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「い や だ」常松結 2021/11/24



・日記をね。


・ね。


・ね?


・先週の話をします。
・昼休み、会社の入り口のところに見知らぬ女性が立っていた。前を通り過ぎようとすると、「飴です! どうぞー」と何かを渡してきた。

・ティッシュじゃなくて飴か! やりぃ。

・そう短絡的に受け取ったが最後。私が飴をポケットにしまうと、それを見た女性は「では簡単なアンケートにお答えいただけませんか?」と紙を取り出してきた。

・罠じゃんね。

・私は諦めて、アンケートに付き合った。そして名前と電話番号まで取られた。

・数日後、何件かの不在着信が携帯に入っていた。何だこれと思っていると丁度電話がかかってきて、私は通話を開始してしまった。 

・アンケートの人の声がした。保険について色々訊かれた。私は分からないと言った。(本当に分からない。私は保険に入っているの? ねぇ、どうなの?)すると女性は「では来週の月曜日にそちらの会社までお伺いしますので、資料をお渡ししますね!」と溌剌に応えて電話は終了した。


・い

・や

・だ


・嫌だー。助けて下さい。保険がやってくる。

・一粒の飴先に立たず。


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↑確かにカレーだし飲めるんだけど、しょっぱすぎ。寿命消えすぎ。



・今日もリケちゃんと仕事だった。あんなことがあったのに、彼女は平生の明るさを保ったままだった。凄いというか怖い。

・コミュニケーションが上手い人に“演技をしている”という印象を抱いてしまうのは何でだろう。

・小林賢太郎さんが、何かの本で「演技力はコミュ力」と言っていたっけ。確かにその通りだと思う。

・私は終始気まずかった。リケちゃんは恐らく、その気まずさを分かった上で、ぐいぐい接してくる。帰りにやよい軒に誘われて寄ったし。



・リケちゃんの最近の悩みとして、友達付き合いがおろそかになっていると嘆いていた。原因は当然魔法少女業だ。

・常松さんがいないと、話す相手いなくなっちゃいますよー。と言われた。そんなことないでしょ、と返した。

・帰り際、家に誘われた。友達とゲームやるからって嘘ついて断っちゃった。したら「明後日は!?」と訊かれた。嘘ついた罪悪感とか諸々の気まずさで「明後日なら、まぁ」とかOKしちゃった。だから明後日の更新はリケちゃん家からです。




・立方体に侵入する度、そこにまた晃が立っているんじゃないかと思ってしまう。もしかしたら、そのタイミングが近いうちに来るのかもしれない。

・そのとき私は決断しなくてはいけないのだろう。


・い 

・や  

・だ


・おやすみなさい。

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