[連載小説]ギルティア王国大戦記 第49話
8月22日・日本
優駿はロート・ユナイトXに変身し、ギルトとの戦いに臨んだ。
元々戦う力のないアイリスと貴斗、操られていた影響で消耗した大地・篤司・寛騎には、見守ることしか出来なかった。
両者の戦いは、肉体や武器だけでなく言葉の応酬も激しかった。
「優駿、てめえなら俺の理想をわかってくれると思ったんだがな!」
「暴力をなくすために心を否定するなんて理想、理解出来るはずない!」
「なぜだ?心があるから欲望が生まれ暴力に走る。それが人間ってものだろ!」
「違う!心があるから愛や優しさが生まれる。だから人は人を思いやることが出来るのだ!」
「心なんて消してやる!」
「俺は絶対に心を守る!」
やがてギルトはルシファーに変身し、さらにロートを追い詰めた。
結果、ロートはヘラクレスのみと一体化したユナイト1へと退化した。
スカラベ・ケルベロス・リザードマン・アンタイオス・ヤタガラス・フェニックス・ガルーダ・グリフォン・シロガネは限界まで消耗しており、最早戦える状態ではなかった。
ロートとギルティアの戦いは、ギルティアが圧倒的に優勢であった。
しかしロートの心は折れていなかった。
「「ギルティア!お前から世界を、心を取り戻す!」」
優駿とヘラクレスの意識がシンクロしたとき、奇跡が起きた。
優駿とヘラクレスは、奇跡の紅戦騎・ロートアルティメット(きせきのくれないせんき・ろーとあるてぃめっと)に変身した。
ロートアルティメットは終始ギルティアを圧倒し、遂に止めを刺した。
倒れ伏したギルティアは、メザイアに受け止められた。
「アイ。俺の覇道は終わらねぇ。それがお前を傷付けた、俺の唯一の償いだ…。」
「もう終わりにしよう。罪を重ねないでシュン。」
ギルティアとメザイアは、互いを「シュン」「アイ」と呼びあった。
そのさまに、優駿とアイリスは自分たちと近いものを感じた。
やがて深い眠りについたギルティアを連れて、メザイアはどこへともなく消えていった…。
こうして、優駿たちとギルティア王国の、長くて短い戦いの日々は終わった。
そして、優駿たち人間とヘラクレスたち異世界の住人との別れの時が訪れた。
それぞれが別れの言葉を述べた後、ヘラクレス・スカラベ・ケルベロス・リザードマン・ガルーダ・アンタイオス・ヤタガラス・フェニックス・グリフォン・シロガネは異世界に帰っていった。
帰り際、ヘラクレスは異世界の王様になり、平和を実現させると約束した。
後に優駿たちが聞いた話では、ヘラクレスは約束を果たし異世界の王になり、平和のために尽力しているという…。
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