
未来のために過去と今を見つめる「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」「コメント部隊」「TATAMI」*2025年2月に観た映画
一時期、ホロコーストを扱った映画をめっちゃ観てた
まだ、それを扱う映画が世界で撮られ公開される
なんでやろか、と考えてみる
答えは世界の”今”を見ているとわかる
2月に観た映画をザーッと眺めてみると
どれもこれもお気楽で能天気な内容…ではない
でも、重くて暗くて元気をなくす映画…でもない
むしろワタシは希望がある事を知った
あなたはどうやろか
STRANGERS(日)
リアル・ペイン(米?)
Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014 (日)
ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女(独・英・スイス・オーストリア)
満ち足りた家族(韓)
Brother 富都(プドゥ)のふたり(台・マレーシア)
コメント部隊(韓)
聖なるイチジクの種(仏・独・イラン)
ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(ノルウェー・パレスチナ)
TATAMI(ジョージア・米)
STRANGERS
うーーーん💦
私が誰かになっていく
私は一体誰?どうなりたいの?
・・・みたいなアイデンティティのサスペンス
「〇〇さんでなくてもいいです」
「あなたが誰であれ、どうでもいいです」
・・・アレ、彼女が自分自身に思ってることよね
女性であればいい
←こんなん屈辱でしかない
ワタシをワタシとして認識して
だから話す、付き合うと思ってくれる人以外は要らん
正直なところ
同棲してる彼氏の存在が薄すぎる(ここもサスペンス?)
結婚前という雰囲気が皆無(おかしいやろ)
ま、ここにも理由があるのね
監督のトークライブ付き、初日上映
エンドロール見ながら
「どうしょ」「帰ろうかな」と正直思った
映画を作った人と会える機会など、さほどない
こんな何ひとつ響かなかった(正直なとこ)映画やけど
話聞いてみるのも一興やと参加
人の話は聞いてみるもんや
そーか そういう事か そんな風に観てはったんか
なるほどなー…と映画が立体的に迫ってきた
ワタシも何かひと言…という気持ちになり
ワタシなりに引っ掛かったことを監督にぶつけてみた
うん、言うて良かった
リアル・ペイン
予告編が何度も流れていて男性のバディもの?
このタイトルって・・・?
何やら落ち着きのないデヴィットとクセ強な感じのジェシー
男ふたりが旅するワケやそれぞれのバックグランド
共に旅をするツアーの人たち…と”ペイン”の意味がわかってくる
ジェシーがいない席でのデヴィットの告白は
痛いほどわかったワタシ
近い誰かが自分そのままに自由奔放に振る舞って
ヒンシュクも買うが愛されるキャラで
美味しいトコ全部持っていく…自分がバカみたいだと言う彼
こういう経験って、もしかして誰もがしてるもんなん?
しかもその誰かを嫌いになれなくて、でも憎んでいて
(これが”愛する”って事なん?)
いつも尻拭いは自分で 損してる感いっぱいで…
ジェシーは実は繊細で、自由奔放のようでいて
よく見てるし、よくわかってる
かつ、”超”がつくほどピュアと来てる!
あぁ〜〜〜、こういう人の隣にいるのはつらい💧
でもめっちゃエキサイティングでおもしろいのもわかるぅ
ただの人間ドラマでなく歴史的事実の背景があり
重厚さを漂わせる、その加減が絶妙
複雑なデヴィット役を監督・脚本・制作・主演(!?)
ジェシー・アイゼンバーグ
奔放かつ繊細なジェシーをキーラン・カルキン
(「ホームアローン」のマーコレー・カルキンの弟!)
いやーーー、いろいろすごくて混乱💧
Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014
戦争 災害 喪失 病 別れ 若さ 老い…
人間のすべてがあった
浮遊感? 水の中やろか?
あ、海や 海辺や
いろんな言葉、景色、映画のシーン…イメージが広がる広がる
背中の産毛が腰のあたりから頭に向かって
サーーーっと立つような
ゾクゾク、ではない さぶいぼ(鳥肌)ともちがう
そんな感覚が何度も
お腹の底から熱いものがこみ上げる
演奏を見ながら音楽を聴いて、こんな感覚が訪れたん 初めて
この楽器はこんな音が出せるんや
あの音はこんな風に演奏しはるんや
切れるんじゃないかと感じる鋭い音やら
弓を使わず指で弾いたり
プレイヤーは全身で演奏してはる
弦楽器だけから管楽器が加わり、打楽器も
音の厚みの変化 高低や響き
やがて弦が抜け管楽器だけになったり
たったひとつ、楽器が加わった時に
明らかに今までのハーモニーに新たな音が加わったのがわかった
その連続
指揮の位置にグランドピアノ
演奏もしつつ目配せや表情でもオーケストラをコンダクトする
(まったくの見よう見真似、とご本人)
その曲の持つエネルギーをどこまで放出できるか?…なんやな
グルーヴを感じつつ、どこか冷静なプレイヤー達
エネルギーの高い曲の連続で、タフさが要るんやろうな
クラッシックでなく教授の作品
映画音楽からYMO、そういう音楽だけに
それぞれの楽器の演奏や音の出し方も違い
受け取るものが新鮮やったんやろうな
いやーーー、素晴らしかった!圧巻!
映画料金で聴かせてもらうのが申し訳ないようやった
Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014 公式サイト
ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女
”人間であれ”
ホロコースト生存者の言葉が最後に紹介された
ワタシは恐怖で失禁した事がない
容赦ない暴力に遭った事もない
死ぬかもしれへん…という事態に陥った事もない
同じユダヤ人を裏切るようになった経緯とその後
それがこの映画のミソ
罪悪感も葛藤もなく、そこに至るはずはなく
そうしなければ自分が殺されるとなった時、彼女を責められる?
不安定なメンタルでは、その日を生き抜けへん
やがて狂気が生まれるあたりも描かれている
その狂気の中で時に正気に返る人たちも
狂っていないと、やれへんような事やもんな
戦後の太々しい彼女の態度に驚いた
彼女が唯一、売らなかった幼馴染のひと言は
晩年まで、ずっと見ないできた傷をえぐり血を流させたんやろうな
加害者であり被害者
誰もがそうなってしまう
罪に問われなくても罪を犯しているんちゃうかな
あんな容赦なく究極の選択を迫られるような事態に陥ったら
もうどうしようもないやろう
あそこまでではないものの、あんな事態が世界でまだ起こってる
あんな事態に陥らへんようにするために誰でもできる事がある
自分の目で見て頭で考える事やと思う
ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女
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満ち足りた家族
今が良ければ何とかなれば良い…という考え方がある
確かに"今”は大事、とっても
誰かが何とかしてくれる?
守る事は正しいのか、言い換えると庇う事が本人のためになる?
表面上がうまくいけば、忘れたら元通りになる?
ーこうであって欲しいという願望
先は想像できるのに、何とか揉み消そうとする心理
いつの間にか逆転する兄弟←ここが説得力ある
経済的に豊かで家族の形があったらしあわせ?
ーちがうと思うねん
家族に胸を張って仕事の話ができひんような事してたら
なんぼ高給取りでも、いつか破滅するやろ
”今を大事に”を間違える母
わかってる風の父が、苦悩しながらだんだん漠然とした話で
我が子をわかった気になって間違える
でも認知症の母の介護を引き受け
他諸々、善人であるのやけど
善行をしたから許されるという首を傾げる理論を展開する
善人って、何やろう?
正当化するテクニックに優れていたら”善人”?
いろんな我慢をしていたら”善人”?
我が子への愛で視野が狭くなってる人、ワタシも出会った事ある
愛ってさ、すべて認めて受け入れることかな?
大きく言うとそうかもやけど、対象に対してはそうやろう
でも、対象への愛とは別に
愛があるからこそ、今、罪を罪として分からんと
この先もっと大きな間違いを犯すかもしれん
弁護士の兄役のソル・ギョング
なんでこの映画に出たのか、ワタシわかるような気がする
Brother 富都(プドゥ)のふたり
プドゥとはマレーシアの貧困街なんやって
ID(身分証明書)をあらゆるところで求められる
国民やから運転免許や銀行口座、健康保険、仕事が得られるんや
日本でも無戸籍の子どもの話がある
今の厳しい世の中増えてるんちゃうかな
なんてリアルで愛に溢れた映画やろか お涙頂戴でもない
厳しい現実にしっかり腰を据えていて逃げていない
アジア映画のレベルの高さを実感
聾唖の兄とまともに働こうとしない弟
このふたりのホンマのトコもやがてわかる(物語はそう単純ではない)
モチーフのゆで卵が最後まで突き刺さる
弟がなぜまともに働こうとしないのか
兄がミャンマー人の彼女に「行くな」と伝えないのか
それなりの理由、そうするしかない現実に言葉をなくす
社会的弱者(IDを持たないマレーシア人、移民、難民、トランスジェンダー)が登場人物 彼らは命がけで必死で生きてる
彼らに手を差し伸べるNPO 心ある刑務所看守
途中から展開が読めなくなる どこへ向かおうとしてる?
それが今なんかもしれん
こういう人達を弱者をどう考える国やのん?
自分が死ぬとわかったらワタシは何を考え何をするやろ
もちろん、生まれた以上死ぬんやけど
”いつ死ぬか”を突きつけられた時
兄のように「なぜ生まれて来た?」と考えるやろ
ドウシヨウモナイ突然の死なら考える暇はない
そうでない時、誰もがめちゃくちゃ考えるんちゃうやろか
なぜ生まれてきたのか、生まれてきて何をしたのかと
*兄役のウー・カンレンさんは聾唖を演じているのやけど
そのレベルが高すぎて”演技”という言葉の意味の深さを思ふ
コメント部隊
SNSでの罵詈雑言、誹謗中傷が裁判沙汰になるご時世
それだけの影響力を持ちTVやラジオでも
SNSを活用した番組づくりがされている
一概に”良くないモノ”ではないはず
そのあたりに突っ込んだブラックサスペンス
どこからがホンマでどこからが罠なんか分からず
主人公は手玉に取るように陥れられ、ラストのアレも?
「政府関係者ですか?」
「もっと大きな組織です」
ー巨大有名企業のひとりがこんな勘違いをしてる
(これが資本主義とも言えるんちゃう)
バッシングする対象が目的ではなく
その対象の関係するものを叩くのが目的
自分が目立ちたい、自慢したいではなく
その写真に映る何かを多くの人の目に触れさせたい(広告目的)
・・・などSNSで流れを作る彼らや彼らを利用するバックに
段々怖くなる
暴いたつもりが彼らの手の内で転がってるだけ、だったとしたら?
一番、冷めていた彼が一番の悪党?
もう何もかもが嘘に思えてワケわからん終わり
なんか金曜の仕事終わりには合ってへんかったかな
コメント部隊 アップリンク京都紹介ページ
(公式サイトがしょぼいくて、こちらの方が良いです)
聖なるイチジクの種
イランの映画って、どうも馴染めへんかった
イスラム教圏の文化とか考え方が遠すぎるって言うか
何を言わんとしてるのか、どうもつかめへんのよ
置いといて…
イイ加減にしろ!と多くの人が怒っていた
時代の大きな変化に
神権主義でガチガチな政権側がビビってるから暴力で抑えようとするのよね
人間より神だとする国は怖い
多くのリアル動画が映画に盛り込まれていた
もう嫌だとヒジャブを振り回す大声でシュプレヒコールをする女性達
警察の暴力(殺人まで犯すからびっくりするわ)
妻、娘達がカウンセリングと言い含められての尋問
心理的に追い詰める手口にゾッとした
尋問やとしても目隠しするか?
妻の「手が荒れるから食洗機が欲しい」とか
夫の出世を願いながら上には従うなと言う矛盾や
娘達の持ち物を調べる容赦ない態度を見てて「この人おかしい」
でも、いざとなったら娘達を守ろうとする
この人間の矛盾と愛よ・・・
異常事態に病みながら、それでも神を信じて上に従う夫が
ついに狂ったようになるのは、あれは怖いから…よね?
家族を守ろうとするプレッシャーというより自己保身やな
こんな体制でそれを世界に晒すような映画を撮れるはずもなく
(言い換えれば”よろしくない”とわかってるって事やん)
監督も俳優も国外へ逃れたと聞いた
やっぱりイスラムの国というのは、理解できん
顔に散弾銃を受けた大学生さ、ホンマちゃうやろか
特殊メイクができる環境ちゃうし
シンクに落ちた血の色が、どう見ても本物…
ノー・アザー・ランド 故郷は他にない

パレスチナの人達が住む事を強制されている地域
彼らはここから出る自由がない
このパレスチナ人居住区域マサフェール・ヤッタという村が舞台

(だいたいの目安で正確ではありません)
ここで何が起きてるか?
あの憎しみはなんなん?
兵士達はそれなりの教育を受けているから
丸腰の相手に銃を向ける事など何でもない感じ
あの何とも思わない感じが、1番怖い
ユヴァル(ユダヤ人のジャーナリスト)は
この村の男達に怒りをぶつけられる
(暴力ではなく、強い調子での言葉)
それを冷静に聞いて話し合おうとするユヴァル
ここ、なのよね
ヒントも希望も”ここ”やねん
相手の話に耳を傾ける事、対話を繰り返す事
バハール(パレスチナ人青年)のお父さんが強い調子で訴えながら
「ディベートをしてるんだ!」と周りに言うシーンがある
ディベートとは言い負かすためではなく理解し合うため、よね?
パレスチナ人の抵抗やイスラエル兵の蛮行を
世界に伝えたり、破壊に来たイスラエル兵に訴えるユヴァル
バハールとユヴァルは時に疲れ果て希望を失う…のやけど
彼らが”希望”やねん
大学を出て学位まで取ってるバハールに仕事はなく
居住区域から出る自由もない…
命をかけて家を壊され村から追い出されるのを止めようとするバハール…
なんで、こんな蛮行が見逃されてるんやろ
(ワタシはもっと学ばんとあかん)
TATAMI
スポーツ選手やバレエダンサーが亡命するってのが
どういう事か、わかってへんかったなーーー
政治的な意味で「棄権」
ボイコット…なんてのも、そういう事やったんかな?
それぞれ その国がどういう仕組みかは その国の人達が決める事
そやけどな、人の意思を暴力で強制するってのは
近代国家としてどうよ?
その人の考えより国の考えが絶対って、何時代ですか?
ヒジャブをした状態での柔道が柔道のイメージを変えた
この映画ではレスリングに見えるんやけど
何かあった時の打ち合わせや段取りをつけていた夫婦
…言葉をなくすワ
そこまでの悲壮な決意の元、彼女は大会に出たんや
モノクロでシャープな全編
上からの俯瞰、下からのカット柔道試合中
意識を失いそうな酸欠状態がこちらまで苦しくさせる
あんな脅しやトラブルがなければ
レイラはもっと勝ち進んだんちゃうか
国が妙に圧力をかけたイスラエルの選手とレイラは
ややぎこちなさが見えたけど同じ柔道をする仲間やんか
ぎこちなくさせてる原因がわかった気がする
監督は以前観て衝撃やった「SKIN/スキン」の人やって
監督役の俳優は「越境者たち」のあの彼女役の人や
世界にこんな映画が放たれた事、これが希望の種
今月はイスラム圏の国を取り上げた映画3本が最後に続いた
映画や本で世界を見ていて感じるのは
確かに、信じられへん事が起こってる まだ存在する
でも、日本でも似たような事が起こってるやん
自治体レベルで私的な感覚でトップを務める人物
沖縄でさらなる基地建設に反対する人を力で排除する
政治的な発言や考えで差別されたり仕事を干される
こういう一見小さい事が
じわじわと水が染み込むように広がって国家レベルになる
ある日突然ではない、のやろ
今、ワタシにある自由と権利
あるようで看板倒れで機能してへん権利
自分の目で頭で見て考えて…どうする、ワタシ
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