世界は混沌、人の営みは変わらへん「CIVIL WAR アメリカ最後の日」「佐々木、イン、マイマイン」「雨の中の慾情」*2024年11月に観た映画
ロシアのウクライナ侵攻もイスラエルのパレスチナへの攻撃も
世界中の人々の願いやのに終わらへん
アメリカの大統領がまたレイシストに
日本も新しい首相になり衆議院選挙は終わった
地震や大雨、また地震の能登は変わらず放置
在日外国人やマイノリティへの差別はひどい
その一方で花は咲き生命は誕生し季節は巡る
ワタシらは日々泣いて笑って生きている
世界がどうであろうと人の営みは変わらへん
様々な愛があり夢があり
世界中の様々な年代でそれぞれのジェンダー、役割、仕事
その中で生きるいろんな人の姿をたくさん知った11月やった
メゾン・ド・ヒミコ(日)
とりつくしま(日)
ネネ-エトワールに憧れて(仏)
CIVIL WAR アメリカ最後の日(米)
THE NOVICE (米)
佐々木、イン、マイマイン(日)
アニーディ 赤いチョコレート(印)
対外秘(韓)
ムーンライズ・キングダム(米)
若き見知らぬ者たち(日)
雨の中の慾情(日、台)
メゾン・ド・ヒミコ
北九州国際映画祭にて(旅先で偶然出会う)
なんとなく記憶にあり、気になってたからやと思ふ
田中泯さんが出演されてるとなれば、やはり観たいやん
2005年の映画なので
今のワタシのジェンダー観で観ていたら
ちょっと「うーん💦」なのやけど
ただ、ゲイを演じている田中泯さんが
本当に淡々と、着るものは女性的で話し方や発声はそのまま
〜なのよ、みたいな言い回しは女性っぽいのやけど
何というのか”ゲイとはこういうものでしょう?”という
変な決めつけや偏見は持ってはらへん
田中泯さんがゲイをどう見ているか、が伺えた
反発し偏見の塊やった娘が変化してゆくのが
大事なところやろけど
こういう、ちょっとワケありで素直じゃない女の子を演ると
ひっじょーにハマる柴崎コウちゃん
これって恋?と誰もがわからない時ってあると思うねん
それが「そーです、恋です」もあれば
「いやいや〜、勘違いでした」もあるわけで…
進んでゆく前に気づけると良いけど
進んでしまって引き返せないところで気づくと…
しかも、こっちは「違った」向こうは「本物」だとね💧
コメディタッチで
いろんなエピソードが次から次へと出てくるから
「え?」「は?」となって期待外れな感じやった
映画祭なので「いかがでした〜?」(皆さん拍手)
な時も、ひとり拍手できないでいた
ただ、上映後に犬童監督と田中泯さんが登壇され
おふたりのトークで「あ、なるほど」と
コメディタッチなのも「ある種、馬鹿馬鹿しさが必要」と監督が
渡辺あやさんが脚本で、ますます謎になったのん
彼女の作品を観た事、あったし
え?やったのが、犬童監督が脚本について結構語らはって
細部にこだわり、違和感を伝え話し合い練りながら撮影されたと
また、田中泯さんがダンスの仲間に性的にマイノリティな人は
結構いて”良い仲間”で全く抵抗も偏見も持ってはらない口ぶり
ヒミコ役に監督が散々悩んで白羽の矢を泯さんに立てたの、めっちゃ納得
オダギリジョーがめちゃくちゃ色っぽかった・・・
とりつくしま
「とりつくしまもない」って言うやん?ーあれです
過去に原作を読んでいて、良かった思いが残っていて
わぁ、映画になったんかーといそいそ行ってきました
愛しい人を残してあの世へ行く…その切なさよ
そやけど”死”は永遠の別れちゃうし
”またね””向こうで待ってるわ”やと思ってるかナー、ワタシ
その感覚で観ると「トリケラトプス」の彼女の気持ちはわかるし
このふたりはいつか「またね」と別れて出会うんやろうナ
ただ見ているだけで何も言えないし、できないから もどかしいけど
こころの整理ができて、次へ行こうとなるには
やっぱり一定時間が必要やろうなぁ
「ロージン」のお母さん、良いの選ばはった
長く側で見ていたらあかん、って自分で分かってはる
そやけど「え、もうお別れ?」と最愛の息子くんから離れてゆく
あのカメラの感じが切ないのに優しく温かく不思議に希望を感じた
少々ムズカシクなった中学生の息子と母の微妙な距離感と愛
…くーーー💧
”とりつくしま係”の小泉今日子さん
目尻のシワが優しくて温かくて、いろんな事を感じさせる
彼女ほどこの役にふさわしい人は他にいるやろか
原作は歌人の東直子さん
映画の監督は東さんのお嬢さん かほりさん
お母さまの感想に唸りましたわよ
ネネ-エトワールに憧れて
あの校長先生の複雑さ…
出自を隠して必死で生きてきはったんやろけど
もうそんなに必死にならんでええのにね
今のポジションを守るため
任されている責任の大きさ…なんやろか
それにしても、自分が苦労したなら
ネネを庇ったり温かく励ましたりするんちゃうやろか
自分を見てるようやから腹が立つ、攻撃してしまう
目の前から消えてほしい…
見たくない自分を突きつけられるようやから?
ダンサーにはいろんな国の人がいるのは知ってる
けどバレエをする人に黒い肌の人は見た事がない
黒いからあかん…ん?理由としておかしい
バレエ一筋より、他のダンスを知ってるって絶対プラスになると思ふ
ヒップホップや音楽に合わせて踊れるネネは
あの環境で育ったからこその感性がバレエに活きてるやん
ひとつの事を突き詰めて行く事は素晴らしいけれど
それだけってのはしんどくなる
角度や距離を変えるような視点を持つためにも
ひとつの事から離れる事も必要やと思う
そんなことを考えさせる映画やったけど
ラストはなぁー、もうちょっと”やりよう”あるんちゃう
CIVIL WAR アメリカ最後の日
トランプ氏がまた大統領に選ばれた
そのタイミングで観た
いかにも起こりそうな話やんか
戦争ものの映画は苦手なのだが
かなり話題になっていて
兵士目線ではないよう…とにかく観てみようと思った
ジェシーが「撮りたい」「撮ろう」とだんだん危険な行動に出る
そして警戒心が不足していて(経験値がないから)
とんでもない恐怖に遭う流れ
アメリカ中が狂っている
平和に見えても、どこかおかしい
無関心、関わらなければ良いのだとするアレは風刺ね
目の前で仲間が射殺される…
戦闘シーンを撮影しながら、高揚感を感じている
過去の経験がトラウマになっている
戦争の様々な側面を見せてゆく
独特の高揚感が忘れられず戦地を取材するジャーナリスト
わからん事もないけど、それは死と隣り合わせ
幸運なことに生き残れても、後々長く自分を苦しめる
まともな神経ではいられへん
誰もが狂気を纏い正当化するしか
自らを護れへんのとちゃうやろかー
じわじわ恐ろしさが這い上がってくる
「お前はどの米国人だ?」
ーこの問いは関東大震災の時に
朝鮮人を見つけ出し虐殺しようとした人たちとおんなじちゃうやろか
THE NOVICE
見ていて苦しくなった
入院すべきレベルの狂気
なんであそこまで…と”若さの暴走”なんて言葉より止めなあかん
何かをやると突き詰めてしまう性格
周りからどう思われようと、ひとりでも突き進む
危険レベルで疲労が溜まっていても前進あるのみ
友達やコーチや恋人の言葉も彼女に届かへん
努力が足りひんのと違う
結果が出なければ意味がないーが彼女のスタンダード
努力しても得られへんものがある、上には上がいる
それを知るための道はなんて遥か遠いのやろ
死ぬよ、死ぬよ、と嫌な予感しかなかった
最後のアレ、もうやめたって事かな
気が済んだんやろうか
あの傷を見せたのもそういう事なのかな
いやー、金曜 仕事終わりに観るにはヘヴィでした
佐々木、イン、マイマイン
以前、なんとなく気になっていて見逃した映画
内山拓也監督の新作が出るに合わせてのリバイバル上映
佐々木の無謀で計算しないところ、繊細で悲しみを抱えているところ
めっちゃ持って行かれた
バスケ対決で負けた後も根に持って敵意を剥き出しにしたり
全裸になって「佐々木コール」に踊り狂うのも
友達に語りながらひと粒涙を溢す時も
彼のやり切れなさ、希望、ピュアさに胸を撃たれた
あんなに熱く生きる事を”青春”って言うんやろな
彼の周りにいたら、影響されるに決まってる
佐々木、苗村さんに会えて良かったね
思い切って声を掛けて友達になれて良かったね
ホンマはもうちょっと微妙な関係やったんちゃうんかな
ラストの「佐々木コール」
高校時代の仲間3人、苗村に生きてゆく力を与えたんちゃうかな
内山監督は細部がすごくて
佐々木や祐二の家や部屋の感じ、彼らの心理描写がうまいなぁ
祐二が赤ちゃんを抱いて泣いてしまうとこ
めっちゃええシーンやった
個人的に好きなんは
佐々木が初めて苗村さんに会ったカラオケボックスでの
「これはナンパじゃない」という妙な理屈(笑)
連絡先を聞けよと友達に言われても
余韻をたっぷり引きずっておんなじ気持ちの苗村さんと
「また!」と聞かずに別れるのなんか、うふふ
アニーディ 赤いチョコレート
まぁー 広げに広げた大風呂敷を
どう落とし前つけるのか、こっちが心配になった(笑)
それいるかー?エピソード満載(笑)
途中2回ぐらい、これを観たこと後悔した…
最後まで観て、編集ワタシ手伝おうか?と思う反面
いやー、それなりに締まったやん
違和感は”善人”(しかも苦労している)”悪人”(お金持ち)
みたいにパキッと描いてるとこかな
人間は善だけでもないし悪一色でもない
お金に細かくて平気で人に手を上げる
しかも言うてる事がめっちゃわがまま・勝手
こんな人が何人も出てくるけどインドってそうなん?
相手や立場によって、ええとこもそうでないとこも
弱さも小ささも出るのが人間やで
とにかく、チョコレートを見るとキレる
怒りを抱くと殺人衝動に駆られる
そんな彼を救えたのは彼自身やったね
スッブのあまりの変化にワタシも萎えた
こういうタイプは親しくなったらあかん
でも「手を合わせて許しを乞う人間を許さない人は人間ちゃう」
ここは学ぶべきところかも
許しが下手なワタシにはティルの経験から裏打ちされる
許す度量に感服
明るくてパーンと突き抜けたインド映画が観たかったけど
これはそうと違ったナ
対外秘
だましだまされ…その繰り返しで気が抜けへん
一体、どういうラストに持ってゆくのか
ヘウンの変化が目に見えて、最後は”魂を売った”感じがした
理想だけでは選挙に勝てず
様々な策略をして彼は生き残る(死ぬで…と何回も思った)
容赦ない展開やから、誰が行方不明になっても死んでもおかしくない
これが政治絡みやから恐ろしい
選挙の裏でこんな事が起こってる
こんな駆け引きがあるから
政治家は大きなお金を動かしたり
ヤクザと関係したりするんやなー(知らんけど)
こうして勝ち抜き、自らの足元が盤石になった時
すでに”誰かの利益のために動く”状態に洗脳されてるんやー
(今の日本もそやね。今回の組閣を見たら”媚”しか感じひん)
手を組んだり裏切ったり…誰かを消すことも厭わへん
怖いけどエンタメにしてる韓国映画のすごさ
最後のシーンでライトアップされてたん
南大門?
その意味がなんとなくわかるような…わからんような…
ムーンライズ・キングダム
タイトルは場所の名前
2012年のウェス・アンダーソン監督の映画
”きょうとシネマクラブ”企画のvol.2
この監督の映画を何本か観てるけど
どうもその世界観についてゆけなくて
「アテロイド・シティ」は観んかった
予告編を観ていて、あぁ そういう映画なのか…と
とっかかりができたような気がして観てきた
1週間限定の映画
はみ出し者同士の恋 しかも12歳(きゃー)
はみ出し者だからこそ引かれあった感じですね
幼いなりに一途で、幼いなりに孤独を抱えていて
嫌われ者、お荷物だった彼が彼女が…
コメディの中に何かがあるのは感じたよ、監督
コミカルでアニメちっく
生活感や温度がない感じ…”スタイリッシュ”って言うの?
独特の世界観でこっちの感情はクールなまま
特別おもしろいワケでもなく…うーん、何て言うたらええのやろ
若き見知らぬ者たち
うーむ…ヘヴィやった…
一体、内山監督は何を描きたかったのん?
名もなき市井の人が、どう生きているか
何をしているか、なのかな
こういう病気がある人を家族だけで介護する現実
よくここまで持ち堪えてる、とも言える
限界を迎えている雰囲気よな
銃で頭を撃たれるシーンや手をそれに見立てたシーンも
あれは誰もがそういう時があるって感じがした
気がついたら銃を突きつけられていた、みたいなね
撃たれて死ぬ方がいっそマシ、みたいな気持ち
たぶん、あの兄弟、母にはあったんやろうなー
彼女があの家に上がって、ご飯作ってアレコレ助けるってのも
仕事が仕事で…だから理解もあって…でもキツいわな
過食のシーンやひとりになって声を出さずに泣くシーンは
ちょっとな、たまらんもんがあった
名もなき人・人・人が社会を動かし、誰かを思い手を差し伸べ
これで良いのか?と、もがく
そうしながら、ささやかなその人にとっての幸せがある
彼やその家族にどんな過去があり
それからどうして今にたどり着いたかの描写が
すっごくうまいと思った
「佐々木、イン、マイマイン」の内山監督の最新作
雨の中の慾情
漫画チックなチラシ…
つげ義晴の漫画が原作の「さがす」の片山慎三監督
「新時代の映画」「かつてない映画体験」などコメントに惹かれて
台湾が舞台だけにアジアなんやけど無国籍感があって
時代感覚がよく分からなくて
ありえない設定や状況なのに引き込まれてゆく感じ
どんどんラビリンスに入ってゆく
突然戦地になり主人公は左手を失っている
福子は日本人ではなくなり慰安所の女性になっていたりして
でも渡されたのはあの時の万年筆だったり
福子とは将来を誓っていたり
「死んだ」と聞いた福子は生きて他の男といたり
逃げているうちに夜の慰安所に迷い込んだり
車にはねられた福子を抱いていたのに、ひとりだったり
何と言うのかパラレルワールドを行ったり来たりしているのか
夢なのか妄想の世界なのか
その区切りが限りなく曖昧で流動的で
ただ福子と主人公ともうひとりの男は
それぞれの世界で違う設定にせよ繋がりがあり
主人公は福子を思っている
そういう何とも表現し難い世界観が
所謂”つげ義春ワールド”なんでしょーね
片山慎三監督がポン・ジュノ監督の下で助監督をしていたと知って
かなり驚いた
今回の映画を台湾で台湾の俳優さんもいっぱい出演させて
これからますます気になる監督さんやな
今月の作品を観て、どうワタシなりにまとめるか…
毎回いくつかの共通点を見つけ力技でやってる感じやけど
やっぱり世界は今、大きく変化して行く過度期
(いつだって、そう言えるんやろうな)
年々変化が早くなってる
でも多くの人が「これで良いのか?」と思って生きてる
←ここ大事やと思うねん
次に「私はこれで良いのか?」という自身への問いになるから
いやなこと、怖いことは見ないことにして…
ってのが危険なん
そのツケがどういう事になるか、は歴史を見ればわかる事
社会や世界とのつながりを知り歴史を学び…
誰かに出会い様々な人間関係に揉まれ
仲間やパートナーに出会い生きてゆく
そのしあわせと大変さ両方を背負ってる人が
世界中にこんなにいる(って言うか、誰もがそうやねんな)
よっしゃ また明日から!って気持ちになる