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行方不明②

みなさん、こんばんは。
今宵はどんなお話をいたしましょうか?

【60歳代 女性 バツイチ】 
(Mahouの物語は、全てフィクションです)

ママ友として友情を温めていた友人の連絡がつかなくなり
意を決して、ご主人が開業している医院へ電話をし
お子さんと連絡が取れた相談者。

2日後にお子さんと会う約束を取り付けました。

都内某所の喫茶店。
開業している医院とは違う駅で下車しました。
その時点で、周囲の人に聞かせたくない話なんだろうな、と
相談者は察します。

時間通りに合流、小さい頃の面影を残しながらも
立派なお医者様の貫禄すらついていました。

喫茶店に着席をし、お子さんが話を始めました。

「母は、電話口でもお話しした通り、亡くなりました。
コロナではなく、癌です。
死亡告知は自分が(医者として)しました。」

そう言って「死亡診断書」まで証拠として相談者に見せてくれました。

息を呑む彼女。
『旅行中は、元気で、病気の気配なんか感じなかった。。。』相談者は
お子さんに伝えました。

「旅行後の数ヶ月後に、突然痛み出して、調べたら、もう末期だったんです」

なんの因果か?自宅が医院だと言うのに、末期になるまで気が付かなかったとは
予測だにしない話です。

『どんな様子だった?』と聞く相談者に
「ええ、まぁ、、、、」と言葉を濁すお子さん。

その姿が「詳しく聞いてくれるな」と言っているようで
パワフルな彼女も、なかなか突っ込んで聞けなかったそうです。

『せめて、お墓参りに行きたいから、お墓の場所を教えてくれる?』
相談者はそう聞きました。

「お墓、、、わかりません」

『え?わからないって、まだ納骨してないの?』

「遺骨がどこにあるのか、知らないんです」

『え?いったいどう言うこと?』

「父が、家の墓には入れない!って怒鳴っていて」

『え?じゃぁ、彼女の実家のお墓に入れたの?』

「いや、わからない、弟が持っているのかもしれない?」

『ええ?弟?だってもう一年たっているでしょう?
一周忌の法要とかやってないの?』

しばらくの沈黙の後、彼が話し始めました。

「家は母のせいで、借金まみれなんです。
そのせいで、両親が住んでいたマンションを売り、
僕も自分の家族と住んでいた部屋を手放し、今賃貸に住んでいるんです。
実家の医院をもう持ち堪えられなくて、僕は今、
他の病院に夜勤でアルバイトに行っているんです。」

時が止まったかのような時間が流れます。

どんな別れ台詞を言って別れたのか?
相談者の記憶を定かではないそうです。

でも、相談者の子どもと目の前の彼は、幼馴染の関係。
2人きりで会うことはもうないだろうけど
『とにかく、元気で』と最後に手を取ったとのことでした。

ママ友の遺骨の場所はどこか?
それが今回の相談内容でした。

タロットMahou

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