「水星の魔女・9話」感想&気になった事、そして、シャディクの未熟さミオリネのしたたかさ。

第9話って、全体として、男の情けなさ、女の強さみたいのものが描かれたと思っています。
その中でも特に時間を割かれて丁寧に描かれていたのは、シャディクとミオリネ。
まずはこの二人について見てみましょう。


シャディク

まず描かれ方として見事だったなと感じるのは、今まで裏で何か企んでいて得体のしれない強者感がずっと出ていたのが、9話で、実はすべてはミオリネが好きで振り向いてほしかっただけと言う事が明らかになって、ただの拗らせ思春期のイキリ男子だったとわかると言う、組み立てが素晴らしかったです。
とにかく今までカッコつけてそれらしい事言ってたのが全てダサくなるという仕掛けにはただ脱帽でした。
シャディクの行動、言動を、少し大人の仲間入りして同世代の奴と俺は違うと勘違いしてるやつと言う風に見ると、非常に繋がりがいいです。
とにかくシャディクは自分の未熟さに気付かず、常に自分はひとりで何でもできると勘違いし続けています。
まずはグラスレー社CEOの息子になった為に起こる勘違い。
グエル苛めてたやつらを退散させてる様にグラスレーという看板は自分の力を勘違いさせるのに十分なものです。
そして次にMSパイロットとしての実力の勘違い。
グラスレー寮は団体戦では負け無しのチーム。
つまり全員ので勝ち取った勝利も自分の力と勘違いしている。
それがよくわかるのはパイロット5人娘のシャディクの扱いです。
一人ガチ恋してますが、基本、可愛い弟を見守る姉のような目でシャディクを見ています。
シャディクは自分が率いてると思ってますが、実はあの5人の保護下にあるのです。
さらにシャディクのMSパイロットの腕に?マークがつくのが、チュチュとGUNDが停止したスレッタとの戦闘シーン。
チュチュとの戦闘は結局シャディクは一人ではチュチュを落とせませんでした。
これはチュチュが凄いのでは無く、シャディクが弱いのです。
止めを刺したのは結局別の娘でした。
スレッタの時も同様。
GUNDが止まってる間に勝負を決めることが出来ませんでした。
確かにスレッタはグエルといい勝負する腕はありますが、そのスレッタを落とせないと言う事は、グエルより劣ると言う事でもあると思います。
この様に、周りの環境や人々の力があって自分が助けられていると言う事を自覚せずに、全ては自分の力だと勘違いしていた。
それがシャディクという男の正体だと思います。
スレッタに「子供だ」と言い、親父に「狭すぎる、視野も思想も」と言ってた自分がチュチュに頭を打ちぬかれた時に、全て気付いたのでしょう。
子供だったのは自分だと、視野も思想も狭かったのは自分の方だと。


ミオリネ

9話は彼女のクレバーさが特に際立った回でした。
シャディクというわかりやすい対比があった事で、ミオリネがしっかりと成長していってる様が見て取れました。
そのクレバーさを離す前に、ミオリネの恋心について。

恋心

温室がミオリネの心を表現してると言うのはまず間違いないでしょう。
CVのLynnさんもそう思って演じてるようですし。
そう考えると、ミオリネは最初からスレッタに歩み寄ってる。
温室のトマトを与えてると言うのは気を許してる証拠で、つまり、ホルダーになる前からスレッタの事を気に入っていたのでしょう。
シャディクとの間ですが、過去から見て行くと。
土いじりをして時にはまだ入って来てほしい感を出しています。
この土を盛ってるところも暗喩で、まだ種を蒔く前と言う事は、この時にはどうにでも転がっていたと言う事が表現されているのだと思います。
それが最後の未熟なトマトを切り落とすと言う表現で、ミオリネのシャディクに対する淡い恋心は終わりを迎えていました。

戦略

次にミオリネの非常にクレバーな部分。
経営戦略科トップの面目躍如となった決闘を見てみましょう。
まず、ミオリネがシャディクに決闘を申し込む所まで遡ります。
おそらくミオリネはこの決闘を申し込んだ時点で、かなりの勝算があったのだと思います。
それは上記したようにシャディクがMSパイロットとしての腕は一枚落ちる事を知っていたからだと思います。
なので1対1ならスレッタが負ける事は無いと思っていたのでしょう。
でも、団体戦になった。
これも予想はしてたでしょう。
だからこちらから挑発的に決闘を申し込んでシャディクのプライドをくすぐってあわよくば1対1に出来る事を狙っていたのだと思います。
ですが、誘いに乗ってこなかった。
そして次に考えるのが、団体戦でどうやって勝利するか?です。
余談ですが、戦略を練るのにトマトを使っていましたね。
奥に6つのトマト、手前に2つのトマト。
奥のはグラスレー寮、手前はスレッタとチュチュだと思います。
その手前のトマトのひとつを手に取って、シャディクに
「あんたは信用できない。」
と言ったのは辛辣でしたね。
手にしたトマトはおそらくスレッタの暗喩なので、そのトマトを見ながら、
「あんた『は』信用できない。」
と言ったと言う事は、暗にスレッタを信用してると表現してるんですね。
結局この後、スレッタも「お嫁さんを信じます」とミオリネを信じてる発言があった事から、お互いを信じあってるのがわかると言うシーンでした。
そして、決闘当日。
ここもおそらく裏でミオリネは様々な手を打ってる事がわかります。
まず、マルタンとオジェロをパイロットの採用したのは本当の作戦を隠すための賑やかしの為でしょう。
スレッタに盾にしていいと言ったのも、とにかく騒いで相手を油断させてほしいからでしょう。
そして、本当の策。
それを実行する為にパイロットに採用したのがティルでした。
おそらく本当の策をティルのみに伝えていたと思われます。
(もしかしたら、リリッケとチュチュには伝えていたかもしれませんが)
なので、実はエアリアルが囲まれてシャディクが一人で出て来た時点でほぼ勝確になっていました。
あの時点で、もしエアリアルが覚醒してなくても、アンチトードを展開する為に動けない周りの5機、そして1対1なら大したこと無いシャディク。
もう後は準備が整うまでスレッタに粘ってもらい、準備が出来たらスレッタにミカエリスの動きを一瞬止めてもらえば勝ち。
エアリアルの覚醒で勝つ確率は跳ね上がりましたが、覚醒前に実は勝敗は決していたのです。
正に、皆を信じる、人を信じるとはこういうことだと見せつけたうえで勝つという、シャディクの心を折るには十分な勝ち方でした。
その上、スレッタはコクピットから出てきて(株)ガンダムの宣伝。
ぽっきり折れてたシャディクの心に死体蹴りする様な形になってしまいましたね。
最後の温室でのシャディクの顔、完全にぽっきり折れてた顔でした。
結局シャディクはずっとミオリネの掌の上だったんですね。

気になる事

最後にいくつか気になる事を。

ベネリットグループ外への中継

今までベネリットグループ内で話が進んでしました。
そう言えば、ベネリットグループ外ではガンダムってどう言う扱いなんでしょうね。
おそらくここに伏線があると思っています。
ベネリットグループ外への中継で異常な動きを見せたガンダムが世の中の沢山に人の目に触れました。
この時以前にも、ファラクトと決闘した時に、ベネリットグループの管理してる区域を飛び出して戦いました。
しかも、ファラクトはパーメットスコア4、エアリアルは何か得体のしれない挙動をしました。
このGUND技術を狙って、ベネリットグループ外から何者かが攻めて来る展開もあるかもしれないな~って個人的に思っています。

代案

グエルパパがグエルが「決闘は?」と聞いた時に「代案は考えてある。」と言っていました。
決闘に代わる代案って何なんでしょうか?
1話でデリングを暗殺しようとしていたぐらいなので、またデリングを引きずり下ろす為の悪巧みをしていると言う事なんでしょうか?

4号ってもしかして生きてる?

エラン4号。
ここまでのベルメリアさんの表情を見てる限り、もしかしたら4号は生きてるのかもしれないと思いました。
あんなに必死に反対した4号が本当に処分されていたら、もう少し引きずっていても良さそうなものではないかなぁなんて思うのですが…。
後、いつまでたっても5号がやってくる気配が無いのも4号生存説を後押ししますね。
まあもしかしたら、オリジナルがペオルCEO達に騙されて強化人士にされる展開もあるかもしれませんが…。


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