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冬至とゆず

 12月22日、冬至を迎えた。

今年はどうしても朝一で我が家の柚子を撮りたくて、目が覚めすぐに庭に出てみると、朝雨に振られたのか、冷え冷えとした空気の中、雫を滴らせ寒そうにしている柚子が撮れた。庭の大きな父自慢の木。その中で向日葵色に輝く塊は、まるで「私、綺麗でしょ。」と言っているようだった。手のひらに収まるころん、とした可愛らしい小さな姿に、誇り高さがぎゅっと詰まっているような、そんな生命の強さを感じた。

冬至とは、「昔の人々は生命の終わる時期だと考えていて、その厄をはらうため、南瓜やお汁粉を食べ体を温めることで、栄養をとり無病息災を願う風習」とのこと。その風習で柚子風呂に入ることも有名だが、先日ラジオでその由来を知った。なんでも
冬至(とうじ)→湯治(とうじ)
柚子(ゆず)→融通(ゆうずう)
という語呂あわせによって「一年間(健康に)”融通”が利きますように」と願いが込められた風習だったらしく、面白いなあと思った。実際に、柚子は体を温める恩熱作用があり、風呂に入れると体を新まで温めてくれるので「柚子湯に入ると、一生風邪をひかない」と言われている。華やかな香りは心を癒し、果皮に含まれる成分で血流も改善してくれるとのこと。今までその効能の有り難味に気付かず、改めてなんとも優秀な果物だなあ、と思わず拝んでしまった。

そういえば、柚子ってなんとなく『おばあちゃん』というイメージがある。
皮のゴツゴツ感とか、あの特有の酸味と苦味。その健康的なところ。あと、幼い頃に熱々の柚子風呂に入れてくれた祖母の記憶のせいかもしれない。そんなことを考えていたら、柚子の木から「失礼ね。」と言われた気がした。

冬の弱弱しい光の下で、ぱっと輝く”灯り”のような豊熟した実。
この子たちを収穫したら、祖母に届けに行こう。
どうか熱々の柚子風呂に浸かって、実も心もぽかぽかと温めて欲しい。
そして、末永く、健康に、長生きしてもらいたい。


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