する狙いもある。その大きな目的は主に3点あり、まずはインバウンド消費の拡大。二点目が、キャッシュレス決済に伴う人手不足緩和や生産性向上。そして三点目が、現金決済のインフラコストの削減。
だが、インバウンド消費がカード決済の場合はクレジット会社は赤字になるというなんとも皮肉な現状だ。インバウンドで得た利益をクレジットカード会社に還元できる仕組み、または、違った解決策が急務の課題だ。